運動ギライに朗報「反老化物質=マイオカイン」がドバドバ出てくる…医師監修「カンタン体操」を完全図解

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マイオカイン――。聞きなれない人も多いだろうが、筋肉にまつわる最新研究では、これこそが老化を予防するカギとなることがわかってきた。

このマイオカインはホルモンの総称で、一説には600種類以上もある。毎年のように発見されているが、物質としての働きが明確にわかっているのは50種類ほど。いずれも、認知症を防ぐ、がん細胞を死滅させるといった“若返り”効果が期待できるという。

【前編記事】『「なぜ筋トレしているあの人は若々しいのか」最新科学が証明…《がん細胞すら破壊する》最強ホルモンの正体』よりつづく。

「京大の筋肉」がぜんぶ解説します

マイオカインは運動をするたびに筋肉から分泌されたり、運動を習慣としている日常生活でじわじわと出てきたりする。そこで、マイオカインを効果的に出せる「春の体操」を紹介していこう。

筋肉は代謝の中心として機能する「臓器」であると提唱し、「京大の筋肉」という異名をとる、京都大学名誉教授の森谷敏夫氏が解説する。

「当たり前ですが、マイオカインは使った筋肉からしか出ません。使えば使うほど筋肉は肥大し、マイオカインの分泌量は多くなっていきます。

筋線維には遅筋と速筋の2種類があり、持久力を発揮する遅筋を有酸素運動で鍛えれば十分だという考え方もあるようです。しかし、それだけでは筋肉は肥大しません。マイオカインは瞬発力に長けた速筋から出やすいので、ある程度きつめの運動が欠かせないのです」

40年以上も体重が変わらず、76歳の現在も体脂肪率ひと桁台を維持する森谷氏によれば、冬の間は運動不足に陥りがちなので、春になったら下半身にしっかり筋肉をつける力強い運動と、体幹を使うダイナミックな体操がおすすめだという。

まずは初級編「ツツジ咲いたよ」から

まずは初級の体操として、椅子に座ったまま上半身をほぐす「ツツジ咲いたよ」(図参照)から始めよう。

5月初旬に見頃を迎えるツツジの花弁をイメージし、深呼吸をしながら両手をゆっくり広げては閉じる。胸周りの筋肉を伸ばした後は、背中周りの筋肉を伸ばしていこう。10回ほど繰り返したら、休憩を挟むとよい。

「こぶしをしっかりと握って顔の前でクロスさせてから指を大きく広げていくことで、神経系の動きも活性化します。胸を大きく反らせて深呼吸しながら酸素を取り込めば、肺の機能も活性化する。腹式呼吸とストレッチを組み合わせた相乗効果が期待できます」(森谷氏)

続いて、椅子から立ち上がり、中級「タケノコ伸ばし」に移ろう。

両手を股関節に当ててバランスを取り、上体を起こしたまま腰を落としてゆっくり椅子に座る。そして下半身の筋肉を使いながら、すっくと立ち上がる。

肝要なのは、少し見ぬ間に大きく伸長するタケノコをイメージしながら、速やかに立つこと。そうすれば、下半身の筋肉から善玉マイオカインが湧き出てくるだろう。

「両手を股関節に当てておくと、そこから全身を安定して動かせる姿勢を取れます。この上下運動は、足の関節の柔軟性を高めるのにも効果的です」(森谷氏)

これであなたも「マイオカインマスター」

ここまできたら、上級の体操春風に乗るチョウ」を試す頃合いだ。

直立の姿勢から、片足を1歩大きく踏み出して深く腰を落とす。その姿勢を数秒保ったら、踏み出した片足を軸にして、再び元の姿勢に戻る。大きく踏み出すときにバランスが崩れて難しいと感じる人は、踏み出してから椅子に片手を置いて、身体の支えにしてもよい。

また、前に踏み出すだけでなく、左右に踏み出して四股を踏むような体勢を数秒維持してから再び元に戻ったり、真後ろに踏み出して元に戻ることを繰り返すと、下半身の筋肉がどんどん鍛えられる。

「歳を取るにつれて最も弱ってくる、太腿の前側にある大腿四頭筋を大きくできる体操です。最初は、前後左右それぞれ2回ずつするだけでよく、10回まで増やしたら、それ以上行う必要はありません。目的はオリンピックを目指すことではなく、老化を防ぐことですから、『半年かけて10セット達成しよう』くらいの気持ちを持てばよいんです」(森谷氏)

あたかも四方八方にひらひらと舞うチョウのように、スムーズに足を動かせれば、あなたも立派な「マイオカインマスター」である。

森谷氏によれば、身体を動かすと、ANPというマイオカインが心臓の筋肉や骨格筋から出る。実は、ANPの化学構造式は降圧利尿剤とほぼ一致する。体内でつくり出されるホルモンの力で、効率的に血圧も下げられるのだ。

春風を浴びて身体を動かしながら、クスリ要らずの身体をつくろう。

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週刊現代」2026年4月27日号より

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