【小林 雅一】「すべて暴露する」…エプスタイン事件「関与否定」のメラニア夫人に逆恨みか? 元モデルからの脅迫文の中身
2026年1月に米司法省が開示した「エプスタイン文書」をきっかけに、政財界の著名人との関係が改めて注目されるなか、メラニア・トランプ夫人は4月9日、ホワイトハウスで記者会見を開き、ジェフリー・エプスタインとの関係を全面的に否定した。
SNS上で拡散されてきた「エプスタインがトランプ夫妻を引き合わせた」との噂についても明確に否認し、出会いはイタリア出身の実業家、パオロ・ザンポッリ氏によるものだと説明。しかし、親しげに写っている以上は疑いを拭いきれない。
【前編】『このデマだけは許せない…メラニア夫人「エプスタイン関与」を完全否定で浮上した「実業家の名前」』よりつづく。
メラニア夫人の苦しい言い訳
この点について、メラニア夫人は9日の記者会見で「単にパーティで一緒に居ただけであって、エプスタインやマクスウェルと親しく交際していたわけでない」と述べた。だが、あの写真を見る限り、このような釈明はメラニア夫人にとってちょっと苦しい言い訳だな、という印象を正直受ける。また、他にも夫人にとって不利となる以下の状況証拠がある。
同じく今年1月に開示されたエプスタイン文書には、メラニア夫人とマクスウェルの間で交わされたメールも含まれているが、それらメールの中で両者は互いを「スィートピー(可愛い人)」「愛しい人」と呼び合うなど、極めて親しい間柄であったことが窺える。
因みにマクスウェルはエプスタイン(という男性)の共犯者にして愛人であったが、その一方で自らも少女を性的に暴行するなど「両性愛(bisexual)」の傾向があったらしい。
このマクスウェルとの関係について、メラニア夫人は先週の記者会見で「確かに彼女とメールをやりとりしていたことは事実ですが、その内容は単なる近況報告(casual correspondence)に過ぎませんでした」と(する旨を)述べ、「二人は親しい関係であった」とする外部からの見方を否定した。
イラン戦争はエプスタイン文書とトランプへの関心を逸らすために始められたのか
実際のところ、これらメラニア夫人の発言のどこまでが真実でどこからが虚偽なのか、あるいはどの程度まで真実なのかは聞く人によって意見が割れるかもしれない。が、先日の記者会見について最も関心を呼んだのは、そうした夫人の発言内容ではなく、むしろその会見が催されたタイミングであった。
記者会見の壇上でメラニア夫人は自分の言いたい事だけを言い終わると、記者からの質問は一切受けずに、踝を返して会見場の出口に向かった。その背中に向けて、記者たちは口々に「何故、今(Why now)?」「何故、今?」という質問を投げかけたが、夫人からの返事は無かった。
記者からの「何故、今?」という質問の真意は「イラン戦争の和平交渉に世界の関心が集まっている今、なぜ貴方は敢えてそれから関心を奪い取るようなエプスタイン関連の記者会見を開いたのですか?」ということだ。
この質問には、メラニア夫人の夫であるトランプ大統領が置かれた苦しい立場が関係している。
同じく今年1月に開示されたエプスタイン文書には、「ドナルド・トランプ」の名前も最低数千回から(同一資料内の重複記載も含めれば)1万回以上は登場している。確たる証拠はないが、(大統領に就任する以前の)トランプ氏がエプスタインの性犯罪に関与したのではないか、という疑いは完全に拭い去られていない。
そうした中、今年2月下旬にはアメリカ公共放送ラジオ(NPR)が「かつてトランプ氏がエプスタインと共に性的暴行を加えたとされる少女をFBIが事情聴取した記録が、1月に開示されたエプスタイン文書から司法省によって意図的に抜き取られていた」とするスクープを放送した。
つまり司法省がトランプ大統領を助けるために不利な情報を隠蔽したということだ。これに対するメディア・世論からの厳しい非難を受け、結局、司法省はそれらの聴取記録を改めて公開せざるを得なかった。
もちろん、これらの聴取記録はあくまで性被害に遭ったとする女性(事件当時は少女)側の言い分に過ぎず、これだけではトランプ氏を有罪と認定する証拠にはなり得ない。だが、それでも「MAGA(アメリカを再び偉大に)」と呼ばれるトランプ大統領の岩盤支持層にまで、疑念を抱かせるような、大統領にとって非常に都合の悪い情報だったのだ。
この一件から約1週間後となる2月28日、トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と共にイランへの武力攻撃(事実上の戦争)の開始命令を出した。
これはつまりエプスタイン文書の開示によってトランプ大統領に向けられた性犯罪の疑惑、そしてアメリカ国民の関心を戦争によって逸らすための企みなのではないか。そういう見方が生じるのは止むを得ないだろう。
夫人は何故「寝た子を起こす」ようなことをしたのか
