高市首相、日本国国章損壊罪の議論着手 アメリカ、イギリス、カナダには国旗損壊罪なし
高市早苗首相が、今国会で「国旗損壊罪」の法案成立を目指している。3月31日、「日本国国章損壊罪」創設に向けたプロジェクトチームの初会合を党本部で開き、議論に着手した。同法案は、侮辱目的で日本の国旗を燃やしたり、汚す行為を処罰するものだ。高市総理は1月27日の街頭演説でも「日本国旗も外国国旗も、お互いに尊重しようという考えのもと、両者を同等に扱う議員立法を提出したが、解散により廃案となった。その後も野党の賛同が得られず、再提出できなかった」と語った、悲願の法案だ。
しかし、憲法が保障する「表現の自由」を侵害する懸念が党内からでており、野党でも賛否は分かれている。自民党の岩屋毅前外相は「外国国章損壊罪の守るべき法益は外国との外交関係で、それと同列に扱うのはおかしい。憲法の保障する『内心の自由』や『表現の自由』を侵してはならない」と慎重な姿勢をみせた。外国国章損壊罪は侮辱を加える目的で他国の国旗などを損壊した場合に「2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金」を科すと規定されている。日本の国旗に関する規定は現在ない。不均衡を是正する目的で、与党は罰則規定も視野に入れている。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「表現の自由との関係で比較衡量しながら、慎重に議論を進めていくことが必要ではないか」としている。
一方、野党の参政党は日本国国章損壊罪の制定に同意しており、参院でも参政党が賛成に入れば法案成立の可能性は高まると見られている。2日には、刑罰を明記した刑法改正案を参院に提出。刑の重さは外国国章損壊罪とそろえた。神谷宗幣代表は「国旗は自国、他国関係なくその国を象徴する大切なものだ。理念だけでは抑止力にならない」と述べ、刑罰の必要性を強調した。
アメリカは国旗を燃やしても表現の自由
日本国旗を尊重する法律は、1999年から存在している。2012年に自民党が日章旗を傷つけることに対する罰則を定めた「国旗損壊罪」の刑法改正案を了承。しかし、国会において審査未了で廃案となった。高市首相はこの際、議案提出者であった。
海外では自国の旗の損壊についてはどうなっているのか。
アメリカでは、国旗を燃やす行為は表現の自由として認められている。イギリス、カナダは国旗損壊罪は存在しないが、器物損壊罪が適用される可能性がある。
フランスは、明確な犯罪行為とし約25万円以上の罰金、集会での行為であれば6カ月の禁固刑が科せられる。ドイツでも3年以下の懲役、または罰金となっている。中国は3年以下の懲役、または政治権利のはく奪だ。
海外でも国旗への対応は違う。高市首相の通したい法案だが、与野党両方に慎重論は根強いだけに果たして……。
文/並河悟志 内外タイムス編集部
