「くも膜下出血」を診断する”3つの検査”はご存じですか?入院期間や原因も医師が解説!

くも膜下出血の主な原因や検査法はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医がくも膜下出血の主な原因と検査法について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「くも膜下出血の治療」は何を目的に行う?生存率を左右する”術後2週間”も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
㮈本 悠嗣(医師)

【経歴】
奈良県立医科大学医学部卒業後、市立奈良病院で初期臨床研修を修了。神戸市立医療センター中央市民病院救急科専攻医、同院脳神経外科専攻医を経て、2024年大阪大学大学院脳神経外科専攻に進学。救急専門医、脳卒中専門医、脳神経血管内治療専門医、脳神経外科専門医。救急医療から脳神経外科領域まで幅広い診療経験を積む。脳卒中や脳血管障害の高度専門治療・研究に従事し、患者さん一人ひとりに寄り添った医療の提供を目指している。

「くも膜下出血」とは?

まず、脳というものは、頭蓋骨の中に存在しますが、三層の膜構造によって守られています。頭蓋骨の直下には、硬膜という字の通り硬い膜があり、続いてくも膜、軟膜と続いています。くも膜というものは、文字通り蜘蛛(くも)の巣が張り巡らされたような状態の膜です。くも膜のさらに下に、脳を栄養する血管である動脈や脳そのものが存在しています。くも膜の下で、出血が起こることをくも膜下出血と読んでいます。原因としては大きく2つに分かれます。1つは外傷性、つまりは頭などの怪我によって、くも膜下に出血をきたす場合。もう一つはくも膜下の動脈に存在する動脈瘤の破裂によってくも膜下出血を来す場合です。一般の方々が想像されるくも膜下出血とは後者の、脳動脈瘤が破裂することによるくも膜下出血と思われます。以下は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血(動脈瘤性くも膜下出血)についてのご説明をさせていただきます。

くも膜下出血の主な原因

脳動脈瘤

主な原因としては、冒頭でお話したように動脈瘤というものが知らず知らずのうちに頭の中に形成されて、それが徐々に増大し、ある日突然破裂することでくも膜下出血に至るということがわかっています。なので、基本的には動脈瘤という瘤が形成されそれが大きくなることが原因と言えます。破裂すると典型的には、「人生最大の頭痛」や「金属バットで殴られたかのような頭痛」と表現されることが多く、痛みの発症様式も突然のことがほとんどです。また、発症と同時に意識を失ってしまう方や、発症と同時に心肺停止に陥ることもあります。あるいは、突然意識を失って、体の一部が麻痺してしまったりするような症状で発症される方もおられます。
大抵の方が、卒倒され、症状が辛く動けないことが多いために救急要請されて、救急搬送されることが多いのですが、ある一定の方は頭痛が我慢できる程度で歩いて一般の外来を受診される方もおられます。受診時の注意点としては、ご自身の自覚としていつも感じておられる頭痛と性状が変わっている、頭痛の程度がかなり強い場合などは我慢せず、救急車を呼ぶあるいは知人や家族に知らせて一人になる時間を極力最小限にすることが必要と考えられます。

くも膜下出血の検査法

頭部CT・CTA(angiography)

くも膜下出血は、脳の動脈瘤が破れて出血する病気であり、突然の激しい頭痛や吐き気、意識障害などの症状が現れる場合には、早急な対応が必要です。この病気を診断するためには、脳神経外科や救急科のある病院で「頭部CT」や「CTA(CT血管造影)」といった検査が行われます。頭部CTはX線を用いた検査で、脳内の出血を確認することができ、くも膜下出血が疑われる場合の最初の検査として実施されます。また、CTAは造影剤を静脈から体に注射して脳や体幹部の血管を詳細に調べる検査で、くも膜下出血の原因となる動脈瘤の有無やその位置や形を特定するために用いられます。くも膜下出血が診断された場合には、出血の再発を防ぐために必ず入院が必要となり、一般的には2~4週間程度が目安となります。

