弁護士に聞いた! 司法試験合格のためにどれくらい勉強が必要なの?

「司法試験」といえば生半可なことでは合格できない国家試験として知られています。この試験に受からないと、「裁判官」「検察官」「弁護士」などの法曹資格を持つことができません。司法試験に受かるにはどのくらい勉強しないといけないのでしょうか?
アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士にお話を伺いました。篠田先生は普通に会社勤務をされていましたが、そこから一念発起して司法試験に合格、弁護士になったという方です。
■「方法と心構え」が大事です!
――司法試験に合格するために、どのくらい勉強が必要でしょうか?
篠田弁護士 それなりの勉強が必要ですが、信じられないほどの量ではありません。「司法試験」というと、みなさん「六法全書を全部覚えるんですよね」と口をそろえておっしゃられます。司法試験合格のためには、あり得ないくらいの量と時間、勉強が必要というイメージなのでしょう。
司法試験に受かるための勉強は、「方法と心構え」さえずれていなければ、さほど多くの時間を費やす必要はありません。法科大学院で勉強している方は、授業が終わってから毎日4-5時間、土日に各10時間ほど勉強すれば、卒業後、2年間で一発合格することも十分可能だと思います。
――それでもやはりかなりの勉強量が必要なのですね。
篠田弁護士 大事なのは、量や時間ではなく「やり方」ですね。逆に言えば、勉強のやり方が間違っていれば、1日18時間で5年間勉強しても合格ができない、そういう試験だともいえると思います。
私は、法科大学院時代の勉強を怠けてしまったため、卒業後一発合格をすることはできませんでした。実際には、1回目の不合格という結果にぶつかった後、次の試験までの8カ月間が、死に物狂いの受験勉強でした。
このときは毎日最低でも14時間は勉強していましたが、逆に言うと、必死にやればその程度の勉強量で合格できる試験ということです。司法試験は、「量をこなす」意識よりは、「合格のために最低限必要な知識を身に付ける」意識の方が大事といえます。
■効果的な勉強方法とは!?
――司法試験に合格するために、どんな勉強法が効果的だと思われますか?
篠田弁護士 通常、受験勉強のイメージは、「参考書」や「問題集」などで下積みをして、勉強が相当進んだころに「過去問を解いてみよう」という流れですよね。
しかし、司法試験短期合格のための勉強法は、
「初めに過去問を解く」
↓
「過去問の結果を基に勉強計画を立てる」
↓
「勉強する」
↓
「また過去問を解く」
↓
「計画を立て直す」
↓
「勉強する」
↓
「過去問を解く」
という繰り返しがベースとなります。
この過程で、
●自分が合格するためにあと何をすればいいか
●どのくらい時間がかかるか
がはっきり見えてきます。
その後は、「受験当日まで現実的な勉強計画を立ててこれを実践する」ことで、「必ず合格する」というレールが敷けることになります。
効率アップの秘策なども駆使すると、いっそう勉強の質が向上しますので、自分なりの「質を落とさない効率アップ法」を駆使してもいいかもしれません。
私は、勉強のための時間が1分1秒も惜しかったので、メクリッコという指サックを着けて「本をめくる時間」を節約しながら勉強していました。六法全書をめくったり文献をめくったりするこの1秒の差も、積もり積もれば数時間の差になったと思います。
また、10分単位や30分単位で自分の勉強の進み方(問題10問!や参考書10ページ!など)をチェックし、常にだらだら勉強にならない工夫もしていました。
■法学部卒業でなくても司法試験に合格できる!?
――法学部卒でなくても、また社会人になってからでも、司法試験に合格することは可能だと思われますか? そのためにはどんなことが必要でしょうか?
篠田弁護士 声を大にして言いたいのですが、「合格は可能」です。むしろ、法学部以外の学部や、社会人の経験がある方は、法学以外の知識も備えていることや、コミュニケーション・サービス精神を学んでいるので、法曹になった際にその経験はとても生きてくるはずです。
――なるほど。法学部出身者以外にも利点はあるわけですね。
篠田弁護士 ただ、「法学を学んだことがない」となると、初めは「法律」というもののイメージがつかみづらかったり、「法的な考え方」がなかなか身に付かなかったりという障壁はあるかと思います。
ただ、「法律」は、「具体的にイメージすること」によって、とても身近な存在になります。例えば、「不法行為に基づく損害賠償請求……」と聞くとなんだか難しいなあというイメージがあると思いますが、「人を殴ってけがをさせたら治療費や慰謝料を払わないといけないよね」と考えればスッと入ってくると思います。
また、社会人の方は、その仕事の上で法律トラブルに接していることも多いと思いますので、具体的なイメージがつかみやすいというメリットもあると思います。法学部卒でなくとも、むしろ「難しい」という意識を捨てれば、法学部卒の受験生にも引けを取らないスピードで法律を身に付けることは可能だと思います。
――社会人ではどんな勉強法が良いのでしょうか?
