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「もう何カ月も、夫婦の営みはないはずなのに……妻が妊娠していた?」

妻が医療機関を受診していた記録は不貞の決定打になるのだろうか。弁護士ドットコムに、思いがけない「証拠」を見つけてしまった男性からの相談が寄せられた。

相談者の男性によると、夫婦関係はすでに冷え切っており、ここ半年以上、性交渉は一度もなかったという。

ところが先日、妻が医療機関を受診した際の「控え」を偶然発見。そこには、妻が「妊娠」を理由に受診したことがわかる記載が残されていたそうだ。

身に覚えがまったくない以上、妻が他の男性と関係を持ったことは明らかだと考えている。この受診記録は不貞行為の決定的な証拠になりえるのだろうか。

男女のトラブルにくわしい草木良文弁護士に聞いた。

●それだけで不貞行為の決定的証拠にはならない

──妻との離婚などを考え、裁判になった場合、妊娠を理由とした医療機関への受診記録は「証拠」となるのでしょうか。

不貞行為とは「配偶者以外の者と自由な意思に基づく性的関係を結ぶこと」と定義されています。

妊娠を理由とする産婦人科の受診記録は、事実として「妊娠している可能性」や「妊娠に関する医療行為を受けたこと」を示す資料にはなります。

しかし、それ自体が直ちに不貞行為の存在を直接証明する決定的証拠になるとは限りません。

●性交渉が長期間なかったことが裏付けられると

もっとも、ご相談のように、長期間にわたり夫婦間で性交渉がなかったという事情が客観的に裏付けられる場合には、妊娠の事実自体が不貞を強く推認させる間接事実となり得ます。

その意味で、受診記録は他の事情と組み合わせることで重要な証拠の一部として機能する可能性はあります。

●妊娠させた相手が特定できない場合は

──相手が誰かわからなければ、証拠としては弱いでしょうか

相手方男性の特定ができていない場合でも、妻の不貞の立証が不可能になるわけではありません。

男性を特定できていれば慰謝料を相手方男性と妻の双方に請求できます。

ただし、男性を特定できていないと慰謝料請求は妻にしかできないという限界が生じます。

●受診記録のほかに必要な証拠

妻の不貞を証明するためには、受診記録のほかに、たとえば、メールやSNSのやり取り、ホテルの出入りの記録、位置情報、写真・動画など、不貞関係を具体的に推認させる証拠を収集することが重要です。

受診記録のみで結論を出すのではなく、時系列や生活状況を含めた総合的な証拠構成を意識することが、訴訟を見据えた対応としては不可欠といえるでしょう。

【取材協力弁護士】
草木 良文(くさき・よしふみ)弁護士
東京弁護士会所属。不動産・飲食・イベント会社などを中心としたトラブル、労働問題、債権回収、離婚・男女問題などを扱う。2026年度東京弁護士会・法教育委員会委員長。
事務所名:小野瀬有法律事務所
事務所URL:https://kusaki-law.com/