コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。前回の「郵券類」にまつわる話題に続き、今回取り上げるのはお菓子の「チューインガム」。実は国内での売上が、ここ10年で約4割も落ち込んでいるって、皆さんご存知でしたか?

市場は長期間のダウントレンド

コンビニのお菓子売り場に行くと、必ず並んでいるチューインガム。ところが近年、その売上が減少の一途なのを、皆さんはご存知でしょうか。

全日本菓子協会の統計によると、国内のチューインガムの小売金額は、2004年の1881億円をピークに減少し続け、2014年には1150億円まで落ち込みました。10年間で約4割も減少したことになります。

ちなみに主な菓子類の小売金額を見ると、チョコレートは2014年が4860億円で10年前と比べて約20%増、スナック菓子は4218億円で10年前から約15%増となっており、ガムの不振が際立っています。

同じく最近のデータを参考にすると、ガム市場は減少幅こそ縮小し改善傾向は見られるものの、依然縮小傾向が続いており、生産数量、生産金額、小売金額ともに前年を下回っています。ただ、ガムの形状別に見ると、「板ガム」は前年比94%と依然厳しいものの、「粒ガム」は機能価値を提供できる商品群が好調に推移していることもあり、前年比99%とほぼ前年水準を維持しています。

また、「風船ガム」は前年比90%と、幼児期のガム喫食が減少していることもあり、依然苦戦が続いています。

なぜガム市場は縮小していったのか

旧来までのガムのアピールポイントは、ロッテの『ACUO』に代表される「口臭対策」、また同じくロッテの『キシリトール』をはじめとした「虫歯対策」といった効能でした。

特に「口臭対策」系商品は、機能が長時間持続することをアピールしてきましたが、このことがかえって販売チャンスを減らすことになったのではと筆者は感じます。また昨今の喫煙率の低下も、「口臭対策」としてのガムの存在価値を下げる原因となりました。

そのため各メーカーは、それまでの「口臭対策」「虫歯対策」以外にも、「ダイエットに……」「集中力に……」などといった点をアピールし続けました。ただそれらの取り組みは、ガム市場の縮小に歯止めをかける材料とはなりませんでした。

現在ガムカテゴリーの商品は、コンビニでは「錠菓」(『フリスク』など)や「STキャンディ」(『龍角散』など)と一緒にレジ前のエンドゴンドラで展開されることが多くなっています。10年前はガムのみでゴンドラ1本展開していたことを考えると、寂しい限りの現状です。

また売場が縮小されたことで、品揃えのほうも各効能ごとのトップブランドのみに。新商品の発売も少なくなっており、カテゴリーの注目度は下がるいっぽうです。

ガム復権の秘策は?

このように八方塞がりな状況のガム市場ですが、今後の復活はあるのでしょうか。筆者が考えるガム復活ストーリーは、以下の2点です。

・機能・効能をきちんとアピールする

筆者はかなり以前に、某有名メーカーのガム担当役員さんに「効能が期待できるのであれば、なぜトクホを取得しないのか?」と聞いてみたことがありますが、その時は「コストがかかる」「取得までに時間がかかる」「回収が見込めない」など、その反応は薄いものでした。

しかし、ここ数年でガムにも「虫歯を抑制する」「歯ぐきを健康に保つ」といった効能を持つトクホの商品が増えてきました。今後もそのラインアップをより充実させ、効能をアピールすることで、市場の活性化に繋げていきたいところです。

・ガムに対するイメージの再構築

ここまで市場が縮小してしまったとなると、より根本的な施策が不可欠ではないでしょうか。特に若年層のガム離れを止めないと、復活は長期間見込めません。

ガムを噛んでいる姿が「カッコいい」、風船ガムを膨らませる姿が「かわいい」。人気俳優や女優を活用してムーブメントを起こすことで、ガムに対するポジティブなイメージを、イチから作り上げる必要があるのではないでしょうか。

 

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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出典元:まぐまぐニュース!