【2025年日本自動車業界総括】寝耳に水、大統領の一言、廃止と先送り!メーカーとユーザーを揺さぶった、ふたつの大きなニュース
夢物語ではなく現実的な市場の方向性
時代の変わり目を感じる1年だった。
【画像】大盛況だった『ジャパンモビリティショー2025』を振り返り! 全193枚
日本市場を俯瞰する機会となったのが、ジャパンモビリティショー2025(JMS:一般公開10月31日〜11月9日)。全体イメージを10年先の2035年に定めた。自動車メーカーとユーザーそれぞれが、単なる夢物語ではなく現実的な市場の方向性を体感できたと思う。

ジャパンモビリティショーの盛況は、2025年の大きなニュースのひとつ。 山田真人
具体的には、マルチパスウェイがある。2050年カーボンニュートラルを目指すために、EV、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、燃料電池車、次世代バイオ燃料車など様々なパワートレインを市場変化に応じて使い分ける。
自動運転については、公共利用で完全自動運転の本格的なサービスを視野に入れた動きが鮮明に。
海外ブランドでは、軽自動車EVである『BYDラッコ』に代表されるような、日本市場に対する本気度が高い事例が今後さらに拡大することが予想できた。
こうしたJMSで明らかになった自動車産業界の動き全体に対して、大きな影響を与えるニュースがふたつあった。『トランプ関税』と『自動車関連諸税の抜本的な見直し』だ。
順に見ていくと、トランプ関税は自動車メーカーにとっては寝耳に水。バイデン政権では自動車メーカー幹部が、「IRA(インフレ抑制法)への対応が急務」と嘆いていたことを思い出す。クリーンエネルギー事業を強化するために電動車のアメリカ国内生産を強化する狙いがあった。
そこにいきなり、トランプ関税というゲームチェンジャーが現れた。
15%でも事業の大幅見直しは必須
2025年春の時点では、完成車などの輸入に対して追加関税が25%。それまでの2.5%とあわせて27.5%となり一気に11倍となった。
こうした状況を打破しようと、赤澤経済再生担当大臣(現・経済産業大臣)が毎月のようにホワイトハウス詣したのが記憶に新しい。

日米貿易改善のため、トヨタはタンドラ(右)、ハイランダー(左)、カムリを逆輸入予定。 桃田健史
最終的には7月22日に日米政府が共同声明を出し、完成車などに対する関税を追加関税を含めて15%とすることで合意。自動車メーカーなどでつくる業界団体、日本自動車工業会も日本政府に対して感謝の意を示した。
日本の自動車産業界としては最悪のケースからは脱したものの、15%とは従来の6倍という大きな重荷であることに変わりはない。
そのため、日本の自動車メーカー各社の上期決算発表では、当初の27.5%関税による営業利益の圧迫によって一部メーカーでは赤字に転落。通期の見通しでも15%関税の影響が色濃いとして、早期退職制度を拡大するメーカーも出てきた。
どんなに『いいクルマ』を作っても、また、きめ細かい販売サービスを行っても、アメリカ大統領の『ひと言』で日本自動車産業全体が大きく揺さぶられるという現実をつきつけられた、大きなニュースであった。
少子高齢化やライフスタイルの変化から、日本の自動車市場が縮小傾向にある中、アメリカや中国などとの政治、経済動向という外的要因のインパクトが極めて大きいことを、ユーザーも実感した。
結局、実施は2年先延ばし
もうひとつ、2025年の大きなニュースは『クルマの税金』の抜本的な見直しだ。1年を通じて『暫定税率』という言葉が数多く報道された。
1970年代に道路インフラ整備などを目的として、国はガソリンの揮発油税や地方揮発油税に対して暫定的に税率を上げた。民主党政権では、これが道路財源から一般財源化され、『旧暫定税率(当分の間税率)』と行政上の名目を変えただけで、ガソリンで1Lあたり25.1円、軽油で17.1円が加算され続けてきた。

暫定税率廃止に向かい、ガソリン価格は段階的に下がっている(写真はイメージです)。
2024年12月には自民党と当時与党の公明党、そして国民民主党の会談でガソリン暫定税率早期廃止で合意したがその後、法改正の動きが鈍化。ところが、夏の参議院選挙で与党が議席数の過半数割れとなったことを機に、ガソリン暫定税率廃止に向けた動きが一気に加速した。
こうした『燃料課税』に加えて『車体課税』の抜本見直しについては、年末にまとめた与党税制調査会で令和8年度税制改正大綱での議論が進んだ。
話は二転三転し、結果的に取得時の環境性能割は完全廃止に。ところが、保有時にかかる自動車税(軽自動車税)と自動車重量税を融合した新税については、2026年末の令和9年度税制改正大綱で結論づけ令和10年度からの実施を目指すとして、実質的に2年先送りとなった。
こうしたトランプ関税の影響、また車体課税の抜本見直しについて、ユーザーは2026年も目が離せない。
