「財布を奪った夫に命救われた」荒木美鈴、渋々受けた人間ドックで前がん病変発覚「37歳で子宮摘出を即決し」
「彼が無理やり人間ドックを予約してくれて」と話すのは、eスポーツのイベントや番組で進行・司会を務めるゲーミングMCの荒木美鈴さん。その人間ドックで、子宮頸がんの疑いがある前がん病変が見つかったそうです。子宮に持病も抱えていた荒木さんは、子宮摘出手術を決断。「彼に命を救われた」と振り返ります。
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夫に財布を奪われ、強制的に人間ドックを予約したら
── 今年3月、ご結婚予定であることと子宮摘出手術を受けたことを公表されました。人間ドックで、子宮頸がんになる恐れのある前がん病変が発見されたそうですね。
荒木さん:そうなんです。私、小さなころから熱もほとんど出さない健康体で、インフルエンザや大きな病気にもかかったことがなくて。だから、あまり健康に気を遣ってこなかったんですけど、去年の秋ごろ、初めて人間ドックを受けたんです。
というのも、夫が昔、心臓近くに大きな腫瘍ができて、生死にかかわるような大きな開胸手術も経験しているんです。そのぶん、いつも私の健康を気遣ってくれて、もう何年も前から「健康診断はちゃんと受けてほしい」と言われていました。
でも私は「体の不調はいっさいないし、健康体だから全然、大丈夫」って聞き流していて。そうしたら、しびれを切らした彼が私から財布を奪って、大きな病院の診察券を取り出して、「電話して」って。私は言われるがまま病院に電話をして、人間ドックを予約することに。
私は「もう、そんなに心配しても何もないのに」って渋々で。検査が終わったら「ほら、何もなかったよ」と笑って報告するつもりでいたんですけど…。実際、受けてみたら「腫瘍マーカーに反応があります」と言われてしまって。要精密検査となりました。
実は私、2年前くらいに子宮留血腫という病気と診断されていたんです。
子宮に持病。生理になっても血液が排出されない
── 聞き慣れない病名ですが、子宮留血腫とは、どんな症状なのでしょうか。
荒木さん:月1回の生理で排出されるはずの経血が排出されない状態になるんです。3、4か月ほど血液が排出されない状態を何度も繰り返しているうちに、腹痛が起き、高熱が出てしまって。一度、手術も経験しました。この病気は、閉経後の女性に見られることが多いらしく、30代半ばで発症するのは珍しいようなんですけど…。そのときは、「子宮が血液でパンパンになって子宮膜が薄くなり、破裂しかねない状況」と医師から説明されていました。
人間ドックを受ける少し前にはその病気が再発してしまい、医師から「子宮に血が溜まっています。近いうちにまた精密検査をしましょう」と言われていたんです。だから、人間ドックで見つかった腫瘍も、子宮留血腫のことだと思っていました。
でも、人間ドックから2週間ほど経った頃、仕事から帰ってきたら検査結果が届いていて。見てみると「高度異形成あり」と書かれていたんです。調べてみたら、子宮頸がんになる直前の段階のことだと。とにかく驚いて、すぐ精密検査の予約をしました。まさかクリスマスにそんなことになるなんてと落ち込んだし、体を大事にしないからこうなってしまったんだと自分を責めました。しかも、年末年始は病院が休診だったので、その間はすごく不安でいろいろと悪い想像をしてしまって。
── 年末年始の間、本当に不安だったでしょうね。
荒木さん:そうなんです。自分でいろいろ調べて、「もしかしたら子宮頸がんかもしれない、どうなっちゃうんだろう」とすごく不安でした。「進行がんかもしれない」という思いが頭をよぎり、夜中に涙が止まらなかったこともありました。「もしかしたら、死が近いのかも」って。
「命には替えられない」と子宮全摘を即決
── 30代半ばで死を意識することになるとは…よく耐えましたね。
