名店の流れをくむ「ロシア料理」の新店が目黒に誕生! 名物のピロシキは悶絶級のおいしさ!

写真拡大 (全9枚)

グルメライター小寺慶子さんがおすすめする新店は、目黒の食文化を盛り上げるであろう店として注目を集めている、ロシア料理店だ!

教えてくれる人

小寺慶子

肉を糧に生きる肉食系ライターとして、さまざまなレストラン誌やカルチャー誌などに執筆。強靭な胃袋と持ち前の食いしん坊根性を武器に国内外の食べ歩きに励む。趣味はひとり焼肉と肉旅(ミートリップ)、酒場で食べ物回文を考えること。「イカも好き、鱚もかい?」

ロシア、ウズベキスタン、ショージアの3国の料理は郷土色と異国情緒たっぷり!

カジュアルな店内にはテーブルのほか、カウンター席も。マトリョーシカなどの人形がさりげなく飾られた空間が異国の雰囲気を醸し出す

山手線沿線の中でもドラスティックな変化を遂げている目黒。大手外資系企業や芸能事務所、老舗ホテルなどがあることから、駅周辺以外にも飲食店が密集。権之助坂を下った山手通り沿いや元目黒競馬場にかけても人気店が多く、どこも連日賑わいを見せている。また昭和の面影を残す“飲食集合ビル“で宝探しのような気分で酒場めぐりを楽しむことができるのもこの街の魅力の一つ。そして、7月にオープンした「Anna’s Kitchen」もまた、多様で多彩な目黒の食文化を盛り上げるであろう店として注目を集めている。

昼間は定食を求めるリピーターで大にぎわい。開店から閉店まで通し営業なので、遅めのランチ、早い時間の飲み会にも重宝しそう

日本人にはなじみが薄い!? 実際食べればその味わいに夢中になる!

現在、日本でロシア、ジョージア料理を提供している専門店は100店舗もないと言われる。その中で「職人気質のシェフが作る料理が素晴らしい」と評判の老舗が、吉祥寺の「カフェロシア」だ。ロシア料理の定義は曖昧で、日本では中央アジアやジョージア、ウズベキスタンの料理も“ロシア料理”と一括されることが多い。日本でレストランを開きたいという思いのもとに「カフェロシア」で8年働いたルシコヴ・ヴラディスラヴさんは「まるでヨーロッパのような美しい街並み」と称されるハバロフスクを擁するロシアの極東部に生まれた。店名の「アンナ」はルシコヴさんの娘の名前で、そこには家族と過ごすような温かい時間を、心和む料理とともに楽しんでほしいという思いが込められている。

ピロシキ(野菜・肉)各1個350円

ロシアのことわざで「最初のブリヌィはだんごになる」というものがある。ブリヌィは現地では日常的に食卓に並ぶクレープのような薄焼きの食べ物のことで、日本語のことわざに置き換えると「習うより慣れろ」という意味になる。この言葉が表すように、まずは食べて体験してみることが新しい発見につながることも。ウクライナやロシア、ベラルーシで常食されるピロシキは、日本人にはおなじみの惣菜パンの一つ。オーブンで焼いたり、油で揚げたりと地域によって調理法は異なるが「Anna’s Kitchen」では、ソ連時代の伝統的なレシピに基づき、オーブンで焼き上げ、ふわっとした生地に仕上げている。そして、ジョージア料理といえば、数年前に某牛丼チェーン店がシュクメルリという鶏肉のガーリック煮込みを期間限定で提供して話題を呼んだが、スパイスをまぶした丸鶏を皮ごと香ばしく焼き上げたタバカも名物。さまざまな料理を少量ずつ味わえる前菜の盛り合わせからスタートし、焼きたてのピロシキを頬張り、ワインを飲みながらビーフストロガノフを味わうなど、豊富なアラカルトメニューから自分好みのコースを組み立てるのも食いしん坊の心をときめかせる。また、ランチ時は「ボルシチセット」1,600円やウズベキスタン風うどんの「ラグマンセット」1,300円なども登場し、それを目当てに通う常連客も多い。

ピロシキは生地から手作り。肉ピロシキは牛と豚のひき肉を使い、野菜ピロシキはキャベツやニンジン、玉ねぎなどたっぷりの具材が。塩や胡椒、にんにくで味付けをした旨みが濃いピロシキにさっそくワインが欲しくなる!

