東京・原宿の「&Panasonic」。快適な睡眠環境を作るデモを行っている

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 センサーなどの技術を活用して良質な睡眠を促す「スリープテック」市場が活気づいている。家電メーカーや通信会社はホームIoT(モノのインターネット)サービスの普及拡大の牽引役と期待する。寝具業界も事業の幅を広げる好機と捉えて参入が活発になっているほか、ベンチャー企業も台頭している。

 国内では2017年に睡眠不足が借金のように積み重なり不調を引き起こす「睡眠負債」が流行語になり「良質な睡眠」に対する需要が高まった。その中で、スリープテックはIoT活用の機運にも乗り、新たな市場として表出してきた格好だ。異業種が入り乱れる市場で抜け出すのは誰か―。(文=葭本隆太)

長年の知見生かすとき
 エアコンや照明、スピーカー、アロマ送風機、加湿空気清浄機などが備えられた寝室。各機器はWi‐Fi(ワイファイ)などで連携し、センサーで睡眠状態が可視化された個人に最適な睡眠環境を作り出す。起床時には睡眠状態を評価し、よりよい睡眠を実現するための飲み物などアイテムの提案を行う―。

 パナソニックが4月に開設した多様な企業と協業を模索する拠点「&Panasonic」(東京・原宿)の一角で行われているデモだ。同社が注力するホームIoT基盤「HomeX」を活用した睡眠ソリューションのイメージをパートナー企業に紹介し、睡眠環境をよりよくするサービスや製品などについて議論する。拠点を設けることでパートナー企業を広く呼び込み、協業を加速する狙いがある。

 「HomeX」において睡眠は重要なテーマに位置づけられる。パナソニックアプライアンス社の菊地真由美さんは「眠りは人生の3分の2を輝かせるための重要な人生の3分の1。?くらしをアップデートする?というHomeXの思想と強くリンクする」と説明する。

 もっともパナソニックにとっては長年の研究が生かせる点が大きい。同社が睡眠の研究を始めたのは約30年前まで遡る。光との関係に始まり、ホテル向けに照明などを制御して快眠を促す睡眠システムを導入したこともあるが、当時は睡眠に投資する時代ではなく導入は広がらなかった。その後、厚生労働省がまとめた「健康日本21」などで睡眠による健康作りの重要性が指摘される中で、改めて13年に社内プロジェクトが動き出した。14年には睡眠状態を計測・可視化するスマホアプリを開発し、現在は計測結果を基にエアコンなどを最適に制御する機能も提供している。

 そうした中で今や社会の睡眠への関心は高まり、データが価値になる時代にもなった。パナソニックにとっては取り組みを強化しない手はないというわけだ。