荒木さん:夫がそばで支えてくれたことは本当にありがたかったです。そんな不安な年末年始を過ごして、年明けすぐに大きな病院で精密検査をしたところ、子宮頸部高度異形成の診断が正式に出ました。医師からは「子宮頸がんになる可能性が高い前がん病変です」と伝えられました。
── 前がん病変だとわかったんですね。
荒木さん:はい。診断結果自体は、前がん病変ではあったけど、なんとかギリギリのところで踏みとどまってくれたと思えて、ホッとしました。あのとき、彼が無理やり人間ドックを予約しなかったら、私はこの先何年も体の健康状態を調べなかったと思います。「彼に命を救われたんだ」ってしみじみ感謝の思いを噛み締めましたね。彼にはもちろんお礼を伝えましたし、このことが彼との結婚を決めた大きな理由のひとつになりました。
── 旦那さんをはじめご家族の勧めもあり、前がん病変の発見後、子宮を摘出する手術を受けたそうですね。
荒木さん:はい。医師からは「子宮留血腫を何度も再発しているなら、子宮を全摘するのもひとつの方法かもしれません」と言われました。子宮にある高度異形成を切除する円錐切除術をして、検査をしたのち子宮を全摘することが、将来を考えると最もよい方法かもしれないと。親も彼も、その話を聞いてすぐ「手術をしたほうがいい」と即答でした。「命がいちばん大事だし、美鈴には生きていてほしいから、子宮の温存を考えるよりも切除したほうがいい」って。
── 荒木さんご自身も、親御さんや旦那さんの意見に納得されたんですか?
荒木さん:私としては、仕事を休んで、関係者の方々に迷惑をかけることがいちばん心配で。「今の仕事がひと段落してからのほうがいいのでは」と思っていました。彼にそう言うと、「命と仕事、どっちが大事なの?」って怒られるみたいな感じになったんですけど。
ただ、そこで調べたときに、体への負担が比較的重くない手術法があることがわかったんです。
お腹を切らずに子宮を全摘できる方法があると知って
── どんな手術法だったんでしょうか?
荒木さん:「vNOTES(ブイノーツ)」という、経腟的腹腔鏡手術です。膣から内視鏡カメラや手術器具を入れて、子宮を切除する手術法で、お腹に傷が残らないともいわれていて。日本では2020年ごろから導入が進んでいるようで、早くて3日くらいで退院できるという話を聞いたんです。すぐにセカンドオピニオンの婦人科を探して、「明日診察できます」という病院を見つけて、速攻で受診しました。
すると、「vNOTESの適用範囲内ですよ」と言われて。その後、今年2月16日に子宮から高度異形成を切除する円錐切除術をしたのち、3月10日に婦人科で子宮摘出手術を受けました。
手術後は5日で退院でき、体への負担も軽くてすんだようです。摘出した子宮を見せてもらったんですが、すごくきれいな状態で出てきて。ありがたいことに術後は本当に順調で、「子宮がなくなった」とは信じられないほど。卵巣は残せたので、ホルモンバランスにも特に異常はないと言われています。
術後6日目には8000歩くらい歩けちゃって。たまに歩きすぎると、お腹あたりに筋肉痛に似た鈍痛を感じるときもありますが、痛くて歩けないという感じはなく、すっかり通常モードに戻っています。術後1か月で病院から旅行の許可も出たので、1週間、彼とスペイン旅行に行くこともできたんですよ。
── 術後1か月でスペイン旅行とは…!順調で本当によかったです。それにしても「vNOTES」という手術法は今回初めて知りました。
荒木さん:最近、都内を中心に実施できる病院が増えているみたいです。子宮の手術というと、どうしても開腹手術のイメージが強くて、まだ存在自体を知らない人も多いから、もっと広まればいいなと思っています。
あとは、がん保険は入っておくべきだなと思いました。私はたまたま30歳くらいのときに入ったんですけど、そのおかげで金銭的にも精神的にも余裕が生まれて助かりました。備えは大事だなって思いましたね。女性は30代に入った頃からどうしても婦人科系の病気になる可能性もあると聞くから、まわりの同世代の友人にも勧めています。
取材・文:たかなしまき 写真:荒木美鈴

