「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「芸(藝)」。「芸術の秋」にひもといてみたい漢字です。



「芸」という字は草かんむりに「云」と書きますが、これは略字。

旧字体の「藝」には草かんむりと「云」の間に、「執行」「執筆」の「執」という字がはさまれています。

この旧字体の「藝」は、樹木や草を植えることを示しています。

「執」という字には、手にもつ、執り行う、という意味があるからです。

つまり、私たちが使っている「芸」という字が表しているのは「草木を植えること」。

では、なぜその「芸」という字が、「芸術」「学芸」「芸能」ということばに使われているのでしょう。

たとえば、いにしえの誰かが松明を手にして、洞窟の岩壁に絵を描き始めたとき。

その人は、ことばにできない想いを、夢中になって形にしていきます。

美しいものを見て幸せな気持ちになった、大切なものを失ってひどく悲しかった。

楽しかったこと、苦しかったこと、信じるべきもの、愛するもの。

時にやすらぎを覚えながら、時に怒りにふるえながら、先人たちはさまざまな芸術を生み出してきました。

そこにこめられた想いに向き合ったとき、観る者の心に何かが芽生え、新たな景色が広がってゆく。

その様子から、草木を植えることを意味する漢字「芸」が使われるようになったのです。

ではここで、もう一度「芸(藝)」という字を感じてみてください。

日本画家の千住博氏は、『他人と仲良くやるための知恵』が芸術であると定義し、さらにこう、付け加えます。

「芸術というのは人間の人間に対する問いかけ、伝達不可能と思える内容のコミュニケーションなのだ。」

私はこう思う、あなたはどう感じる?

時空を超えた問いかけに、答えを導きだそうとするあなた。

分かり合えればうれしいし、分からなければ面白い。

思いもよらない感情の芽生えを楽しむ、芸術の秋がやってきました。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『未来のおとなへ語る(10) わたしが芸術について語るなら』(千住博/著 ポプラ社)

『芸術を創る脳 美・言語・人間性をめぐる対話』(酒井邦嘉/編 曽我大介、羽生善治、前田知洋、千住博/著 東京大学出版会)

11月4日(土)の放送では「炉」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2017年11月5日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/