人は、疲れると青い空と海が恋しくなる。

毎日が辛辣な戦いの東京生活に困憊すると 、海や山に癒され、そして自分のことを誰も知らない場所に身を置きたくなる時がある。

そんな逃げ場として最も人気なのが、常夏の楽園・ハワイ。

ここ数年で東京からハワイへ逃げ出す30歳前後の女性が急増している。それは自分を今一度見つめ直す時間なのか、ただ単に逃げているだけなのか。

人生に迷い、東京に疲れたアラサー女子はハワイで何を感じ、どう変わっていくのかを追いかけていく。今までに東京で生きる活力を取り戻した優美、イルカが御曹司との出会いを繋げた美玲、ハワイで出会った投資家のお陰で自分を売り出せた加奈子を紹介した。




<今週のエスケープ・ハワイ女子>

名前:理央
年齢:29歳
職業:元大手保険会社・営業
出身:横浜
ハワイ滞在期間:約3ヶ月
ハワイでお気に入りの場所:タンタラスの丘



“あ〜私の恋は南の風に乗って走るわ〜♫
あ〜青い風切って〜走れ、あの島へ〜♫“

アラモアナショッピングセンターのすぐ近くにある日系スーパーマーケット、『NIJIYA』に行くと聖子ちゃんの青い珊瑚礁が流れている。理央の気分は今まさにこの歌の通りで、思わず鼻歌を歌いだした。

理央は3ヶ月間ハワイに滞在予定だ。勤めていた保険会社からベンチャーIT系企業への転職を決め、その休みを利用してハワイにやって来た。

何より、理央が今回長期でハワイに来ようと思った一番の理由はハワイに彼氏ができたからだ。3ヶ月前に、ハワイに女友達二人で旅行に来た際にクヒオ通りで声をかけられた。それが現在の理央の彼氏、ジンだった。

ジンは日系人で、ハワイ生まれハワイ育ち。サーフィンで鍛えられた身体は非常にカッコ良く、日系人らしい日本語もまた可愛かった。地元の人しか知らない良いお店やとっておきのビーチを知っており、すっかり理央はジンにゾッコンになった。


いつかどこかで聞いたことあるようなハワイの恋物語...


ハワイアン・ドリーム


前回ジンと過ごしたのはわずか4日間だった。しかし一緒に過ごした甘くて濃厚な、夢のような4日間は理央にとって特別で、忘れられない時間となった。今回は、もっと長く一緒に入れる。そう思い、胸を膨らませて来た。

ジンはアメリカ国籍なので、結婚したら理央もアメリカ国籍を手に入れ、そしてそのままハワイで過ごすのか...。子供はハワイ生まれ育ち、自然とバイリンガルになれる。ハワイでの結婚・子育て。何て素敵なんだろう。

日本の仕事にも疲れて来た今日この頃。ハワイで結婚し、そのまま生活できるなんて考えただけでも最高だった。

前回理央がハワイに来た時にジンと過ごした期間は約4日間。理央が日本に帰国してから連絡を取る頻度は3日に1回位。 そして今回は3ヶ月間一緒にいられる。一見、全てが順調そうに見えていた。




その甘い誘惑に引っかかるな


ハワイに着いた当初はジンも優しく、幸せな1週間だった。サーファーでもあるジンの波乗りを見に行くのは楽しかったし、「ハワイに住んでいる彼の波乗りを一緒に見る自分」に酔いしれていた。そして何より、カッコ良くてハワイに住んでいる彼氏ができたことが鼻高々だった。

しかし2週間が過ぎた頃からジンの態度は変わってくる。せっかく理央が日本から来ているのにも関わらず、会える頻度は落ちて行く。他の友達が来るから忙しいと言われ、 LINEをしても既読にはなるが、返信は中々来ない。段々と暗雲が立ち込めてきているのは言わなくても分かった。

そんなある日、理央は現実を知ることになる。

理央がアラモアナからの買い物帰りに歩いていると、ヒルトンヴィレッッジ前でジンが日本人の、いかにも観光で来たような女子大生二人組をナンパしている所を見てしまったのだ。そしてそのままジンとジンの友達、そしてその女子大生二人組は一緒にどこかへ行ってしまった。

これがハワイ・ラブの現実だった。


よく聞く日本人女子のハワイ・ラブ。果たして真相は...?


ハワイでよく聞く恋物語


ハワイには観光客が多く来る。みんなキラキラと楽しいバケーションを求めてくる。そんな浮かれ足の観光客、特に若い日本人の女の子は非常に扱いやすい。

「海外マジック」という言葉をご存知だろうか。簡単に言うと、海外で会うと東京で会うよりカッコ良く見える、要は雪山マジックと同じ程だ。

ハワイに住んでいる男性にとって、日本人女子を夢中にさせることはいとも簡単である。旅行で来ていて英語もあまり話せない、海外で運転が怖いと言ってレンタカーも借りない女子達。

そこに英語も話せて、車もあって、(日本だと汚いと思うようなボロい車でもハワイで見ると何故かカッコ良く見える)素敵なシークレットビーチに連れて行ってくれる。そんなハワイ在住の男性は旅行者にとって救世主であり、数多くの女性が「何て素敵な彼なんだ」と勘違いをしてしまう。

しかし実際には、ハワイという素敵な場所のお陰で、全てが3割増しで見えている可能性も高い。

そして何よりハワイ滞在中は思いっきり遊び、甘い体験をさせてくれるが、相手が一人だけとは限らない。帰った途端に別の女の子と遊び出す。むしろそのようなインスタントな関係を求めている場合が多く、理央のように重い女子は逃げられる傾向が強い。




ハワイでよく起こる勘違い


ジンにとって、前回理央に声を掛けたのも遊んだのも軽い気持ちでしかなかった。ハワイにいる間だけ、楽しめればいい。ただそれだけだった。しかし意外にも理央が真剣で、慌てて逃げてしまったのだ。

ハワイで出会ったサーファーのジンの相手は自分一人だけと思っていた理央だが、ジンからすると、大多数の中のただの一人でしかなかった。

日本で会ったらどう思うのか、本当に信頼できる相手なのか。

そんな大事なことが、環境が邪魔をしてつい見落としがちになり、ハワイの甘い恋物語を信じる理央のような女子は意外に多い。

【これまでのエスケープ・ハワイ】
vol.1:東京で疲れ果て辿り着く楽園。30歳、3ヶ月の現実逃避の先にあるもの
vol.2:イルカに心を浄化され、平穏な心を取り戻したその先にあるもの
vol.3:ハワイブランドを最大限に利用。自分・逆輸入で成功したブランドプロデューサー