5月、女子プロレスラーの木村花さんが「インターネットの誹謗中傷」を苦に自殺したとみられる痛ましい出来事があった。

【映像】リプライを可視化すると“誹謗中傷”実は少数

 この出来事をきっかけに企業や社会は変わり始めている。Yahoo!ニュースを運用するヤフーは、AIを使って1日平均およそ2万件の不適切な投稿の削除を行っている。さらに、他の投稿系サービス事業者に技術提供をするほか、悪質な投稿の削除などをめぐる法律の問題を有識者と議論する検討会を6月中に立ち上げることにした。

 また、「誹謗中傷や炎上」の研究も進む中、SNSでの被害を小さくすることにつながるかもしれないシステムが開発された。

 「例えば100人に攻撃されるというのは個人にはすごく大きなことだが、全体で見たらごくわずか。社会全体からの攻撃だと思ってしまいがちだが、そんなことはない。それが見えるのであれば、もう少し心を落ちつけることができるのではと」

 インターネットの誹謗中傷対策として、Twitter炎上時の「リプライ可視化システム(β版)」を開発した、東京大学大学院の鳥海不二夫准教授。このシステムでは、自分向けに送られたリプライの統計データを見ることができるという。

 「悲しい事件があったことを受けて、誹謗中傷の心的ダメージが大きいというのを改めて感じた。だけど、実際にどのくらい人が攻撃していたかというと、おそらく世間のほとんどの人たちが事件後に『こういうことがあったんだ』と知ったくらい、ごく一部の人たちの攻撃だったはず。炎上する芸能人の方を分析してみると、中にはリプライを送るためだけに作ったようなアカウント(やBotなど)も存在しているので、こういった意見を真剣に聞く必要があるのかは判断が難しい。(データを)見た上で意見を受け入れるか考えていいと思う」(同)

 この研究の元となったのは、「炎上に加担する人は1.5%程度しかいない」という国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授の論文。鳥海准教授は「たくさんに見える誹謗中傷が、実は全体から見ればごくわずかな人々の手によるもの」ということを分かりやすく可視化することで、被害を少しでも小さくしたいと語る。

 「誹謗中傷がネットから無くなることはないと思っている。これは人間の性で、Twitterのようなソーシャルメディアがある限り、今後もこのようなことが起き続ける。起きた時に被害ができるだけ小さくなるといいので、こういうシステムがその助けになればいいなと思う」(同)

(ABEMA/『けやきヒルズ』より)