途上国のレアアース産業の基盤整備へADBが基金、日本は31億円拠出…「圧倒的な存在感」の中国念頭に
【サマルカンド=井戸田崇志】アジア開発銀行(ADB)の年次総会が3日、ウズベキスタンのサマルカンドで開幕した。
中東情勢の悪化に伴う原油の供給不安や経済減速への懸念が高まる中、アジア太平洋地域の経済連携やエネルギー分野での協力強化について閣僚らが議論する。重要鉱物の安定確保も主要議題で、6日まで協議を続ける。
ADBはアジア太平洋地域の開発途上国を支援する国際開発金融機関で、69か国・地域が加盟。日本は米国と並ぶ最大出資国だ。
ADBは3日、途上国の鉱業振興を支援する基金を設立したと発表した。日本政府は2000万ドル(約31億円)を拠出する。途上国がレアアース(希土類)といった重要鉱物を採掘するだけでなく、自国内で精製・加工などを行える産業基盤の構築に取り組む。
基金は、中国が途上国で採掘された重要鉱物を自国内で精製して世界各国に供給し、サプライチェーン(供給網)で圧倒的な存在感を持っていることが念頭にある。途上国の鉱業分野への投資を加速させ、供給網の強靱(きょうじん)化を目指す。
片山財務相は3日の会議で「(途上国の)産業の高付加価値化は輸入国の安定的な供給確保につながる」と述べ、基金を通じてレアアースなどの調達先の多角化を図る考えを示した。
4日には地域全体の経済情勢や課題などを議論する全体会合が開かれる。原油輸入を中東に依存する東南アジアなどで経済への影響が広がる中、途上国からADBに支援強化を求める声が上がる可能性もある。
