私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「駅ナカコンビニ」に続いて、今回はアルバイト従業員に関する話題を取り上げています。24時間営業に欠かせない存在ではあるものの、毎月のシフト組みには大いに悩まされ、また時にはドタキャンもされたりと、アルバイトの安定確保にはどの店長さんも苦心しているようで……。

店長がシフトに苦労する時期とは?

これまで、店舗経営者(オーナー、店長)が人件費コストを圧縮するために、自分自身の身を削って勤務シフトに入るという話は、このコーナーでもよく取り上げてきました。今回はそれとは逆のパターンで、アルバイトが足らなくなり厳しい状態に陥るというお話です。

コンビニを含めた外食・小売業は、アルバイトを中心とした店舗オペレーションを実行しています。売上に対する人件費(人件費比率)は一般的に12%〜14%程度になります。時給は地域によって異なりますが、一般的なコンビニではアルバイトが約20人〜30人必要になります。

各店舗では毎月中旬頃になると、翌月の勤務シフトを作成し始めます。まずは基本的なシフトを組み合わせていき、そこから各アルバイトから申し出があった休みの予定を反映させていくのですが、そうするとどこかに「シフトに穴が開く」ことになります。

シフトに空いた穴をふさぐために、店長は様々なアルバイトに「お願い」をすることになります。このような場合、比較的時間に融通が利くフリーターが代役として重宝されます。こうして、普段は深夜勤務帯にシフト入りしているアルバイトが、突然ピンチヒッターとして夕方の時間帯に登場します。ちなみに腕の良い店長ほど、この「お願い」の貸し借り関係をうまく勘案して、手際よくシフトを埋めていくことができます。

このように毎月の悩みの種である勤務シフトの作成ですが、特に3月はアルバイトの主力である大学生が、卒業を控えて大量に退職するため、例年苦労をするのだそうです。また、最近ではどの店舗でも中国人のアルバイトが多いですが、彼らは「国慶節」や「春節」の時期になると、多くが国元に帰省してしまうので、その時期になるとアルバイトが足りなくなるいうのが、最近の恒例となっているようです。

店長を疲弊させるアルバイトの「ドタキャン」

さて、せっかくアルバイトのシフトを組み立てることができても、その後に突如として発生してしまう問題があります。それはアルバイトの「ドタキャン」です。シフトに入るはずのアルバイトが5分前になっても来ない。時間になっても来ない。携帯電話に連絡しても繋がらない……。

事前に連絡せずドタキャンした場合、そのアルバイトは高い確率でそのまま退職してしまいます。そうなるとドタキャン当日どころか、当月のその後のシフトにも穴が開くことになります。

このような状況に陥った際、店長はどうするのかというと、まずは前の時間の勤務シフトのアルバイトに「もう少し、長く働ける?」と呼びかけ、それと同時に後ろの時間の勤務シフトのアルバイトには「もう少し、早く来れない?」と連絡を入れます。この交渉がうまくいかないと、店長の残業が決定的となります。

ただしこのケースも、店長自身が店内にいる時に発生すれば、まだマシです。最悪のケースは、深夜22時頃に自宅にかかってくる「もう一人のアルバイトが来ません」というコール。こうなると店長が急遽出勤となり、深夜→早朝→翌日というフルコース勤務になってしまいます。

先日、居酒屋大手であるコロワイドの大量閉店のニュースが報道されました。様々な憶測が流れていますが、アルバイトが足らずに店舗運営が円滑にできなかったことも一因のようです。人手不足は首都圏をはじめとした都市圏で慢性化しており、大きな問題となっています。今後のチェーン展開企業において、この「アルバイト問題」が健全経営の阻害要因になる恐れが出てきました。

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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

出典元:まぐまぐニュース!