頭部MRI

頭部MRIは、磁気を利用して脳の断面画像を撮影する検査であり、頭部CTとは異なり放射線を使用しないため、身体への負担が少ないのが特徴です。MRIでは、脳の組織や血管をより詳細に観察することができるため、くも膜下出血の診断に加え、脳内の異常や他の疾患の有無を調べる際にも有効です。特に、「MRA(磁気共鳴血管造影)」という技術を用いることで、脳の血管を非侵襲的に評価することが可能となり、動脈瘤の形状や大きさを詳しく確認する際に役立ちます。頭部MRIは、くも膜下出血の診断補助や、追加の詳細な情報を得るために行われることが多く、特に造影剤を使用しない検査であるため、造影剤にアレルギーがある患者さんにも適しています。脳神経外科等にて行われ、入院期間は2~4週間程度が目安となります。

脳血管撮影

脳血管撮影は、カテーテルを用いた検査で、造影剤を直接血管内に注入しながらX線で撮影を行うものです。この検査は、脳の血管を非常に詳細に観察することができるため、動脈瘤や血管の異常を正確に診断する際に行われます。脳血管撮影は、診断だけでなく、治療計画を立てる際にも重要な役割を果たします。特に、コイル塞栓術などの血管内治療を行う場合には、この検査が必要不可欠です。この検査では、動脈瘤の形状や血管の状態を詳細に把握することが可能であり、治療の選択肢を決定するための重要な情報が得られます。脳神経外科(血管内治療)にて行われ、入院期間は2~4週間程度が目安となります。

「くも膜下出血の治療」についてよくある質問

ここまでくも膜下出血の治療などを紹介しました。ここでは「くも膜下出血の治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

くも膜下出血の再出血を予防する薬はありますか?

㮈本 悠嗣(医師)

残念ながら、くも膜下出血の再出血を予防するための薬は、現在のところ存在しません。くも膜下出血の再出血は主に脳動脈瘤の破裂によって起こるため、再出血を防ぐためには、できるだけ早く動脈瘤をクリッピングやコイル塞栓術といった外科的または血管内的治療で閉鎖することが最も重要です。現時点で、薬によって直接的に再出血を予防できるという明確なエビデンスはなく、国際的なガイドラインや主要な論文でも薬物療法は標準治療として推奨されていません。再破裂の予防処置を行うまでの間に補助的に、血圧を適切にコントロールするための降圧薬や、発症直後に一時的に抗線溶薬(トラネキサム酸など)が用いられることもありますが、これらはあくまでリスク低減や一時的な措置であり、根本的な再出血予防策ではありません。したがって、くも膜下出血の再出血予防には、早期の動脈瘤閉鎖が最も効果的です。

くも膜下出血の10年後の生存率について教えてください。

㮈本 悠嗣(医師)

くも膜下出血は重篤な疾患であり、発症直後から高い死亡率が知られています。複数の海外文献によると、くも膜下出血発症後の10年生存率はおおよそ30~40%程度と報告されています。特に、発症から1年以内に死亡しなかった患者に限れば、その後10年間生存できる割合はさらに高くなりますが、それでも一般人口と比べると低い水準です。生存率は年齢や発症時の重症度、治療方法、合併症の有無などによって大きく左右されます。現代医療の発展に伴い、治療後の死亡率は低下傾向にあるとされていますので、まずは再破裂予防の処置を行うことが大事です。

まとめ

なんども強調しますが、くも膜下出血が起こってしまった場合には、患者さんの状態をよくする治療は存在せず、あくまで再破裂してしまうと更に状況が悪くなるのでそれを予防するための開頭手術やカテーテル手術があります。一般の方は、手術をすれば元通りになると思われる方が多いのですが残念ながらそういうことはなく、あくまで再破裂の予防ということを念頭に置いていただき、いちばん大事なのは破裂するよりも前に見つけて、破裂しないようにすることです。

「くも膜下出血」と関連する病気

「くも膜下出血」から医師が考えられる病気は2個ほどあります。各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳動脈瘤に関連する病気

高血圧症

多発性嚢胞腎

「くも膜下出血」と関連する症状

「くも膜下出血」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

突然の激しい頭痛

意識を失う

嘔吐めまい

物が二重に見える

参考文献

Germans MR, et al. Time intervals from subarachnoid hemorrhage to rebleed. J Neurol. 2014.

脳卒中治療ガイドライン2021 改訂2023版

Worldwide Incidence of Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage According to Region, Time Period, Blood Pressure, and Smoking Prevalence in the Population: A Systematic Review and Meta-analysis