【ジャケ買い日本酒】祭り囃子が聞こえてくる「セトイチ ぴぃひゃら」〜『伊藤家の晩酌』第二十四夜3本目〜
弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十四夜は「ジャケ買い」がテーマ。3本目は、一度聞いたら忘れられない名前のお酒。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
第二十四夜3本目は、祭りの夜をイメージしたネーミングの「セトイチ ぴぃひゃら」
神奈川県足柄上郡のにある酒蔵「瀬戸酒造店」の「セトイチ」シリーズは、飲む人やシーンをイメージした酒造りで、ユニークなネーミングで惹きつける。
「セトイチ ぴぃひゃら」720ml 1834円(税込・ひいな購入時価格)/株式会社瀬戸酒造店
娘・ひいな(以下、ひいな)「最後は、『ぴぃひゃら』です」父・徹也(以下、テツヤ)「お?」
縦笛が登場!?
祭り囃子の演奏が鳴り響く
ひいな「ぴぃぴぃぴぃひゃらららら〜〜〜〜〜〜」テツヤ「まさに!」ひいな「『ぴぃひゃら』は、神奈川県足柄の瀬戸酒造店のお酒です」テツヤ「かわいいね」ひいな「かわいいでしょ? この名前に惹かれたっていうのもあるけど、ホームページがね、すごいの」テツヤ「そうなんだ。どんな?」ひいな「最初に、このお酒の名前『ぴぃひゃら』ってなんぞや?って気になったんだけど、ほかにもいろんな銘柄があってね。『いざ』『はるばる』『手の鳴る方へ』『月が綺麗ですね』『かくがくしかじか』『風が吹いたら』『音も無く』『Fly me to the moon』とかいろいろあって」テツヤ「え(笑)。それはお酒の名前なの?」ひいな「そう。あとね、『ぴぃひゃら』について書いてあった言葉をそのまま読むね。“ちゃんか、てんつく、ぴぃひゃらら。祭り囃子が鳴り響きゃ、居ても立ってもいられない。腹ごしらえもそこそこに、体が勝手に動き出す……”」テツヤ「祭りの酒なのか! いいね」ひいな「いいでしょ?」テツヤ「祭りっていいよな。なんか、こんな時代だから祭りが恋しいよ」ひいな「飢えてるよね。お祭り家族だもんね」

テツヤ「ひいなは、お囃子やってるもんな」ひいな「太鼓と、笛は練習中」テツヤ「小学生からだもんな。お祭りとか年越しの時にね」ひいな「ひょっとことか獅子舞とかやったりしてて。だから『ぴぃひゃら』が目についたんだよね」
ワイングラスでどうぞ。
乾杯〜!
さてはて、お味は?
テツヤ&ひいな「乾杯〜!」テツヤ「あぁ、これもいいぞ。おいしい! すっきりしてて香りもいいね。でも……、すごく個性あるかと言われたら……ないかな」ひいな「そうなの。純米吟醸なんだけどね、アルコール度数15〜16度、精米歩合60%、日本酒度+2だから、そんなに甘口でも辛口でもない」テツヤ「これは何にでも合うお酒だな」ひいな「でもね、何にでも合うからこそ、これにぴったりハマる料理を探すのが難しかった」テツヤ「何でも合うだけに。でもさ、こんなにまとまった味のお酒を造るほうが難しいんじゃないかと思うくらい、めちゃくちゃバランスがいいね」ひいな「そうなの。おつまみ持ってくるね!」
「セトイチ ぴぃひゃら」に合わせるのは「ブロッコリーの芯のぬか漬けと生ハム」。

ひいな「このお酒に合わせる料理、すごく迷って」テツヤ「え、これ何? パイナップル? 何だろう?」ひいな「ブロッコリーの芯のぬか漬けと生ハムです!」テツヤ「ブロッコリーの芯?」ひいな「そう。ぬか漬けにしてあるんだけどね。お母さんの会社の人が教えてくださって。芯のぬか漬けがおいしいって」テツヤ「そうなんだ。生で漬けるの?」ひいな「茹でてから」テツヤ「めちゃいい感じで漬かってる。確かにこのぬか漬けの酸味がお酒の酸味に合うねぇ」ひいな「そうなの! シャープな酸味と合わせる感じ」テツヤ「うん、めちゃ合う。ここにクリームチーズ入れてもいいかも」ひいな「入れてみる?」

