【めまいの治療費用】病院に行くといくらかかる?検査費用と受診すべき診療科を解説

めまいは、耳の病気や血圧の変動、脳の異常など、さまざまな原因で起こる症状です。その一方で、耳鼻咽喉科・内科・脳神経内科のどこを受診すべきか、検査にどの程度の費用がかかるのかを判断しにくいケースも少なくありません。受診先や費用の見通しが分からないままでは、医療機関への相談をためらう要因になります。しかし、症状ごとの受診科や検査費用を知っておくことで、早めに適切な診療につながりやすくなります。そこで今回は、めまいが続くときの受診科の選び方、検査費用の目安、公的制度の活用方法についてわかりやすく解説します。


監修医師:
青山 二郎(医師)

東京医科歯科大学医学部(現・東京科学大学)卒業。横浜市立みなと赤十字病院、東京医科歯科大学附属病院(現・東京科学大学病院)、国立病院機構災害医療センター、武蔵野赤十字病院などで脳神経外科医として経験を積む。日本脳神経外科学会指導医、日本脳卒中学会指導医、日本脳神経外傷学会指導医、日本脳神経血管内治療学会専門医。

どの診療科を受診すればいい?

めまいは複数の診療科で診てもらえますが、症状の特徴によって適切な科が異なります。以下の表を参考に、受診先を選んでみてください。

受診科こんな症状に代表的な疾患

耳鼻咽喉科(じびいんこうか)回転するようなめまい、耳鳴り・難聴を伴う良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎

脳神経内科・脳神経外科意識を失う、頭痛・手足のしびれ・ろれつが回らないなどを伴うてんかん、脳梗塞、脳出血、小脳疾患(緊急性が高い)

内科・循環器内科立ちくらみ、動悸・息切れ・血圧変動を伴う起立性低血圧、不整脈、貧血

心療内科・精神科ストレスや不安感と連動している、長期化している自律神経失調症、パニック障害、てんかん

初めてのめまいで原因がわからない場合は、耳鼻咽喉科か内科から受診するのが一般的です。症状に応じて他科へ紹介されることもあります。

初診・基本検査にかかる費用の目安

耳鼻咽喉科や内科でめまいの初診を受けた場合、3割負担では2,000~7,000円程度が目安です。診察の流れと費用の内訳を確認しておきましょう。

診察・検査項目費用目安(3割負担)

初診料(しょしんりょう)約870円

問診・視診・神経学的診察(しんけいがくてきしんさつ)診察料に含む

平衡機能検査・眼振検査(がんしんけんさ)約1,000~2,000円

聴力検査(純音聴力検査)約600~1,000円

血液検査(貧血・甲状腺ホルモン・血糖チェック)約1,500~2,500円

精神科専門療法(精神科・心療内科)約200~1,800円

1回の受診費用の合計目安約2,000~7,000円

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

初診料とは、初めてその医療機関を受診したときにかかる基本料金のことです。3割負担とは、医療費の3割を自己負担する仕組みで、たとえば医療費が10,000円の場合、自己負担額は3,000円です。なお、2回目以降の受診では再診料(3割負担で約230円)が適用されます。

精密検査が必要になった場合の費用

初診で原因が特定できない場合、または脳や内耳(ないじ)の異常が疑われる場合は、精密検査が行われます。検査の種類と費用の目安を把握しておきましょう。

検査名主な目的費用目安(3割負担)

MRI(頭部)脳梗塞・脳腫瘍・小脳疾患の確認約4,000~8,000円

MRI・MRA(頭部)脳梗塞・脳腫瘍・血管異常の確認約5,000~10,000円

CT(頭部)脳出血・骨の異常の確認約2,000~5,000円

脳波検査てんかん・意識障害の確認約2,700~4,000円

重心動揺計検査(じゅうしんどうようけいけんさ)バランス機能の詳細評価約1,000~2,000円

温度刺激検査(カロリックテスト)半規管(はんきかん)機能の評価約400~1,000円

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

MRIと診察料、その他の検査料を合わせると、1回の受診費用が10,000~15,000円程度になることがあります。「費用が心配で受診をためらっている」という場合は、まず耳鼻咽喉科や内科で診てもらい、必要に応じて精密検査を受けるという順序で進めることをおすすめします。

