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「アリさんマーク」で知られる引越社のグループ会社「引越社関東」が、いわゆる「追い出し部屋」への異動を命じたのは無効などとして、同社を提訴している元営業職の男性(34)が、弁護士ドットコムニュースのメール取材に応じた。

男性は今年8月に懲戒解雇を言い渡されたが、会社が撤回したため、10月1日から復職している。だが、その業務は、希望する営業職でなく、机もイスもない立ちっぱなしの「シュレッダー係」。しかも、一人だけオレンジ色の長袖シャツで作業させられているという。男性は「復職後も嫌がらせが続いている」という現状を明かした。

●引越社幹部の「恫喝動画」がネットで話題

これまでの男性の主張によると、同社の営業職としてキャリアを積んでいた男性が、今年3月に個人加盟の労働組合「プレカリアートユニオン」に加入し、サービス残業の未払い賃金の返還などを求めて団体交渉をおこなうと、アポイント部への異動を命じられた。

6月には、遅刻を理由に「シュレッダー係」に異動させられた。男性が7月、命令無効とする地位確認訴訟を起こすと、懲戒解雇された。「引越社」のグループ全店には、男性の氏名と顔写真入りで、解雇理由を「罪状」と書いた貼り紙を掲示されるなどしたという。男性は名誉を傷付けられたとして、300万円の損害賠償も、裁判での請求内容に追加した。

男性が加入する労働組合は10月1日当日、引越社関東・東京本社前で、街宣車を使った抗議活動をおこなった。その際の動画が同日、YouTube上で公開された。同社の副社長とされる人物が「誰に言うてんねん」などと恫喝する様子が話題を呼び、10月6日時点で110万回以上も再生されている。

●「罪状ペーパー」が何枚も貼られていた

同社内は現在どのような状況なのだろうか。男性によると、10月1日には、復職したにもかかわらず、社内の壁や従業員の出入口の近くにある棚、タイムレコーダーなどに「罪状ペーパー」が貼られていたという。また、シュレッダーの後ろの壁には、男性の顔写真入りで、「北朝鮮人は帰れ」「過激派の流れを汲むような怖い人は去れ」と書かれた紙も貼られていたそうだ。

さらに同日、シュレッダーの近くにモニターが新しく設置され、男性が9月30日に代理人らと開いた記者会見の映像がリピートで流されるなどしたという。労働組合が抗議文を会社に送ったところ、男性が10月3日に出社した際には、嫌がらせの紙やモニターはなくなっていたということだ。

●「社内は殺伐とした雰囲気」

一方で、監視カメラで常時監視などされているといい、男性は「復職の就業環境とは、とても言えません」「社内は何となく殺伐とした雰囲気です。職場内では異端扱いされて、ほかの従業員に話し掛けても無視されるなどしています」と説明している。

引越社関東は10月5日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、男性とのトラブルについては「係争中のことなので、回答できない」と述べた。

一方、ネットで話題になっている動画については、「都合のいいところだけで編集されて、流されているものだ。それに対して、どこからどこまでと言えるものもないので、現段階ではコメントを控えさせていただきたい。弊社としても精査したうえで、何かしらのことを考えている」と答えていた。

(弁護士ドットコムニュース)