【吉沢 さりぃ】30代未婚の妊婦が「まさかの養育費」に涙した…インスタを使って年収3000万円男の隠し財産を暴いた「執念の結果」
千葉県在住の澤田美穂さん(35歳・仮名)は、不動産業を営む年収3000万円のA氏との間に子どもを授かりながら、2年半にわたり養育費をめぐって争った経験を持つ。
お互いに望んだ妊娠だったものの、A氏による地下アイドルへの重課金が発覚して以降、2人の関係性は悪化。ある日、美穂さんのもとに内容証明が届いたことで、泥沼の争いの火蓋が切られた。
「絶対に屈しない」と決めた美穂さんは、一体いくらの養育費を手にしたのか?
前編記事〈豊洲のタワマンから追い出された31歳未婚妊婦「養育費地獄の幕開け」…年収3000万の内縁夫が送りつけてきた「身勝手な絶縁状」〉から続く。
「子どもの認知はしない」
そもそも、美穂さんに送られてきた内容証明にはどのようなことが書かれていたのか。
「今の私とは付き合えない、子どもの認知はしない、月12万円の養育費で子どもを育てろ、ということがつらつら書かれていました。この内容証明は何人もの友人や弁護士さんに見せましたが、みんな絶句していました」
美穂さんは寄り添う気のないこの書面がきっかけで、A氏と決別を決意。“絶対に屈しない” と心に決めたという。
「仕事の合間や休みの日は、色々な弁護士さんの無料相談へひたすら足を運びました。子どもの一生のことだし、ここで私が妥協したら絶対に後悔する。今から産まれてくる子どもにつらい思いをさせたくないじゃないですか。幸い、つわりはありませんでしたが、重たいお腹を抱えて歩き回るのはやっぱりしんどかったです」
最終的に、美穂さんは20人ほどの弁護士と面談し、その中で1番しっくりきた人物にこの件の弁護を依頼した。その間もA氏の担当弁護士からは、内容証明に対する返答を急かす電話がしょっちゅうきていたそうだ。
「あっちは私のことを馬鹿にしていたので、まさか弁護士をつけてくるとは思っていなかったはずです。まず調停に入る前に、弁護士の先生同士で和解を探る話し合いをしてもらいました。
経営者の彼は年収3000万円で、フリーランスの私は年収300万円程度です。妊娠中、家を購入するという話も聞かされていて、財産の状況もなんとく把握していました。算定表を参考に打診した養育費は月30万円。交渉で減額されることを見越した金額です」
だが、相手の弁護士から返ってきたのは「アイドルへの課金もなければ、新しい家も購入していない。会社が倒産し、金がない」という主張だった。「そんなのは嘘だ!」と美穂さんも応じたが、「ないものはない」とA氏の態度は頑なだった。
弁護士同士の話し合いではけりが付かず、養育費を巡る話し合いは「調停」に移行した。
妙に冷たかった調停委員に違和感
養育費の調停は、家庭裁判所で行われ、調停委員が当事者それぞれに個別で話を聞く。ただ、どちらかと言えば、美穂さんは劣勢だったようだ。
「私の『子どものために絶対にきちんとした養育費をとる!』という強気な姿勢が裏目に出たのか、調停委員の方があまり味方をしてくれていない印象でしたね……。
堕ろせなくなるギリギリのタイミングで、『堕胎した場合は300万円の慰謝料を支払う』と書かれたふざけた手紙も届いたのに、『はぁ、そうですか』としか言わないんですよ。なんであっち目線なの?って感じでした。あまりに頭にきて『あなたの娘が同じことをされたらどうしますか?』と聞いたら無言で目を逸らされました」
最終的にA氏からは「認知なしで養育費16万円」という金額を提示されたが、美穂さんは納得がいかなかったという。
「普通に考えたらいい金額だとは思います。でも、A氏の収入を考えたら妥当じゃない。むしろ『ふざけるな!』って感じでした。それに認知なしだったら、いくらでも逃げられる。ここまで揉めた相手のことを信用できないじゃないですか。認知ありで絶対に月20万円以上もらいたかった」
美穂さんは担当弁護士と相談し、相手からの提案を却下。2人の争いは、家庭裁判所の裁判官が互いの資産状況や主張に基づいて養育費を決める「審判」に進むこととなった。
「養育費は月12万円です」
