アルツハイマー病のマウスを使った実験イメージ

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 脳の神経伝達物質「ドーパミン」の不足が、アルツハイマー病記憶障害を引き起こすことをマウスの実験で解明したと、東北大などの研究チームが発表した。

 ドーパミンの量を人為的に増やすと、記憶障害は改善した。将来的に新しい治療法の開発につながることが期待される。論文が23日、国際科学誌に掲載された。

 ドーパミンは、脳の神経細胞同士の情報のやりとりを助ける伝達物質の一つ。

 チームは、「嗅内皮質(きゅうないひしつ)」と呼ばれる脳領域で、神経細胞がドーパミンを受け取ることで記憶が形成されることに着目。遺伝子を改変してアルツハイマー病の特徴を再現したマウスに新しいにおいを覚えさせる実験を行ったところ、ドーパミンが十分放出されず、神経細胞が正常に機能しなかった。においを覚えることもできなかった。

 こうしたマウスに、ドーパミンの量を増やすパーキンソン病治療薬「レボドパ」を投与すると、神経細胞が正常に機能して新しいにおいを覚えられるようになった。

 同大の五十啓・国際卓越教授(神経生理学)は「アルツハイマー病の患者で同様の効果があるのか、確かめていきたい」と話す。

 東京大の富田泰輔教授(病態生化学)の話アルツハイマー病では病気の進行抑制効果のある治療薬はあるが、認知機能の回復に課題があり新しい治療法が必要とされている。マウスを使った実験で認知機能の回復を示せたのは画期的だ」