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独身のまま亡くなった場合、残した財産はどこへ向かうのか。脱・税理士の菅原氏が、この問いに正面から向き合い、法定相続の仕組みと国庫帰属という現実を丁寧に解き明かしている。
 
配偶者も子もいない場合、財産はまず両親へ渡る。両親がすでに他界していれば兄弟へ、兄弟も亡くなっていれば甥や姪へと移っていく。しかし甥や姪の先の世代には届かない。兄弟ラインの代襲相続は1代限りというルールが定められているからだ。法定相続の「終点」がどこにあるかを把握しておくことが、対策を考える上での出発点になる。
 
親族が誰もいなければ、相続財産清算人が選任され、債権者への返済や関係者への分配が進められる。それでも行き先がなければ、最終的に財産は国に帰属する。菅原氏によれば、2024年の1年間だけで国が受け取った相続財産は約1,292億円に上る。独身者の増加だけでなく、相続放棄や身寄りのない高齢者の存在も背景にあるという。知らぬ間に「棚ぼた」の受取人になっているのが国だ、というのは冷静に考えると相当に重い話である。
 
国に持っていかれるくらいなら誰かに渡したい、と考えるのは自然なことだ。その手段として菅原氏が強調するのが遺言書の作成である。遺言書があれば、相続人でない他人に財産を残すことも可能で、その効力は法定相続権より強い。内容を後から書き換えられる点も、長期的な対策として使いやすい理由の一つだ。
 
ただし、両親が存命の場合には「遺留分」の問題が絡んでくる。一方で兄弟には遺留分が認められていないため、遺言書の指定がそのまま通る。この違いを知っているかどうかで、対策の組み立て方はまるで変わってくる。
 
また、同棲相手や事実婚の相手がいる場合は、清算人の判断によって財産を受け取れる可能性もある。しかし遺言書がなければ関係者が複数浮上し、争いに発展するリスクもある。
 
菅原氏自身も今年、公正証書遺言の作成に動いており、残す相手と使い道を明確にする大切さをあらためて実感したと語っている。財産を洗い出す作業が将来の資産形成を見つめ直す契機になるという視点は、独身者に限らず考えさせられるものがある。