「当時の日本の情報機関や人材は、遥かに劣後していた」作家・外交ジャーナリスト手嶋龍一、11年ぶりの新作「鳴かずのカッコウ」を語る
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMの番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00〜22:30)。4月17日(土)、24日(土)の放送は、2週にわたって作家・外交ジャーナリストの手嶋龍一さんがゲスト出演。17日(土)放送では、ベストセラーとなったインテリジェンス小説「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・サバイバル」に続く11年ぶりの新作小説「鳴かずのカッコウ」(小学館)について語りました。

1949年、北海道出身の手嶋さん。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに入局。その後、NHKワシントン支局長に就任。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件では、11日間にわたる24時間連続の中継放送を担当しました。NHKを2005年に退局した翌年、世界各地に張り巡らされた極秘の情報源を駆使し、北朝鮮の独裁国家の謎に挑んだインテリジェンス小説(※)「ウルトラ・ダラー」(新潮社)を発表。その続編となる「スギハラ・サバイバル」(新潮社)を2010年に出版し、いずれもベストセラーに。そのほか、ノンフィクション作品も多数発表しています。
そんな手嶋さんは2020年12月、前作から11年ぶり、3冊目となるインテリジェンス小説「鳴かずのカッコウ」(小学館)を発表し、話題を集めています。
(※)インテリジェンス小説……現実に進行している国際的な事件を精査・分析して、貴重な情報を紡ぎ出し、近未来に忍び寄る危機を描く小説
◆日本はインテリジェンス後進国
茂木:今回の主人公は、公安調査庁調査官で、日本のマンガが大好きなオタク青年。情報機関である公安調査庁で、1人前のインテリジェンス・オフィサー(情報員)となっていく姿を描いたインテリジェンス小説です。日本人の主人公は初ですね。
手嶋:前2作(「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・サバイバル」)は、じつに魅力的なイギリスの秘密情報部員が主人公でした。
「鳴かずのカッコウ」の“カッコウ”は、英国では“スパイ”の隠語。つまり、“鳴かず飛ばず”のカッコウは、自覚に乏しいまま間違って情報機関に入ってしまった日本青年が主人公です。今回は、物語の舞台もニッポン、主人公も日本人です。むろんそこに大きな意味があると受け取ってもらっていいと思います。
10年以上前のニッポンは、世界屈指の経済大国でもあり、その結果として情報の集積地でした。勃興する新しい大国、中国を目前にしているのですから、インテリジェンス(機密情報)の宝庫でした。それゆえ、世界各地から腕に自信のあるインテリジェンス・オフィサーが集まっていました。前回の2つの物語は、そうした実態を忠実に映し取ったものです。それが「ウルトラ・ダラー」と「スギハラ・サバイバル」として結実しました。
ところが、残念なことに、当時は舞台がニッポンなのに、主人公は英国の情報部員でした。世界のインテリジェンス・コミュニティからみると、当時の日本は、満足な情報機関もなく、これはという人材は見当たらず、国際的な水準からは遥かに劣後していました。
茂木:そうなんですね。
手嶋:しかし、今は当時と比べて、海洋強国を呼号する中国が、東シナ海でプレゼンスを高め、大陸と台湾を隔てる台湾海峡の“波”は高くなってきています。こうした情勢を受けて、日本にもようやく危機感が出てきています。米国は米国のために情報活動をおこなっているのですから、日本も自前の情報をと考えて当然でしょう。
東アジアの有事で同盟国のアメリカは本当に日本を助けてくれるのか?「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ前大統領は同盟国を守ってくれるのか? 余程のん気な人でない限り、大丈夫と断言できる人は多くはないはずです。
戦後の日本は、ミサイル、核兵器、空母機動部隊などは持とうとしませんでした。国家としては、鋭い“牙”を備えていなかった。鋭利な牙がないのなら、ウサギがそうであるように、せめて“長い耳”は持っているべきです。ところが、戦後の日本は、情報要員を海外に配するインテリジェンス・オフィサー(情報要員)を抱える情報機関を持とうとしませんでした。アメリカならCIA、イギリスならMI6、イスラエルならモサドのような対外情報機関を持たずにきました。G7のなかでは唯一の「対外情報機関なき大国」なのです。
「これでいいのか?」と誰しも心配になるはずです。こうした危機意識の高まりが背景にあって、日本人を主人公にする物語が生まれる素地がようやく整ってきたと思います。まだカッコウは鳴いていませんが、“鳴かず飛ばず”のカッコウが生息する地帯は拡がっています。いつの日か蒼穹に舞い上がってほしいと願っています。
茂木:なるほど!