A氏の必死の抵抗は、この審判でも変わらなかった。A氏側は税理士を連れてきて、美穂さんに「脱税疑惑がある」「収入の過少申告がある」と糾弾。また、美穂さんの仕事を監視し、嫌がらせをするという徹底ぶりだった。
「以前、彼に仕事の収入を細かく聞かれたことがあったんですが、知られたくなかったので『確定申告をしていない』と嘘をついたんです。そこをつつこうと思ったんじゃないでしょうか。
そもそも、お金の流れに関しては彼のほうが絶対に怪しい。私が住んでいた豊洲のタワマンは、彼の会社が事務所として借りていたのに、会社としては一切機能していなかった。しかも、私は家賃として毎月6万円を現金で渡していました。彼のほうが脱税していると思うんですけどね」
審判ではDNA鑑定が行われ、A氏とお腹の子どもの親子関係が無事に認められた。こうなるとA氏は認知の条件を飲まざるを得ない。しかし、肝心の審判の結果は「月12万円の養育費」で、美穂さんの希望額とはほど遠かった。
もはや意地の問題となっていた美穂さんは、弁護士と相談の上で不服申し立てを行うことを決意。争いの場は高等裁判所に移った。
そして、仲のいい友人たちに頭を下げ、次の審判に向けて相手の情報を徹底的に調べ上げた。「費用が高すぎて探偵には依頼できなかった」と言うが、彼女らの働きはプロ顔負けだったという。
執念で嘘を見破った
「インスタは情報の宝庫です。ただ、私との交際時に使っていたアカウントはすでに消していたので、新しいアカウントを探すところから始めました。この時、つくづくネット社会って怖いと思いましたね。私の知っている彼の情報をありったけ友人に教えたら、わずか1時間でヒットしたんです(笑)。
さらに別の友人はインスタの情報と彼の性格を分析し、購入した可能性の高い新居の捜索に着手。住んでいるエリアまで絞り込みました。最後はこれまた別の友人がインスタの投稿を隈なく読み込み、集まった家周辺の情報をパズルのようにつなげていきました。そして、わずか一晩で『買っていない』と主張していた新居を突き止めることができたんです」
さらに、外車を新車で買っていることも、新しい会社を設立していることもわかり、美穂さんは友人と狂喜乱舞した。ここまで証拠を揃えれば、次の審判で養育費の金額はさらに上がる。誰もが“勝利”を確信していた。
「結果、確定した養育費は月13万円でした。希望金額にまったく届かず、悔しくて泣きました。新居や新会社の存在をめくったにもかかわらず、なぜ彼の収入が低いまま計算されていたのかがわからないんです。きっと法にギリギリ触れないグレーな方法でごまかしたんでしょう。
重たいお腹を抱えながら頑張ったこの2年半は一体何だったのか。みんな『司法は女性に優しい』なんて言っていたけど、とんでもない。結局、新居も会社も隠していたズルい男の味方じゃないですか」
養育費は勝ち取るものではない
ただ、裁判が終わって2年が経ち、美穂さんの心境は変わりつつあるようだ。
「私も少し意地になりすぎていた部分があったと思います。審判の結果が出て以降、A氏は1度も期日に遅れることなく、養育費の支払いを続けてくれています。ただ、友人たちは今でもA氏の周辺の人やSNSを監視しては『新しい事業始めてる!』『また数百万規模の旅行をしている!』と怒っていますけど(笑)」
裁判中には適応障害になったり、鬱状態になったりしたこともある美穂さんだが「最後まで闘ってよかった」と振り返る。
「正直、ここまで徹底的にやったからこそ諦めもついた。『養育費なんていらないから連絡をとりたくない』という方もいますが、私は闘ってよかったです。養育費で争っていた頃に比べたら育児のほうが全然楽ですもん」
ただ、そうは言いつつ「こんな面倒なことをしなくても、きちんと養育する側が養育費をもらえる社会になってほしいですね」となんともいえない表情で語っていたのが印象的だった。
養育費は本来、親の執念で“勝ち取るもの”ではないはずだ。しかし、制度が変わりつつある今なお、その前提はほとんど変わっていない。
子どもの未来を守るための当然の権利がないがしろにされず、ひとり親が安心して我が子を育てられる。そんな社会が一刻も早く実現することを、切に願うばかりだ。
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