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先日、電車に乗っていたら、目の前に立っていた学生たちが「すっげえ綺麗な虹!」と言いました。思わず外を見ると、空にはくっきりと見事な虹。

スマホカメラを構えながら、「すごい。こんなに綺麗な虹が見られるなんて、地球に生まれてよかった」と思いました。

Photo:中川真知子

でも、IFLSによると、虹が見られるのは地球だけとは限らないそうです。

ただし、私たちが思い浮かべるような、雨上がりの空にかかるカラフルな虹とは少し違うかもしれません。では、宇宙の虹とはどんなものなのでしょうか。

虹は水滴が太陽光を「色ごとに分ける」ことで見える

まず、地球の虹がどう見えているのかを確認しておきましょう。

太陽の光は白っぽく見えますが、実は赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫など、さまざまな色の光が混ざっています。

雨上がりの空には、小さな水滴がたくさん浮かんでいます。そこに太陽光が入ると、光は水滴の中で曲がり、内側で反射し、外へ出るときに色ごとに分かれます。その分かれた光が私たちの目に届くことで、空に七色のアーチが見えるのです。

つまり、水滴は太陽光を七色に分ける小さなレンズのような働きをしています。

ここで大事なのは、虹に必要なのは水そのものとは限らないということです。光を通し、曲げ、色ごとに分けられる液体の粒が大気中にあれば、水ではない雨でも虹のような現象を作れる可能性があります。

土星の衛星タイタンではメタンの雨が虹を作るかもしれない

そこで候補になるのが、土星最大の衛星・タイタンです。

IFLSが話を聞いた宇宙と物理の専門家・アルフレド・カルピネティ博士は、タイタンなら虹が起こる可能性があると話しています。

タイタンは、地球以外で表面に液体があることが知られている珍しい天体です。ただし、そこにあるのは水ではありません。メタンやエタンといった炭化水素です。タイタンには、それらの液体でできた川や湖、海があり、雲ができて雨も降ります。

つまり、タイタンには「水ではない雨」があります。しかもメタンは透明なので、光を通すという点では虹の条件を満たしています。

では、タイタンの空には、地球のような虹がかかるのでしょうか。

ここで問題になるのが、タイタンを包む厚いもやです。探査機カッシーニの観測では、可視光ではもやにさえぎられて地表が見えにくい一方、近赤外線ではそのもやを通して地表を観測できることがわかっています。

つまり、タイタンで虹ができたとしても、私たちの目に見える七色の虹ではなく、赤外線で現れる「見えない虹」になるかもしれないのです。

宇宙の虹は七色のアーチだけではない

地球の虹は、雨上がりの空にかかる七色のアーチです。でも、宇宙に目を向けると、虹のような光の現象にはもっといろいろな形があります。

たとえば金星では、虹に似た「グローリー」という光学現象が観測されています。これは液体の粒が光を光源の方向へ散らすことで生まれる輪のような現象です。虹とは仕組みが違いますが、色のある光の現象という意味では近い存在です(なお、「グローリー」は地球上でも見られる現象です)。

さらに、太陽系外惑星WASP-76bでも、グローリーらしき現象が見つかった可能性があります。

カルピネティ博士は、超大質量ブラックホールの周辺で起こる高エネルギーの光の屈折についても、「ある種のX線の虹」と表現しています。

虹と聞くと、私たちは七色の橋を思い浮かべます。でも宇宙の虹は、もっと自由のようです。

私たちの肉眼では楽しめないかもしれません。でも、もし私たちとは違う目を持つ生命がどこかにいたなら、その世界の空を見上げて「この惑星に生まれてよかった」と思っているのかもしれません。

Source: IFLS