『東京フィスト』©1995 SHINYA TSUKAMOTO・KAIJYU THEATER

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 塚本晋也が監督を務めた1995年の映画『東京フィスト』が、公開30周年を記念して各地劇場で再上映されることが決定した。

参考:塚本晋也が描き続けた“暴力的な反暴力”のメッセージ 『鉄男』から『斬、』までの軌跡を辿る

鉄男』『野火』などの塚本監督が手がけた本作は、ボクシングを題材にした恋愛格闘劇。1995年ロカルノ映画祭で初上映され、同年サンダンス・フィルムフェスティバル・イン東京でグランプリを獲得、その年のキネマ旬報でベスト10に選出された。このたび、デジタル化による鮮明な映像と音響で、30年を経てスクリーンに蘇る。

 ボクシングの試合会場を訪れた保険会社のサラリーマン、津田義春(筭本晋也)。彼は、そこで最も会いたくなかったかつての友人、プロボクサーの小島拓司(塚本耕司)と再会する。彼は高校時代の後輩だったが、当時、共通の女友達を殺された暗い過去を持っており、それが原因で疎遠になっていた。義春はこの出会いに言い様のない不安を感じる。果たして拓司は、義春の婚約者ひづる(藤井かほり)を誘惑し始める。拓司の挑発に義春の怒りが爆発。相手がプロボクサーであるにもかかわらず、無謀にも拓司のアパートへと殴り込むのだが、あっさりと打ちのめされてしまう。ひづるの中で何かが目覚め、やがて華奢な体に痛々しいほどのピアスや刺青を施し始める。そして自分を束縛しようとする義春のもとを去り、拓司と暮らし始める。ひづるを失った義春は拓司への憎しみを募らせながらも、拓司の通うボクシング・ジムに入門。取り憑かれたようにトレーニングに励む。凶暴性を発揮していく義春。上り調子のボクサーとの試合に恐れを感じる拓司、そして自分自身もどこへ向かおうとしているのか分からないひずるの激しい三角関係。彼らはそれぞれの答えを出そうとするのだった。

 かつて現役のボクサーだった筭本の実弟・耕司の話が企画のヒントとなり、彼をボクサー役で役者に起用。最初に脚本を依頼した斎藤久志(クレジットは原案)のアイデアにより、筭本晋也演じるサラリーマンが恋人を友人のボクサーに寝取られて激怒するという、三角関係の愛憎物語に発展した。

塚本監督 コメント

鉄男』につながるコンセプトでボクシング映画を作りました。最初にゴングが鳴り響いてから、血で血を洗う恋愛格闘劇が始まります。都市という空間に生きる現代人の孤独と爆発を描きました。“都市と人間”というテーマで映画を作っていた時期の代表作になります。夢か現実か判然としない都市生活で、保険の勧誘員として安全を売っていた主人公が、リングというそこでは野生を爆発させることのできる世界に傾斜していく物語です。ぜひ劇場の大きなスクリーンで強烈なパンチを浴びてみてください。(文=リアルサウンド映画部)