もしも、その通りだとすれば、その試みは実際に功を奏している。当初、イラン国内から始まった戦争はその後、UAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアをはじめ湾岸諸国にまで戦火を拡大する一方、イランがホルムズ海峡を封鎖したことによって世界的なエネルギー価格の高騰とインフレを招いた。
この過程で、全米のみならず全世界の関心はイラン戦争、やがて停戦合意後の和平交渉へと向かい、逆に同戦争の直前まで注目を集めていた「エプスタイン文書」への関心はかなり薄れてしまった。もしもトランプ大統領が本当にそれを狙ってイラン戦争を始めたのだとすれば、それはまんまと図に当たったことになる。
そうであるなら、何故その企みが首尾よく運んだ今頃になって、大統領の身内であるメラニア夫人が敢えて「エプスタイン関連の記者会見」という言わば「寝た子を起こす」ような行動に出たのか? これが大きな謎として、記者団やトランプ政権関係者の頭を悩ませているのだ。
もちろんメラニア夫人の真意、つまりその頭の中は夫人本人にしか分からない。が、敢えて夫人の動機あるいは心理を推測すれば「夫のことなんか心配してる場合じゃない」ということだろう。
実際、自分とエプスタインとの関係を周囲から邪推されたと感じたメラニア夫人は、何はともあれ、その疑念を払拭するのが今の自分にとって最大の優先事項だと考えた。だから敢えてホワイトハウスで記者会見を開いて、自分の口からエプスタインとの関係を否定したのだ。
一方、トランプ大統領は(今回の件は事前に夫人から聞いていなかった、と断った上で)こうした夫人の態度にある程度の理解を示している。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によれば、大統領は「妻の気持ちは理解できる。(以前から)私は彼女に『それ(記者会見などの情報開示行為)をやりたければやれ』と言ってきた。私がそれを勧めたわけではないが、妻にそれをする権利はある」と述べたという。
夫人を憎悪する元モデルのX投稿が直接の引き金か
それにしても「なんでメラニア夫人は敢えて今それをやるの?」という疑問は残ったままだ。が、このタイミングに関する謎については、それを解くヒントのようなものがある。
「トランプ氏とメラニア氏が出会った経緯を議会で証言してもいい」と述べた(前述の)イタリア出身の実業家パオロ・ザンポッリ氏は実は彼自身の名前もエプスタイン文書に何度か登場するなど、かなり怪しげな人物であるとされる。こうしたザンポッリ氏の発言は必ずしも十分な信用に足るものではない。
同じくNYTの報道によれば、同氏と関連して、もう一人注意すべき人物はブラジル出身の元モデル、アマンダ・ウンガロという女性だという。彼女は2002年、17歳のときにエプスタインのプライベートジェット機(通称ロリータ・エクスプレス)に乗って初めてニューヨーク、つまり米国に来たことを認めている。
ウンガロ氏はその後、ザンポッリ氏と事実婚の状態になり、その関係は約20年にわたって続いたが、その間にこの二人は息子をもうけたという。
ところが2025年、二人の事実婚関係は破綻し、そこから激しい親権争いへと発展した。ウンガロ氏側の主張によれば、トランプ政権の特別使節を務めるザンポッリ氏が「ICE(移民関税執行局)」幹部へのコネを使って「ビザの有効期間切れ」を理由に彼女を逮捕してブラジルに強制送還したという。
ウンガロ氏はザンポッリ氏を通じて(モデル時代からの)メラニア氏とも親しく、二人は20年以上に渡って親友だった、とウンガロ氏は主張している。
ところが2025年にICEに逮捕・拘束されたウンガロ氏が親友メラニア夫人に助けを求めたとき、夫人から完全に無視され見捨てられたと感じたことから、ウンガロ氏はそれまでと一転してメラニア夫人を激しく憎むようになった。
これ以降、ウンガロ氏は「メラニアとエプスタインの本当の関係について、全てを知っている」と公言するようになった。
今月9日(木曜日)の午前零時過ぎ、ウンガロ氏はX(旧ツイッター)で「私は人生でもう失うものが何もない。だから全てのシステムを壊してやる。私がこれから言うことに注意しな、ビッチ(雌犬転じて性悪女)」と投稿した。
これとはまた別の投稿では「私はお前とお前の夫の正体を知っている」と(どうやらメラニア夫人とトランプ大統領を念頭に)警告を発したらしい(NYT報道によれば、これらの投稿はその後削除されて今は残っていないという)。
もちろん、これらのウンガロ氏によるXへの脅迫的な投稿をメラニア夫人が目撃したという確証はない。が、その可能性は十分ある。この投稿に不快感ないしは恐怖を抱いたからこそ、同じく9日に夫人はホワイトハウスで記者会見を開いて、自身の潔白を訴えたという見方は必ずしも的外れとは言えないだろう。
【もっと読む→秋篠宮ご夫妻「年1.2億円の皇族費」も家計は火の車…背後に「小室夫妻の存在」】