継続通院にかかる費用の目安

めまいの原因が明らかになった後も、継続的な通院が必要になるケースがあります。主な疾患ごとに通院頻度と費用の目安を確認しておきましょう。
良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)とは、耳の中の耳石(じせき)という小さな粒が剥がれて半規管に迷い込むことで起こるめまいです。耳石を正常な位置に戻す「耳石置換法(じせきちかんほう)」という治療が行われ、通常は数回の通院(1回2,000~3,000円程度)で改善することが多いです。
メニエール病(めにえーるびょう)は、内耳のリンパ液が過剰になることで起こる疾患で、回転性のめまいと耳鳴り・難聴が繰り返すことが特徴です。利尿薬(りにょうやく)や内耳循環改善薬などの薬物療法が中心で、月に1~2回の通院が1~2年以上続くこともあります。1回の通院費用(診察料+薬代)は2,000~4,000円程度で、月に4,000~8,000円の負担が見込まれます。
前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)は、ウイルス感染などで前庭神経に炎症が起こる疾患で、急性期には強い回転性めまいと嘔吐(おうと)が数日間続きます。急性期には点滴・薬物投与のために入院が必要になることもあり、3割負担で1日あたり10,000~20,000円程度の自己負担になることがあります。

知っておきたい公的制度

めまいの検査・治療費が高額になる場合は、以下の公的制度を積極的に活用しましょう。申請することで自己負担を大幅に抑えられる場合があります。

■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)

1か月の医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超過分があとから払い戻される制度です。たとえば、69歳以下で年収約370~770万円の方の場合、1か月の自己負担上限は80,100円(医療費が267,000円を超えた場合は別計算)です。めまいで入院や精密検査が重なり医療費が高額になったときに有効です。申請窓口は、国民健康保険に加入している方は市区町村の窓口、会社員の方は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)です。
事前に限度額適用認定証を申請することで、支払時に自己負担上限額まで支払を抑えることもできます。また、マイナンバーカード(マイナ保険証)でオンライン資格確認をすると自動で自己負担限度額が適用されるため、事後の高額療養費の申請が不要になり、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられるというメリットがあります。

■ 医療費控除(いりょうひこうじょ)

1年間に支払った医療費の合計が10万円(または所得の5%)を超えた場合、超えた金額を所得から差し引いて所得税・住民税を軽減できる制度です。通院にかかった交通費や市販薬の一部も含めて計算できます。毎年2~3月の確定申告期間に、税務署またはe-Taxで申請します。領収書は必ず保管しておきましょう。申請窓口はお近くの税務署またはe-Taxです。

■ 傷病手当金(しょうびょうてあてきん)

会社員・公務員が病気やけがで4日以上仕事を休んだ場合、健康保険から標準報酬日額の3分の2が最長1年6か月支給される制度です。メニエール病の重症化や前庭神経炎の急性期で長期休業が必要になった場合に利用できます。申請窓口は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)です。自営業・フリーランスの方は原則として国民健康保険には傷病手当金がないため、民間の医療保険への加入を検討しておくとよいでしょう。

こんな症状があれば今すぐ受診を

めまいの多くは緊急性の低い疾患によるものですが、以下の症状を伴う場合は脳卒中(のうそっちゅう)など命に関わる疾患の可能性があります。ためらわず救急受診、または救急車を呼んでください。

警告サイン疑われる疾患

突然の激しい頭痛を伴うくも膜下出血(ただちに救急受診)

手足・顔のしびれや麻痺を伴う脳梗塞・脳出血(ただちに救急受診)

ろれつが回らない、言葉が出にくい脳梗塞(ただちに救急受診)

片側の耳が突然聞こえにくくなった突発性難聴(72時間以内の治療開始が重要)

起き上がれないほどの強い回転感・嘔吐が続く前庭神経炎・小脳疾患(早期受診を)

上記の症状に1つでも当てはまる場合は、「様子を見よう」とは思わずに、すぐに医療機関を受診してください。特に脳梗塞は発症から治療開始までの時間が回復に大きく影響します。

編集部まとめ

めまいで受診した場合の費用は、初診・基本検査で2,000~7,000円程度が目安ですが、MRIなどの精密検査が加わると1回の受診で10,000~15,000円以上になることもあります。原因によっては継続通院が必要になるため、公的制度を活用して費用の負担を抑えることが大切です。

回転するめまいや耳鳴り・難聴を伴う場合はまず耳鼻咽喉科へ、頭痛・しびれを伴う場合は脳神経内科・脳神経外科へ受診しましょう

初診・基本検査の自己負担は3割負担で2,000~7,000円程度が目安です

MRI・CT検査が追加されると、1回の受診費用が10,000~15,000円以上になることがあります

高額療養費制度を活用すれば、1か月の自己負担を一定額以内に抑えることができます

費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多いです

「少しふらつく程度だから」と受診をためらう方もいるかもしれませんが、めまいの背景にある原因は多岐にわたります。特に初めて経験するめまいや、繰り返すめまいは、早めに専門科を受診することをおすすめします。

受診科の選び方や費用について不安なことがあれば、医療ソーシャルワーカーや患者相談窓口に遠慮なくお尋ねください。費用の見通しが立つだけでも、受診への一歩を踏み出しやすくなります。

※本記事の情報は2026年4月時点のものです。医療費・制度の内容は変更される場合があります。実際の費用は医療機関によって異なりますので、受診の際は事前にご確認ください。