篠田弁護士 社会人の方は、「勉強」というものからしばらく離れていることや、時間がなかなか取れないことが、大きなネックになるかと思います。勉強の感覚については、実際に勉強を始めてみればすぐにその感覚は戻ってきますので、どんなに時間があいていても、これを過度に気にする必要はないと思います。
ただ「勉強時間の確保」の点は問題です。司法試験が「さほど難しくはない」とはいっても、「絶対に覚えなければならないこと」の数は少なくなく、物理的に「最低限の勉強時間」は確保しないと合格は厳しいです。
仕事と並行して勉強しようとすると、必要な勉強時間の確保が難しくなることは否定できませんし、体や頭も仕事がヘビーな分だけ疲れた状態での勉強となってしまいます。可能であれば、社会人としてのお仕事はいったん休んで、勉強に専念することが望ましいとはいえそうです。
■司法試験に合格し、弁護士になって良かったことは!?
――難しくても、弁護士になって良かった、そのかいがあったと思われますか? それはどんなときに感じられますか?
篠田弁護士 勉強は、今思い出しても本当に大変でした。毎日のように不安で涙を流しながらの勉強でした。しかし、今となっては弁護士になって本当に良かったと実感しています。
私が、弁護士になろうと思ったきっかけは、自分の一生を考えたとき、「人の人生の役に立つ生き方をしていきたい」と考えたからでした。弁護士になって、困っている方の力になりたい、そう思っていました。
ただ、その課題は、考えてみれば一人の人生を背負うこともでもあるわけですから、とても大変なことです。そのような重責を担う存在・資格であるからこそ、司法試験が大変な試験であることはむしろ当然でした。当時はまだまだそれに気付かず、「こんなに苦しいならやめてしまいたい」と思うことも多々ありました。
――現在はどう思われますか?
篠田弁護士 今、弁護士になって思うことは、依頼者の弁護士という仕事は、法的な解決をすることはもちろんですが、半分は「気持ちの解決」をすることなのだということです。その意味では、むしろ、法的な解決以上に難しい課題であるとは思うのですが、だからこそやりがいもあるのだと思います。
――弁護士になってから不安はありませんでしたか?
篠田弁護士 実は、弁護士になった当初、私は、「弁護士になったはいいけれど、自分に本当に務まるのだろうか」という不安でいっぱいでした。「自分は政治学科卒だし、司法試験名門大学の法学科を卒業しているような方々ばかりの法曹界で、自分がやっていけるのだろうか」という劣等感も相当に感じていました。しかし、今となっては、弁護士は自分の「天職だった」と実感しています。
弁護士として仕事をするに従い、「法的な知識や学歴ではなく、人を大切にできるか」が弁護士としてもとても大切な素質なのだと感じるようになったのです。いわば、サービス精神や家族のように親身になることも弁護士には必要なのですね。
そういう意味で、「人を大切に思う」をモットーに生きる自分としては、「弁護士に向いているかも」「学歴には負けないものがあるんだ」と思えたのです。
――なるほど。知識だけではないと。
篠田弁護士 今、弁護士として、依頼者の方から「相談して良かった」「いい解決になって良かった」と言っていただける瞬間がこの上なく幸せです。受験勉強は本当に苦しかったけれど、依頼者の笑顔を見た瞬間が、受験勉強の苦しさなどちっぽけだったと思えます。
今は、受験勉強を支えてくださった方々や家族への感謝の思いを胸に、今後も自分は仕事で、世の中の方々に恩返しをしていかなければと思う毎日です。
――ありがとうございました。
勉強法さえ誤らなければ、社会人になってからでも司法試験に合格することはできるというお話でした。もちろんその勉強はとても大変なようですが……。
⇒『ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた 夢がかなう勉強法』
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(高橋モータース@dcp)
