昨年大流行したタピオカ店。今度は突如マスクを売り始め好調だ。ウラには反社会組織の影が

東京・新宿でマスクを販売するタピオカ店には、「転売目的のマスクではない」との注意書きがあった

 昨年の新語・流行語大賞にノミネートされた「タピる」が象徴するように、’19年はタピオカブームが到来した年だった。繁華街に次々とタピオカドリンク店が開店し、駅前に10店舗以上がひしめき合う地域も珍しくなかった。しかし、新型コロナウイルスの影響で売り上げは激減。経営危機に瀕した多くのタピオカ店がいま「マスク販売」に乗り出している。

 なぜタピオカ店でマスクを売るのか?本誌はいくつもの店舗を取材した。東京・新大久保のタピオカ店店員はこう明かす。

「タピオカがまったく売れないので、別のビジネスをしなくてはと思い、4月下旬からマスクの販売を始めた。最初は一箱50枚入りを4000円程度で販売し、多いときは一日に10箱以上売れました。オーナーが中国で一枚20円ほどで仕入れたものを売っているので、利益はかなり出ています。ただ最近は、他の店舗もマスク販売に乗り出したため、値下げ競争が起こっていて、一箱3000円を切りました。儲けはかなり減りましたね」

 ドラッグストアではマスクの品切れが続き、ひとたび入荷すれば大行列が発生する今日この頃。なぜタピオカ店が大量のマスクを仕入れられるのだろうか。輸入業者はこう言う。

「タピオカ店によって仕入れルートは様々ですが、大半の店が、在日中国人や在日韓国人の代理店を通して中国からマスクを仕入れているんです。コリアンタウンにある複数の店に、同じブランドのマスクが並んでいるのは、同じ代理店を利用しているからでしょう」

 また、卸売りに携わる別の関係者は語る。

「暴力団の関連企業が出資するタピオカ店が販売しているケースもあるようです。世間のマスク需要が高まった1月頃から、暴力団のフロント企業や半グレ組織が転売目的で国内のマスクを買い占め始めていました。国内で品薄になると、今度は海外の現地マフィアを通じてマスクを仕入れ、高値で転売するようになった。50枚入りの箱を1万箱仕入れるなんていうのもザラでした」

 一般的な中国製マスクの仕入れ値は本来一枚5円ほど。だが一時は、ネットオークションで1800枚が30万円で転売されることもあった。しかし、マスクの買い占めと高額転売を問題視した政府は、3月15日以降のマスクの高額転売を禁止した。

「政府の転売禁止を受けて、彼らは大量にマスク在庫を抱える羽目になりました。はじめは知り合いのキャバクラや風俗店で販売していたようですが、それだけでは到底さばけない。そこで、関連企業が出店する飲食店などに卸し、その店が一般客に販売するようにしたのです。特に一部のタピオカ店は、反社組織のフロント企業として、彼らの大きな収入源となっている。そういった店にマスクが大量出荷されたのです」(同前)

 もちろん、マスクを販売しているすべてのタピオカ店が反社組織に関わっているわけではない。4月に撤退した兵庫・姫路の店では、タピオカをかたどった店の看板が残ったまま、別の業者がマスクを販売し始めた。そのため、誤解を恐れた元のタピオカ店が公式HPでマスク販売を否定するといった騒動もあった。

 外出自粛で客足が遠のくいま、タピオカ店は”マスク屋”という”仮面”(マスク)をつけるしかないのだ。

昨年10月に撮影された上写真のタピオカ店外観。駅に近い場所にあり、芸能人もたびたび訪れる人気店だ

昨年10月にオープンしたばかりの兵庫・姫路のタピオカ店は、わずか半年で閉店しマスク屋へと「変身」している

奈良市内のタピオカ店。「マスクが売られていたが、買っている人はほとんどいなかった」と近隣住民

東京・世田谷のタピオカ店内には、大人用や子供用のマスク、アルコール消毒液がうずたかく積まれていた