「もっとキャリアアップしたい」「もっと洗練されたオトナになりたい」「もっとモテたい」

そんな上昇志向が強いオトナのために、東カレ編集部が厳選した“ワンランク上の自分になれるための本”を紹介します。

最近活字離れが進んでいる貴方も「5分だけ」読んでみてください!

今回、ご紹介するのは『「フーディー」が日本を再生する!ニッポン美食立国論 ――時代はガストロノミーツーリズム―― 』柏原光太郎著(発行:日刊現代、販売:講談社)

▶前回:「エルメスが欲しい!」と思うのは、同調圧力!?脳科学の観点から見ると驚きの事実が…




美味しいものを求めて世界中を旅する人のことを「フーディー」と呼びます。

食べ歩く場所は、自国のみならず、世界中。なかにはプライベートジェットで旅してまわるフーディーもいます。いま世界中のフーディーたちは、日本の美食に熱い視線を注いでいます。

世界の富裕層たちが今何を考え、日本をどう捉えているのか…。

本書で詳しく学べます。

▼INDEX
1. フーディーたちを、あなどれないワケ

2. 高級ホテルは、今は1泊30万円以上が当たり前!?

3. 本書のココがすごい!


1. フーディーたちを、あなどれないワケ



「日本でしか通用しない妙な企業家になるくらいなら、一流の寿司、ラーメンなどのシェフ、パティシエやバーテンダーになったほうが世界で活躍できる。

私がアメリカ滞在中にユニコーン起業家やキャピタリスト等から最も依頼を受けた案件は、『一流の寿司、ラーメンのシェフを紹介してくれないか?パトロンになりたい』というもの。

日本のお金やデータサイエンティスト、エンジニア、科学者、日本のスタートアップとの連携が欲しいという依頼は1件もなかったのに。

彼ら超超富裕層の造りたい店で働けたら、もちろんビザも出るし、待遇も半端ないし、やりようによってはいろんな意味で大成功するかもしれない。顧客リストも彼らの友人中心なので半端ない」

これは、元参議院議員でいまはシンガポールで投資家として活躍する田村耕太郎さんの2021年12月26日のFacebookの投稿だ。

「日本は貧しくなった」という議論があるが、食の世界で成功すれば、どんな地方にあっても世界中から人が訪れ、世界中からイベントのオファーが来る

そして世界中から「支店を作れないか。コーディネートしてくれないか」と相談される。つまり食の世界はいまや、「世界基準」で稼ぐことができる可能性を秘めている。

その鍵を握っているのが、フーディーだ。


フーディーたちにとって重要なのは「美味しい料理に出合う」こと。

しかし、その料理が美味しいか美味しくないかの基準は、人によって違う。

「この人が美味しいというのなら行ったことがなくても人に推薦できるが、あの人がいくら美味しいといっても信じられない」という場合はある。

なので、フーディーたちは、同じような趣味嗜好を持つコミュニティの中で情報交換するわけだ。そこには趣味嗜好だけではなく、やはり経済力も加味される

彼らが訪れたい店は、世界中のフーディーが訪れたい店。

しかし店のキャパシティは決まっているし、いい食材だって限られている。いい料理人の給料もどんどん上がっていく。

料理がアートと同じような価値をもっていくと、内装や器、場所にもこだわるようになっていき、それはすべて価格に跳ね返る。

いまや銀座や港区の寿司屋は一人前のお任せコースが5万円を超えるのも不思議ではなく、3万円しないと「安いね」といわれるほどだ。お酒を入れたら2人で10万円は最低でもかかる。

日本海のズワイガニや天然ふぐ、ジビエなどの料理を出す冬の日本料理店に行けば、ひとり10万円は普通だ。

銀座の有名なステーキ屋は、最高級ワインしか置いていないため、それらを開けるとひとり100万円以上の支払いになるのは当たり前といわれているし、料理だけでも20万円を優に超えるようだ。

ファミリーレストランのステーキ御膳なら高くても1万円はしないわけで、それでいいという人にとっては、銀座のステーキ屋に金を払う意味はまったく見いだせないだろう。

しかし日本の最高級のアワビがすべてこの店にきて、黒毛和牛のシャトーブリアンの一番いい肉がここで食べられるのであれば、プライスレスだと感じる人もいる。




このように、似たような価値観、経済的な価値を見いだせる人々がコミュニティを作っていく。

コミュニティは、ほとんどの場合がクローズドで存在すら知られていない場合も多い。

そこでは「ミシュラン3つ星レストランの副料理長が来年、独立することが正式に決まったよ」「西麻布のあのフレンチレストランのソムリエが今度、広尾の新しいレストランに転職するらしいよ」といった情報がいち早く飛び交う。

彼らにとって、そうした情報を誰よりも早く知ること自体が快感なのだが、コミュニティに属していると、さらに別の利点がある。

たとえば有名レストランの副料理長の独立が決まった場合、すぐに人気が出て予約が取れない店になってしまうかもしれない。だから、開業直後に店を一日貸し切り、まずは仲間うちで出かける。

そのコミュニティに属することで、新規開店で今後人気が出そうな店に参加する権利が得られるのだ。




ただ、世界的なフーディーたちは、そんな小さいコミュニティの中だけで動いているわけではない。

世界の飲食関係者にとっては、ミシュラン以上に信頼を得ているといわれている「世界のベストレストラン50」がある。イギリスで『レストラン』という専門誌を発行するウィリアム・リード社が2002年からスタートされたランキングだ。

