新幹線で大騒ぎする外国人親子にコーヒーをこぼされた男性が放った、“静まり返るほど重たいひと言”…数字が物語る「車内騒音」への厳しい視線も
何事もなかったように新幹線は目的地へと走り続けたが、田中さんはその後しばらく気まずい空気の中で窓の外を眺めていたという……。
◆■ 数字が物語る「マナーの境界線」のズレ
今回お届けしたエピソード。オンライン会議の声や、静寂を切り裂く子どもの叫び声……。新幹線という閉鎖された空間で、逃げ場のない乗客たちが感じるストレスは、統計データにもはっきりと現れています。
日本民営鉄道協会が発表した最新の「2025年度 駅と電車内のマナーに関する調査」(5,202名の方が回答)を詳しく見ていくと、非常に興味深い結果が見えてきます。
(最大3つまで回答)
1位:周囲に配慮せず咳やくしゃみをする(34.7%)
2位:座席の座り方(31.9%)
3位:騒々しい会話・はしゃぎまわり(30.2%)
4位:扉付近での滞留(27.6%)
5位:スマートフォン等の使い方(21.6%)
総合ランキングでは「咳やくしゃみ」が1位ですが、注目すべきは「インバウンド(訪日客)」に限定した集計結果です。
【訪日外国人旅行者の迷惑行為ランキング】
1位:騒々しい会話・はしゃぎまわり(69.1%)
2位:荷物の持ち方・置き方(41.9%)
3位:座席の座り方(26.2%)
4位:強い香り(香水・柔軟剤等)(24.8%)
5位:扉付近での滞留(24.1%)
(出典:日本民営鉄道協会「2025年度 駅と電車内のマナーに関する調査」)
訪日客に対しては、実に約7割もの人が「騒々しい会話」を迷惑だと感じています。これは今回のエピソードでも描かれたように、文化的な背景の違いによる「声のボリューム感」や「車内での過ごし方」のズレが、日本の乗客にとって大きなストレス源になっている実態を裏付けています。
また、総合5位の「スマートフォン等の使い方」も、前年の9位から急浮上しています。通話や操作音、混雑時の使用など、自分の「タイパ」を優先するあまり、周囲の安らぎを奪う行為への視線は年々厳しくなっていると言えるでしょう。
注意すれば逆上されるリスクもあり、声を上げにくい空気があるのは事実です。しかし、エピソードにあった男性の「撮るな」という一言が空気を変えたように、毅然とした態度や、あるいは乗客同士の「暗黙の了解」が、崩れかけた車内の秩序を守る最後の一線になることもあります。
誰もが多忙を極め、心に余裕をなくしがちな時代。だからこそ、自分の発する声や音が、隣の席の誰かにとっての「壁」になっていないか――。そのわずかな想像力が、目的地までの時間を少しだけ優しく、温かいものに変えてくれる。そんな小さな配慮が当たり前のように繋がっていく車内であってほしいと、願わずにはいられません。
<取材・文/藤山ムツキ 再構成/日刊SPA!編集部>
【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo
