6試合を消化して暫定4位の北九州。今季は「J3優勝で昇格」を目標に掲げる。写真:元川悦子

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 2025年のJ3で7節が終了(暫定)し、FC大阪が勝点16で首位に立っている。2位につけるのは今季J3初参戦の栃木シティで、J2からの降格組では鹿児島ユナイテッドFCが3位と奮闘しているものの、栃木SCが12位、ザスパ群馬が14位と苦戦。「J3沼」という言葉もあるように、リーグ全体が非常に混沌とした展開になっているのだ。

 こうしたなか、2021年以来のJ2復帰を目ざすギラヴァンツ北九州がまずまずの出足を見せている。松本山雅FCでコーチ、ガイナーレ鳥取で監督などを歴任した増本浩平監督体制2年目の今季は「J3優勝で昇格」を目標に掲げ、白星先行のスタートを切っている。消化試合が1つ少なく、勝点12で4位だ。

 3月20日のルヴァンカップ1回戦では、J1初参戦のファジアーノ岡山から金星を獲得。チーム全体の上昇機運が高まっている様子だ。

 戦力に目を向けても、昨季のJ3で14得点の永井龍、37歳の喜山康平、J3の複数クラブで戦ってきた32歳の牛之茺拓らベテランが健在。そこにJ1経験のある樺山諒乃介、ジュビロ磐田からレンタルで赴いたGK杉本光希、セレッソ大阪から同じくレンタルされている木實快斗ら若手が加わり、徐々に完成度が上がりつつある。

 それを象徴したのが、3月30日の群馬戦だ。ボール保持を前面に押し出してくる相手に対し、立ち上がりからハイプレスを仕掛け、走力や強度で圧倒した。そして開始早々の9分、右CKのクリアボールを拾ったFW平原隆暉の左クロスをDF杉山耕二がヘッド。瞬く間に先制点を奪うことに成功する。
 
 1−0で迎えた後半も、修正を図ってきた群馬の裏を突き、62分に牛之茺の仕掛けからエースの永井がゴール。苦手なアウェーで2−0の勝利を収めた。

 実のところ、この日の北九州は増本監督が体調不良で欠席。「ボスの不在は間違いなく影響があった」と代行で指揮を執った勝野洸平コーチは神妙な面持ちで語っていた。が、そのマイナス面を感じさせなかったのは、「(前節に敵地での鹿児島戦で負けていたこともあり)アウェーで絶対に勝ちたい」という強い思いがあったからに違いない。

「前節が本当に不甲斐ない試合で、僕自身も『昨年は点を取れたし、今年も行けるやろ』という甘い気持ちがあったことを痛感した。私生活とか練習に来る時間、自主練の取り組みなども含め、甘さが出ていたのは確か。『ここは踏ん張りどころだ』と思って、この1週間は死ぬ気で準備してきた。2点目はそのご褒美だったのかなと思います」と永井は目を輝かせた。

 一方、キャプテンの井澤春輝と代わって64分からピッチに立ち、守備ブロックの構築に貢献した喜山も「何歳になってもスタメンでは出たいですけど、こうやってベンチになったらベンチの役割がある。僕は北九州に拾ってもらったし、今季は絶対に優勝したいんで、そこに貢献しようという思いを持ってやりました」と力を込めた。

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 永井や喜山のような年長者が高度な献身性を示していたら、中堅や若手は手を抜けないはずだ。

「永井選手は本当によく走ってくれた。前線からファーストディフェンスに行って相手を方向づけて、奪いどころを定めやすくしてくれた。なおかつゴールも取ってくれたのが大きかったと思います。

 喜山選手も途中から入ってバランスを取りましたし、押し込まれる難しい状況のなか、クローザーとしてしっかりゲームをコントロールしながら進めてくれました。

 昨年もベテラン選手がピッチ内で存在感を示してくれてはいましたけど、今年の北九州は特にそれを強く感じます。今季は木實のように彼らの背中を見ている若い選手もいる。チームに良い相乗効果があると思います」と勝野コーチも心から感謝していた。

 彼らベテラン勢には「北九州をJ2に昇格させられなければ、自分自身も後がない」という危機感が見て取れる。永井に関して言えば、セレッソ大阪時代の後輩・杉本健勇が昨季のRB大宮アルディージャで昇格の原動力になっていて、「自分も再び上のカテゴリーに行くんだ」という強い思いがあるはずだ。

「健勇とは若い頃から切磋琢磨してきて、一緒のチームで2トップもやりましたし、そういう選手が活躍しているのは本当に刺激になります。今回、たまたま羽田空港で会ったんですけど、『お互い頑張ろう』と話しましたね。

 扇原(貴宏/ヴィッセル神戸)もそうですけど、彼らが30歳を超えてもまだ頑張っているのは大きな力になる。今年で34歳になりますけど、まだまだ現役を続けたいし、そのためにもゴールを取り続けるしかないと思っています」と、背番号10をつける男は高みを目ざし続ける構えだ。
 
 喜山にしても、2010年代は松本や岡山で活躍していたが、2023年に復帰した松本を1年で契約満了。直後のJリーグ合同トライアウトを経て、北九州入りが決まったという流れもある。かつて松本で共闘した須藤右介コーチが今季から北九州に加わったこともあり、より自分のタスクを明確にしながら、日々のプレーに取り組めているのではないか。

「増本さんや強化のメンバーもそうですけど、僕はそういう人の気持ちに応えたい。今年は本気で優勝を目ざしています。『そのために何が必要か』という問いの正解はないですけど、それをみんなで問い続けながら、満足せず、貪欲にやっていこうと思っています」と百戦錬磨のボランチは毅然と語っていた。

 数々の修羅場をくぐり抜けてきた2人を擁する北九州は、ここからさらに勝ち星を積み重ねていけるのか。昨季は後半戦に入って失速傾向を辿ったが、ここから尻上がりにペースを上げていくことが肝要だ。そうなるように、まずは4月5日の次節・FC大阪との上位対決に集中してほしい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)