「世界のベストレストラン50」の上位に入ったレストランには予約が殺到し、メディアにも多く登場するだけに、いまや世界のトップレストランは、ミシュランガイド以上にここで上位に入ることを念頭に置いている。

そして、そのランキングに世界のトップフーディーたちがとても大きく関わり、重要な役割を担っている。

というのも、ランキングを決める審査員は世界各国から選ばれた1,000人程度だが、「シェフやレストランの関係者」「フードライターなどのジャーナリスト」に加えて、「いわゆるフーディーと呼ばれる食通たち」が投票に関わるからだ。

フーディーの投票は、全体の3分の1を占めるので、大変重要な決定権を持っている。

審査員は毎年、一定数が入れ替わる。そして18ヶ月以内に実際に行ったレストランしか投票できないので、世界中を飛び回って食べられる人にしか審査員になれない。まさに富裕層のためのレストランガイドといえる。

このようにフーディーは美食を求め、美食のためにはお金も時間もいくらでもかける人々のことをいう。

それゆえ、まずはフーディーを取り込み、日本の食のよさをPRしてもらうことは、日本の地方創生にとって大きな意味を持つ


2. 高級ホテルは、今は1泊30万円以上が当たり前!?



フーディーの情報をきっかけとして、そこに観光や宿泊、ショッピングなど広く地方へお金が落ちるシステムを構築する戦術が必要だ。

素晴らしい宿泊設備や交通インフラがあれば、充実したガストロノミーツーリズムが生まれる。ガストロノミーツーリズムが発展すれば、富裕層が訪れるラグジュアリーツーリズムとなり得る




高級宿泊施設経営には、「7・30・100」の壁があるのを知っているだろうか。

1泊2食付きの高級旅館を考えたとき、どんなに設備や食事に凝ったとしても、1泊7万円以上取ることは心理的ハードルが高いというもの。

たしかに、通常の日本人の感覚だと、2人で15万円の宿は、よほど特別なご褒美でない限り選びにくい。

しかし、実際に日本の富裕層の行動を見ていると今や1泊30万円は十分とれるようになってきている。瀬戸内海の高級遊覧船「ガンツウ」や九州のクルーズトレイン「ななつ星」の価格を見ると1泊30万円以上するのに、予約がまったくとれない状況になっている。

さらに上を行くのがインバウンド。

きちんとした設備、ホスピタリティ、食事環境を整備すれば1泊100万円でも問題なく支払うそうだ。

実際、2023年4月に東京・八重洲に開業した世界で8番目のブルガリの名前を冠する高級ホテル「ブルガリ ホテル 東京」はダイナミックプライシング(需要と供給の状況に応じて宿泊価格を変動させる制度)を採用しているが、ツインルームの最低価格は1泊1室30万円台、しかもスイートルームから予約が埋まっているといわれている。

ほんの10年前には、東京だけではなく世界の先進都市にある外資系ホテルのツインルームの標準は500ドルといわれていたので、あっという間に5倍になったわけだ。

今後は、フーディーが発見した美食を核にして地方を盛り上げることが、地方創生の一番成功する方法になるだろう。

具体的には、大軽井沢経済圏、北陸オーベルジュ構想、瀬戸内ラグジュアリーツーリズムを計画している。




コロナ以前にインバウンドや富裕層を取り込んで成功した地方といえば、誰もが北海道のニセコを思い出すだろう。

ニセコの勢いは、コロナ禍になっても失われなかった。世界的な高級ホテルのパークハイアットやリッツ・カールトンが開業し大盛況だ。アマングループも2026年開業を目指して建設中。

外資系だけではなく、国内のデベロッパーも健闘している。

たとえば、三井不動産が開発したスキー場直結の一大リゾート「HINODE HILLS Niseko Village」は、世界10か国においてリゾート、ホテル、ブティックホテルを運営する「YTL HOTELS」と提携し、レジデンシャルホテルを分譲している。

ニセコの例のように、「美食」「インバウンド」という単語を複合的に使った「ガストロノミーツーリズム」、そしてそこに「富裕層」という単語も加えた「ラグジュアリーツーリズム」を発展させることで、地方を蘇らせたいと私は思っている。


3.本書のココがすごい!



今回紹介した、『「フーディー」が日本を再生する!ニッポン美食立国論 ――時代はガストロノミーツーリズム―― 』のすごいところは下記に集約される。

?日本の食は世界に誇れる文化であることを再認識できる。

?世界中のフーディーが訪れる名店リストが掲載されていてお得。

?世界を美食ツアーした気分になりテンションが上がる。




著者 柏原光太郎氏/「日本ガストロノミー協会」会長

慶應義塾大学卒業後1986年、株式会社文藝春秋入社。

「週刊文春」「文藝春秋」編集部等を経てニュースサイト「文春オンライン」、食の通販「文春マルシェ」を立ち上げる。「東京いい店うまい店」編集長も務める。

2018年、美食倶楽部「日本ガストロノミー協会」を設立したほか、「OCA TOKYO」ボードメンバー、食べロググルメ著名人、とやまふるさと大使なども務める。


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