W杯までに知っておきたいサッカー用語の第24弾。今回は「スペース」を解説。(C)Getty Images

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 聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第24弾は「スペース」だ。

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「スペース」は単にピッチ上の空いているエリアだけを指す言葉ではない。攻撃でも守備でも、すべてのプレー判断の基準になる最も汎用性の高い用語の1つだ。

 一般的には、相手選手がいない、あるいは相手がすぐには到達できないエリアを意味するが、実際には「どこが空いているか」だけでなく「誰が使えるか」や「いつ使うか」までを含めて、戦術的に考える必要がある。

 攻撃においてスペースは、ボールを前進させてチャンスを作るための土台になる。たとえば、相手の中盤ラインと最終ラインの間に生まれる空間は攻撃における極めて重要なスペースだ。ここで前を向いてボールを受けられればシュートやラストパス、ドリブルと多くの選択肢が生まれる。
 
 また、相手の最終ラインの背後にあるスペースは、裏抜けやロングボールの狙いどころになる。ここを突くことで相手の守備陣を押し下げ、ライン全体を間延びさせる効果も生まれるのだ。

 スペースは最初からそこに存在するものだけではなく、選手の立ち位置や動きによって生じ、作られるものでもある。たとえば、フォワードが相手のセンターバックを外側に引き出せば、中央に新たなスペースが生まれる。サイドの選手が幅を取って相手を広げれば、その分、中央に決定的なスペースができる。

 これは前回のギャップとほぼ同意になる。味方の動きによって相手の陣形をずらし、意図的に使える空間を生み出していくのが、現代サッカーでは非常に重要だ。

 守備では危険なスペースを相手に作らせない、使わせないのがポイントになる。守備ブロックをコンパクトに保つのは、選手間の距離を縮めて危険な空間を消すためだ。ゾーンとマンツーマンで方法論は変わってくるが、中央のスペースを閉じ、危険度の低いエリアに相手を追いやる重要性はどんな守り方にも共通する。

 つまりサッカーにおけるスペースとは、ただの空いた場所ではなく、攻守の駆け引きそのものを表わす。どこにスペースが生まれ、誰がそれを使い、どう消すのか。その攻防が試合の流れや勝敗を大きく左右する。

 サッカーを戦術的に理解するうえで、最も基本でありながら最も奥深いキーワードの一つといえる。

文●河治良幸

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