今村聖奈

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ちょっとした“事件”

 東京競馬場で行われた3歳牝馬のレース「オークス」で、今村聖奈(22)が日本人女性騎手として初めてGIを制覇した。

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「実はレースの6日前、ちょっとした“事件”が起きていました」

 と、競馬ライターがささやく。

「ネットニュースが馬主を取材した記事を掲載したのですが、当の馬主が“雑談が掲載された。原稿は未確認。誤りもある”とSNS上で激怒。個人情報の一部が、公開していないものだったようです。記事は即刻削除されましたが、馬主もアカウントを消しました」

 馬主の氏名は公開されている。近藤健介氏。だが、これがまた別の騒動を引き起こしていた。

「近藤健介といえば、ソフトバンク所属で、先のWBCにも出場した野球選手。同僚の柳田悠岐選手が馬主なのは有名な話なので、多くのファンが近藤選手も馬主だったと勘違い。レース直後は情報不足のせいか、AIまで二人を同一人物だと思い込み、〈ホークスの近藤選手の所有馬がオークスを制しました〉などとマヌケな説明をしていました」

今村聖奈

 さて、この馬主の方の近藤氏、かなりの読書家らしい。馬の名前はジュウリョクピエロ。本屋大賞作家・伊坂幸太郎の出世作『重力ピエロ』にちなんで名付けられたという。新潮社から刊行されているベストセラーだ。

「スポーツ報知が新潮社の方に取材して記事にしていますね。聖奈効果で爆売れしているのだとか」

 ちなみに、レース翌日は伊坂氏の誕生日。極上のプレゼントになった。

意味深な命名

 小説トリビアは続く。ジュウリョクピエロは近藤氏が2頭目に所有した馬で、1頭目はアサガクルと名付けられた。実はこちらも同名の小説がある。

 辻村深月著『朝が来る』だ。『重力ピエロ』と同じく本屋大賞作家の傑作で、共に映画化されたが、共通点は他にもある。

『重力ピエロ』の主人公は遺伝子学を学ぶ大学院生で、『朝が来る』は自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦の物語。いずれも“血のつながり”がテーマになっているのだ。

「血筋が極めて大きな要素を占める競馬界で、意味深な命名ですね」

 次に所有する馬は何と名付けられるのだろう。例えば、昨年映画がヒットした吉田修一著『国宝』なんてのも血統がテーマだけれど。

「週刊新潮」2026年6月4日号 掲載