@AUTOCAR

写真拡大 (全2枚)

高級車メーカーの棚卸し

メルセデス・ベンツは今後2年間で、12車種以上の新型車と8車種の改良型モデル(フェイスリフト版)、そして2台のコンセプトカーを発表するという野心的なラインナップ拡充計画を準備中である。

【画像】この姿で発売してほしい! 近未来的なスーパーカー【メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワンイレブン・コンセプトを写真で見る】 全21枚

過去数年の出荷台数の減少と利益の低下から脱却し、主要市場における生産と販売の安定化を目指す。


メルセデス・ベンツは新型12車種以上、改良型8車種、コンセプト2台を今後2年という短期間で発表する。(画像はビジョン・ワンイレブン・コンセプト)

計画では、第2フェーズに入るEV戦略「EQ」を中心に、新世代のマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッド車といったエンジン搭載車とのバランスを取りながら、多様なモデルを展開していく。

この記事では、どのようなモデルがいつ頃に登場するのか、現在把握できている範囲で紹介したい。

2025年の新型車

この新型車攻勢の先陣を切るのは、メルセデス・ベンツの新しいモジュラー・メルセデス・アーキテクチャー(MMA)プラットフォームをベースとする6車種の新型コンパクトモデルシリーズの第一弾、CLAである。今月末には量産バージョンが正式発表される予定だ。

電気駆動の新型CLAセダンは、同社がこれまでに製造したEVの中で最も効率的なモデルと位置づけられている。航続距離を重視した仕様では、85kWhのニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーを搭載し、1回の充電で740km以上走行できるとされている。


メルセデス・ベンツCLAのプロトタイプ

EVモデルの6か月後には、1.5L 4気筒ガソリンエンジンとトランスミッション統合型電気モーターを搭載した最高出力190psのハイブリッドモデルが発売される予定だ。メルセデス・ベンツは「ディーゼル車並みの効率性」を謳っている。

また、命名戦略を従来よりも簡素化し、EVもハイブリッドも同じようにCLAという名称が与えられる。

その後間もなく、CLAシューティングブレークが発表される。まずEVモデルがデビューし、ガソリンエンジン搭載車は2025年後半に登場するが、いずれも駆動系はセダンと共有する。

2025年のもう1つの大きな発表となるのが、メルセデス・ベンツ初の量産EVであるEQCのフルモデルチェンジだ。新型は、9月のミュンヘン・モーターショーへ出展予定の次期GLCのEVモデルとなる。

新型GLCは、アウディ Q6 eトロン、BMW iX3 、ポルシェ・マカンのライバルとして、MB:EAミディアム・プラットフォームの800V版を採用する。シングルモーター/後輪駆動、デュアルモーター/四輪駆動の構成が用意される。バッテリーには、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)とNMCの2種類が用意される見込みで、航続距離はそれぞれ約640kmと約800kmを実現すると見られている。

米国のタスカルーサ工場で生産される予定だが、最高出力など詳しい性能についてはまだ不明な点が多い。しかし、メルセデスAMGの関係者はAUTOCARに対し、計画中の上位モデル「GLE 53」では独自にチューニングされたモーターとパワーエレクトロニクスの組み合わせにより、最大600psを発揮できる可能性があると示唆している。このモデルは2026年に登場予定。

また、2025年末までに新型GLBが発表される。MMAプラットフォームをベースとする同社3番目のモデルで、初代モデルから「大幅な進化」を果たすとされている。CLAと同様、電気駆動とガソリン駆動の両方のパワートレインが用意され、アウディQ3/Q4およびBMW X1/iX1をターゲットとしている。いずれもGLBと命名されるため、従来のEQBという名称は廃止となる。

プロトタイプから、新型GLBは現行モデルよりも若干長く、幅広になり、車内空間に重点が置かれることが明らかになっている。これも、旧型のMFAプラットフォームからMMAへの切り替えによって可能になった。

新型GLBは、単なる第2世代という立ち位置にはとどまらない。2027年に予定されている通称「リトルG」のベース車としての役割も果たすことになる。

2025年の最大の発表は、おそらくメルセデスAMGのコンセプトカーとなるだろう。今年半ばに発表予定のワンオフのスーパーカーで、メルセデス・ベンツにおけるEQXXと同じように、AMGにおける将来の高性能車を予告するものだ。

関係者はAUTOCARに対し、「EQXXが航続距離を追求したように、このモデルは速さを追求する。AMGがこれまでに生産した中で最も加速性能に優れたクルマとなるだろう」と述べた。

このコンセプトカーは、2023年に発表されたビジョン・ワンイレブン・コンセプトから「それほど遠くない」と言われている。メルセデス・ベンツ傘下の英国企業ヤサ(Yasa)が開発した軸流モーターをはじめとする、AMGの次世代駆動系技術を搭載する予定である。このモーターは、メルセデスAMG GT SUVやGT 4ドア・クーペのEV版にも使用される。

さらに、このコンセプトには次世代バッテリーが搭載される予定であり、おそらくは英国のメルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・パワートレインズとの共同開発による固体電池となるだろう。