テツヤ「合うよ、絶対。塩気と乳酸発酵に。いやぁ、このブロッコリーの芯、うんまいね。きゅうりよりうまいかも。これクリームチーズと抜群に合うね!」ひいな「クリームチーズあったほうがおいしいね。お父さんのアイデア、いただき。まとまりが出てきた感じがする」テツヤ「俺もこの連載2年やってやっと、娘にいい提案ができた気がする」ひいな「そんなことないよ(笑)」テツヤ「この酒、久々に、なんていうか優等生な酒だよね」ひいな「うん、正統派だよね」テツヤ「そうそう。欠点がない感じ。いいやつだなって感じがするよ」
日本酒の名前から広がるイメージ。誰と、いつ、どんな肴で飲むかを想像しながら。

ひいな「“全量小仕込みの丁寧な酒造りだからこそできる様々な顔つきの日本酒を提案し、日本酒のよろこびを広げる”っていうのが、このセトイチシリーズなんだって。“誰と、いつ、どんな肴で飲みたい酒か”をイメージして造ってるらしくて」テツヤ「へぇ。おもしろいね」ひいな「“祭りの夜を思わせる軽快な香りと濃厚な味わい。若々しい張りのある元気な酒”って書いてあって」テツヤ「どんな祭りをイメージしてるんだろうね。いい思い出なんだろうな。俺のイメージはね、浴衣着てる同級生とデートしてるよね。青春の甘酸っぱい思い出だろう、これは」ひいな「え、そう? 私は神輿担ぎながら、夜は浴衣に着替えてデートするみたいな感じ?」テツヤ「そんな器用なやついる?」ひいな「イメージはそれぞれだから(笑)。ほかにもおもしろいこと書いてあって。“ジムで鍛えて筋肉をつけた身体ではなく、日々の労働によって引き締められたシャープな身体”のイメージなんだって。ゴリゴリな筋肉質よりは、内にひそむ筋肉みたいな?」テツヤ「つまり、インナーマッスル?」

ひいな「そういうことかな(笑)。あとね、お酒にそなえたいことっていうのもおもしろくてね。(1)センターがしっかりしていること(2)良いものが持つ本質的な軽みがあること(3)静かであること(4)品の良さと荒々しさが同居していること(5)長所が欠点を上まわること。なんだって」テツヤ「へぇ。まさにその通りの酒だよね。うん。すごくいい酒だと思う」ひいな「特にこの(1)と(2)ね。センターがしっかりしていて、良いものが持つ本質的な軽みがあることっていうのがね。すごくわかる」テツヤ「センターがブレるとどうしようもないからね。どの世界でも」ひいな「これくらいまとまったお酒って反対に造るの難しそうだけどな」テツヤ「確かに、個性が際立つ世界でね。でもこれは誰もがおいしいって言う酒だと思うよ。ただ、これを飲んで『ぴぃひゃら』だってわかるかどうは別の話だけど」ひいな「これ、ずっと飲み続けられるお酒だよね」テツヤ「なんでこれジャケ買いしたの?」ひいな「これはジャケっていうか、ネーミングに惹かれたからかな」

テツヤ「写真では伝わらない質感があるラベルだよね。これ版画だよね。金の箔押しもあるし」ひいな「いいね。あとね。このお酒のいいところは、小さい300mlのお酒も売ってるの」テツヤ「へぇ、そりゃ珍しいね」ひいな「私が瀬戸酒造店さんを知ったのは、ブレンドを蔵が推奨しててたことなの」テツヤ「え? お酒を混ぜちゃうの?」ひいな「そう。2つのお酒を1対1とか、いろんな比率でオススメしてて、セット売りしてたことがあって」テツヤ「それはおもしろいね」 ひいな「そう。しかもね、社員の声でね、“杜氏さんは何対何が好きでした”とか書いてたりしてて、それがすごくおもしろいなと思って」テツヤ「酒蔵がそれをオススメしてるんだ。自由でいいね」ひいな「自由だよね。『ぴぃひゃら』とか言ってるくらいだから(笑)」テツヤ「日本酒もさ、もっと自由でいいと思うんだよね。もっと自由に、もっとおいしく飲めたらいいよね」ひいな「賛成!」

【ひいなのつぶやき】自由な日本酒のあり方を推奨してくれる瀬戸酒造店。「伊藤家の晩酌」でも、お酒のブレンドをする回やってみたいな〜!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

