トランプ氏、国家情報長官に「安全保障の素人」の側近を起用…忠誠派人事を巡り論争
ドナルド・トランプ米国大統領が、18の情報機関を統括する国家情報長官(DNI)に、安全保障の経験が全くないうえ、代表的な「トランプ忠誠派」とされる側近を任命し、論争が起きている。
トランプ大統領は2日(現地時間)、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通じ、連邦住宅金融庁(FHFA)のウィリアム・パルティ局長を国家情報長官代行に任命すると発表し、「ウィリアムは米国で最も敏感な問題である市場の安全性と健全性を管理するうえで豊富な経験を持っている」と評価した。また、米国の二大住宅金融機関であるファニーメイとフレディマックの理事会議長として、10兆ドル(約1600兆円)を超える資産を管理してきた実績を強調し、パルティ氏が国家情報長官代行を務める間、FHFA局長およびファニーメイ・フレディマック議長の職も引き続き兼務すると明らかにした。
パルティ氏は、先月22日、希少骨髄がんと診断された夫の看病のため辞任を表明したタルシ・ギャバード前国家情報長官の後任として、米国の情報機関を統括することになる。
国家情報長官室は、2001年の9・11テロ当時、情報機関間の情報共有の失敗が大規模惨事の一因だったと指摘されたことを受け、2004年に議会立法によって新設された。中央情報局(CIA)・国家安全保障局(NSA)・連邦捜査局(FBI)など18の情報機関を統括し、重要情報を集約・調整する「情報のコントロールタワー」だ。国家情報長官は、大統領に直接報告する「日次情報ブリーフィング」の作成を監督する中核ポストだ。
しかし、パルティ氏は住宅・建材分野のプライベートエクイティを創業・運営した後、トランプ第2期政権に抜てきされた人物で、情報機関や国家安全保障分野での勤務経験がないうえ、トランプ大統領の政敵攻撃の先頭に立ってきた経歴が強調され、資質を巡る論争が起きている。彼はFHFA局長として、アダム・シフ民主党上院議員(カリフォルニア)、レティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官、リサ・クック連邦準備制度理事会(FRB)理事など、トランプ大統領と政治的に対立する人物に対し、モーゲージ(住宅ローン)詐欺疑惑を提起して告発を主導してきた。トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏の友人でもある。
今回の人事に野党の民主党は強く反発した。上院情報委員会所属のマーク・ワーナー民主党議員(バージニア)は「(トランプ)大統領は、事実に従い権力者に真実を語る情報トップではなく、国民にどんな代償を払わせても大統領の意向に合わせ、進んで情報を操作できる人物を探している」と主張した。
与党の共和党からも批判的な反応が出た。共和党上院院内総務のジョン・スーン議員(サウスダコタ)は記者団に対し、「我々に必要なのは武器化された国家情報機関ではない。その職には専門家が必要だ」とし、「もし彼がその地位に長くとどまることを望む人物なのであれば、その前途は険しい」と述べた。
元ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)上級局長のジャベド・アリ氏は、今回のトランプ大統領の決定が国家情報長官の地位をさらに弱体化させる可能性があると懸念した。アリ氏は「今年は9・11テロから25年という節目を迎える中で、国家安全保障や情報分野で正式な経歴のない人物を任命したことは、現政権が国家情報長官室の役割とその職務を以前より重要視していないことを示唆している」と指摘した。
パルティ氏がFHFA局長を務める間、実質的な成果がほとんどなかったとの評価もある。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「パルティ氏のFHFA局長在任中、二大モーゲージ企業であるファニーメイとフレディマックの株式公開(IPO)計画は依然として停滞している」とし、「低所得層向け住宅建設を促進するための信頼できる計画も全く提示できなかった。彼の在任期間の特徴は、ファニーメイとフレディマックで多くの職員が解雇されたこと程度だ」と指摘した。