次回4月24日(土)の放送も、引き続き手嶋龍一さんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに!
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック! http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7160
聴取期限 2021年4月25日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00〜22:30
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/dreamheart/

手嶋龍一さん
1949年、北海道出身の手嶋さん。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに入局。その後、NHKワシントン支局長に就任。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件では、11日間にわたる24時間連続の中継放送を担当しました。NHKを2005年に退局した翌年、世界各地に張り巡らされた極秘の情報源を駆使し、北朝鮮の独裁国家の謎に挑んだインテリジェンス小説(※)「ウルトラ・ダラー」(新潮社)を発表。その続編となる「スギハラ・サバイバル」(新潮社)を2010年に出版し、いずれもベストセラーに。そのほか、ノンフィクション作品も多数発表しています。
そんな手嶋さんは2020年12月、前作から11年ぶり、3冊目となるインテリジェンス小説「鳴かずのカッコウ」(小学館)を発表し、話題を集めています。
(※)インテリジェンス小説……現実に進行している国際的な事件を精査・分析して、貴重な情報を紡ぎ出し、近未来に忍び寄る危機を描く小説
◆日本はインテリジェンス後進国
茂木:今回の主人公は、公安調査庁調査官で、日本のマンガが大好きなオタク青年。情報機関である公安調査庁で、1人前のインテリジェンス・オフィサー(情報員)となっていく姿を描いたインテリジェンス小説です。日本人の主人公は初ですね。
手嶋:前2作(「ウルトラ・ダラー」「スギハラ・サバイバル」)は、じつに魅力的なイギリスの秘密情報部員が主人公でした。
「鳴かずのカッコウ」の“カッコウ”は、英国では“スパイ”の隠語。つまり、“鳴かず飛ばず”のカッコウは、自覚に乏しいまま間違って情報機関に入ってしまった日本青年が主人公です。今回は、物語の舞台もニッポン、主人公も日本人です。むろんそこに大きな意味があると受け取ってもらっていいと思います。
10年以上前のニッポンは、世界屈指の経済大国でもあり、その結果として情報の集積地でした。勃興する新しい大国、中国を目前にしているのですから、インテリジェンス(機密情報)の宝庫でした。それゆえ、世界各地から腕に自信のあるインテリジェンス・オフィサーが集まっていました。前回の2つの物語は、そうした実態を忠実に映し取ったものです。それが「ウルトラ・ダラー」と「スギハラ・サバイバル」として結実しました。
ところが、残念なことに、当時は舞台がニッポンなのに、主人公は英国の情報部員でした。世界のインテリジェンス・コミュニティからみると、当時の日本は、満足な情報機関もなく、これはという人材は見当たらず、国際的な水準からは遥かに劣後していました。
茂木:そうなんですね。
手嶋:しかし、今は当時と比べて、海洋強国を呼号する中国が、東シナ海でプレゼンスを高め、大陸と台湾を隔てる台湾海峡の“波”は高くなってきています。こうした情勢を受けて、日本にもようやく危機感が出てきています。米国は米国のために情報活動をおこなっているのですから、日本も自前の情報をと考えて当然でしょう。
東アジアの有事で同盟国のアメリカは本当に日本を助けてくれるのか?「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ前大統領は同盟国を守ってくれるのか? 余程のん気な人でない限り、大丈夫と断言できる人は多くはないはずです。
戦後の日本は、ミサイル、核兵器、空母機動部隊などは持とうとしませんでした。国家としては、鋭い“牙”を備えていなかった。鋭利な牙がないのなら、ウサギがそうであるように、せめて“長い耳”は持っているべきです。ところが、戦後の日本は、情報要員を海外に配するインテリジェンス・オフィサー(情報要員)を抱える情報機関を持とうとしませんでした。アメリカならCIA、イギリスならMI6、イスラエルならモサドのような対外情報機関を持たずにきました。G7のなかでは唯一の「対外情報機関なき大国」なのです。
「これでいいのか?」と誰しも心配になるはずです。こうした危機意識の高まりが背景にあって、日本人を主人公にする物語が生まれる素地がようやく整ってきたと思います。まだカッコウは鳴いていませんが、“鳴かず飛ばず”のカッコウが生息する地帯は拡がっています。いつの日か蒼穹に舞い上がってほしいと願っています。
茂木:なるほど!

手嶋龍一さん、茂木健一郎
次回4月24日(土)の放送も、引き続き手嶋龍一さんをお迎えしてお送りします。どうぞお楽しみに!
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック! http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7160
聴取期限 2021年4月25日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00〜22:30
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/dreamheart/
