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日本の株式市場が活況を呈しています。9月16日には日経平均株価が初めて一時4万5000円を突破しました。

長年株を保有して含み益を抱えている人も多いと思いますが、弁護士ドットコムには、「結婚前から保有していた株も離婚するときは財産分与しなければならないのか」といった不安の声が寄せられています。

結婚前に購入した株であっても「夫婦生活中に価値が上がった部分は共有の財産ではないか」と考える人も少なくないようです。実際にはどう扱われるのでしょうか。

結婚前の株は原則分与対象外

民法762条1項は「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする」と定めています。つまり、独身時代から保有していた株式は、原則として特有財産にあたり、財産分与の対象にはなりません。

ただし、例外もあります。夫婦の協力によって、株が維持されたり、その価値が増加したといえる場合、その増加分は財産分与の対象となることがあります。

●配当や値上がり益の扱いは?

婚姻前から夫が持っていた株について、婚姻後に配当があった場合や、値上がりにより売却益を得た場合も、基本的には特有財産とされます。その理由は、市場変動による利益であり、夫婦共同で築いた成果とはいえないためです。

ただし、夫婦が協力して株式運用を支えた事情があれば、話は別です。たとえば投資のための資金や時間を配偶者が支援したり、預貯金など共有財産から管理費用を支払ったりした場合、その分については財産分与の対象になる可能性があります。

●財産分与したくない場合は?

せっかく価値が上がった株を財産分与の対象としたくない場合、次のような点が挙げられます。

(1)取得時期の証明

まず、結婚前から持っていた株であることを証明する必要があります。結婚時期(戸籍から明らか)と株式取得時期を示す資料を準備しましょう。

(2)配偶者の関与度の整理

次に、婚姻期間中の株式運用に、配偶者がどの程度関わったかを明確にします。資金管理への協力や情報収集など、具体的な事実を裏付ける資料があると有利です。

(3)評価時点の確認

財産分与の対象とされた場合、株式の財産的価値の評価をいつの時点を基準として行うか、という点も争いになります。基準時は話し合いでも決められますが、意見が折り合わない場合には裁判(調停や訴訟)を起こすことになります。

原則として、別居時または裁判終了時が基準となりますが、株価が急騰している場合などには例外的な判断がされることもあります。

こうした点は事案ごとに異なるため、専門家への相談が望ましいでしょう。