世界的なインフレで円安が進む? 外為オンライン佐藤正和氏
自民党が過半数を上回る259議席を獲得し、公明党との連立で絶対安定多数を上回る293議席を確保したことで、ドル円は114円台前半まで円が売られました。政権の安定というプラス面では株式市場が大きく上昇し、為替市場は「リスクオン」と判断されて、円が売られドルが買われました。
いずれにしても、自民党と公明党の連立政権体制は今後も続くことになり、当面は現在のトレンドが続くのではないかと思われます。ドル円相場では1ドル=114円〜115円の攻防がしばらくは続くのではないでしょうか。
岸田政権の政策内容がまだはっきりしていないため何とも言えませんが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令などで、大きなダメージを被っている飲食業や航空、鉄道などの運輸関連、そして観光業等を支援するという意味でも、安定多数を背景に様々な経済対策を打ち出してくるはずです。日本だけの要素で決まるわけではありませんが、とりあえずはリスクオンで円安の限界が試されそうです。
――その一方で、米国はテーパリングがスタートしそうですが、その影響は?
11月2日−3日に実施される「FOMC(米連邦公開市場委員会)」では、テーパリング(資産買入縮小)の開始が宣言されると予想されています。すでにマーケットでは織り込み済みですが、単なるテーパリング開始の発表ではなく、その期間や利上げまでのタイムスケジュールなどがどこまで示唆されるかに注目度が集まっています。
背景には、パウエルFRB議長がずっとこだわってきた「一過性のインフレ」という認識が、実際のインフレ率と乖離し始めており、この部分をどう修正してくるのかが注目されます。実際に、先週発表された8月の「PCE(個人消費支出)デフレーター」が年率で「4.4%」と高い水準となり、インフレの長期化が懸念され始めています。この数字は、1983年以来38年ぶりの数字となっており、今回のFOMCでは、ひょっとしたら利上げまでの期間を短縮してくるかもしれません。ゴールドマン・サックスも利上げは2023年と予想していましたが、最近になって利上げ予想の時期を2022年7月に前倒ししてきました。
10月5日に発表される米国雇用統計でも、景気回復の勢いはさらに拍車がかかると予想されています。10月の非農業部門雇用者数は45万人の増加が予想されており、9月の19万4000人を大きく上回ると予想されています。10月の失業率も予想値で4.7%と、新型コロナウイルスのパンデミックが始ってから最低の数字になっており、米国の雇用情勢が確実に回復しつつあることを物語っています。
新規失業保険申請件数も、10月23日までの1週間で28万1000件と最低レベル。また、7−9月期の雇用コスト指数が「1.3%」上昇し、過去最大の伸びとなっています。労働力不足を背景に、あらゆる業種で賃金上昇圧力が強まっていると言って良いでしょう。