一方、超限定モデルのメルセデスAMG SLマイバッハとSLピュアスピードの納車が、2025年半ばに開始される予定。同時に、メルセデスAMGはモータースポーツとのつながりを強調し、現行GTの新たな派生モデルとしてGT2 F1およびGT3 F1を発表する。

2026年の新型車

2025年も忙しい年になりそうだが、2026年はメルセデス・ベンツにとってさらに大きな年になるだろう。スタートラインを切るのは改良型Sクラスの発表で、後継車が登場する2030年まで販売が続けられる予定だ。

改良型Sクラスは、新設計のヘッドライトと、大型のイルミネーション付きフロントグリルによってモダンな外観を演出する。インテリアでは、新しいMB:OSソフトウェアを搭載した最新のMBUXスーパースクリーンでデジタル体験の向上を図る。さらに、次世代のレベル3自動運転機能が導入されるほか、6気筒エンジンの最高出力は520ps以上に引き上げられる。


メルセデス・ベンツSクラス(現行)

その後間もなく、EQSの新型が発表される。以前AUTOCARでも報じたが、このモデルにはSクラスの名称が採用される見込みだ。ただし、エンジン車とはプラットフォームを共有しない。エンジン車は現在のMRAプラットフォームの改良版を、EVはMB:EAラージ・プラットフォームを採用する。

そのため、新型の電動Sクラスでは800Vシステムを搭載する。新しいパワーエレクトロニクス、先進的なインバーターおよび電気モーター技術と組み合わせることで、現行EQSと比べて効率性、航続距離、充電速度の大幅な改善が期待される。

メルセデス・ベンツのEV攻勢は、電動Cクラスの発売によりさらに勢いづくことになるだろう。GLCのEVと同じく、MB:EAミディアム・プラットフォームを採用し、BMWが間もなく発売する新型EV「i3」の直接的なライバルとなる。

電動Cクラスは2026年の北京モーターショーで発表予定だ。シングルモーター/後輪駆動とデュアルモーター/四輪駆動の2種類が用意され、最高出力600psを超える「C 63 EQ」も計画されている。ただし、ステーションワゴンタイプの導入計画はない。

電動Cクラスに続いて、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドの各モデルも発売される。現行Cクラスの大幅改良版で、セダンとステーションワゴンの両ボディが用意され、2026年後半に登場する予定である。

それまでに、メルセデス・ベンツはジュニアGクラス(またはリトルG)のさらなる詳細も明らかにする予定である。2023年のミュンヘン・モーターショーでオラ・ケレニウスCEOが量産化を認めたこのモデルは、現在開発の初期段階にあり、2027年の発売が予定されている。

また2026年には、EQS SUV、EQEセダン、EQE SUVの改良型を発表する予定だ。これら3車種は、電動Sクラスと同じMB:EAラージ・プラットフォームに切り替え、同年末に発売される。米国生産のGLEとGLSの改良型もほぼ同時期に登場する。

2026年最大のニュースは、メルセデスAMG初のEV専用モデルのお披露目だろう。エンジン車のGT 4ドア・クーペの兄弟車として構想されたセダンである。

AMG:EAプラットフォームを市販車として初めて採用し、最高出力493ps、最大トルク81.5kg-mで重量わずか24kgの英ヤサ製モーターを搭載する。デュアルモーター仕様では、最高出力985ps、最大トルク163kg-mに達すると予想されている。フロントに1基、リアに2基のモーターを搭載する、ポルシェ・タイカン・ターボGTのようなトライモーター仕様も開発中である。

2027年の大注目ニュース

さらに先の話になるが、メルセデス・ベンツはすでに主要な新モデルを2車種発売する計画を示している。

1つは、Gクラスの小型版となるジュニアGクラス、または「リトルG」で、EVのみが販売される。人気の高いクロスオーバー市場における新たな足掛かりとする狙いだ。


メルセデスAMG GT SUVのプロトタイプ    メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツのデザイン責任者であるゴードン・ワグナー氏は以前、AUTOCARの取材に対し、新モデルは既存のGクラスの「象徴的なDNA」からデザインの影響を強く受けると語った。同氏によると、「独自の個性を持つが、Gであることに変わりはない」という。

GLBと兄弟車となるこのモデルは、CLAと同じくMMAプラットフォームを採用する。シングルモーターとデュアルモーターの2種類の設定で販売され、高級車として位置づけられるが、オフロード性能も備える見込みだ。発売は今のところ2027年を予定している。

2つ目の主要モデルは、ロータス・エレトレや今後発売されるポルシェのカイエンEVへの対抗馬となる、メルセデスAMG GT SUVである。

AMG:EAプラットフォームをベースに、1000psを超える出力を実現し、ブランド史上最もパワフルなモデルとなる。ラインナップではEQE SUVとEQS SUVの中間に位置づけられる。

GT SUVは2027年頃に発売予定だが、すでにプロトタイプが公開されており、セダンモデルと共通点のあるデザインを採用することが明らかになっている。