店主の修業先である「カフェロシア」でも人気の高い一皿。ジョージアではスプラという大勢で料理や酒を楽しむ宴会がたびたび行われ、タバカはそのスタメン料理。「Anna’s Kitchen」では、自家製のアジカというピリ辛ソースで1日マリネした鶏肉を高温のオープンでパリッと焼き上げて提供している。

「タバカ」1,400円。いろいろな鶏肉の部位を楽しむことができる。肉にしっかりと下味がついており、パサつきがちな胸肉もふっくらジューシー

まるでデザートのようなビジュアル!? 鮮烈な色味のボルシチが最高に美味!

「ボルシチ」800円。1回で10kgものビーツを手でおろす。柔らかく煮込まれた牛肉やサワークリームとともに味わう“ごちそうスープ”

ロシア料理といえば真っ先にボルシチを思い浮かべる人も多いはず。トムヤムクン、フカヒレ、ブイヤベースと並んで世界を代表するスープの一つと言われ、鮮度のいいビーツを使った手作りのボルシチは目を奪われるほどビビッドな色味。食卓が一気にカラフルになり、一口すすればその滋味に心を奪われる。家庭や店によって作り方はさまざまだが「Anna’s Kitchen」では、寸胴で牛骨やすね肉、香味野菜などをゆっくり煮込み、フレッシュなおいしさをそのまま届けるために手でおろしたビーツを最後に合わせて提供する。最初はそのまま、肉の深い旨みとビーツの土の栄養を丸ごと吸収したような味わいを楽しみ、少しずつサワークリームをくずしながら食べるのがおすすめ。体と心にすーっと養分がとけこみ、素朴で心和む味に“日常の口福”を感じる。

土着品種を使ったジョージアやアルメニアワインを料理とともに楽しもう!

ジョージアは世界最古のワイン産地。土着品種は525を超えるとも言われており、土地や造り手によってさまざまな個性を楽しむことができる。有名な黒ブドウ品種、サペラヴィを100%使ったキンズマラウリ(じつはチャーチル元英国首相も愛飲したとか!)をはじめ、飲み口がよいワインがそろう。ボトルは5,000円台が中心

「料理と一緒にお酒を楽しんでほしい」と、種類豊富なウォッカのカクテルのほか、最近注目度が急上昇しているジョージアや珍しいアルメニアワインも多数ラインアップ。特にジョージアワインは“世界最古のワイン”として知られ、伝統的な醸造法はユネスコの無形文化遺産にも登録されている。しっかりとタンニンを感じるものから洋梨のような爽やかな甘みを持つものまで、固定観念にとらわれず直感で選んでみれば、新しいワインの世界に触れることができるはずだ。

世界には未知なる美味がたくさんあると実感できる「Anna’s Kitchen」。温かいボルシチを味わいながら飲むジョージアワインや、できたてのピロシキと喉を潤すウォッカの相性は格別で「美味に国境なし」と思わずうなるはず。百聞は一食にしかず。その多彩で心まで温まる食文化に触れれば、新たな人生の楽しみや喜びを知るきっかけになるはずだ。

※価格はすべて税込


<店舗情報>
◆Anna's Kitchen
住所 : 東京都品川区上大崎2-17-4 美都ビル 1F
TEL : 03-6303-9037

文:小寺慶子 撮影:八木竜馬

The post 名店の流れをくむ「ロシア料理」の新店が目黒に誕生! 名物のピロシキは悶絶級のおいしさ! first appeared on 食べログマガジン.