親の年収・学歴が「算数の悩み」に直結…日本は海外より深刻な教育格差、背景にある「家庭環境」の壁

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スプリックス教育財団は2026年4月8日、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の結果を発表した。本調査は2025年4月から7月に、世界6か国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)の小学4年生と中学2年生を対象に、インターネットや学校で実施した。

日本の小学生は他国に比べて算数への悩みは少ないものの、計算が苦手な子ほど“暗記”に負担を感じており、成績上位層との間に意識の壁がある実態が浮き彫りになった。

「算数は暗記」と感じる割合、成績上位と下位で27.8ポイントの圧倒的格差

日本の小学生が算数の勉強で抱える最大の悩みは「覚えなければいけないことが多すぎる」という暗記への負担感だ。この悩みを持つ子の割合は全体で30.2%だが、計算テストの結果で子どもたちを「成績が良いグループ」と「悪いグループ」に分けて比較すると、格差が見えてくる。

計算が得意な子に比べて、苦手な子は「算数は覚えることが多すぎてしんどい」と感じている割合が27.8ポイントも高かった。海外5か国では「わからない時の解決方法がわからない」ことが学力差に直結しているのに対し、日本では「算数=理解するものではなく、ただ公式を丸暗記するもの」という認識が最大の壁になっている。

親の年収や学歴が「勉強の悩み」に直結

こうした「算数へのしんどさ」をさらに決定づけているのが、世帯年収や保護者の学歴といった家庭の経済的・社会的背景(SES)だ。海外では家庭環境による悩みの差は10ポイント以内に収まっているが、日本ではその差が約15 ポイントと、他国に比べて「親の状況」が子どもの勉強の悩みに直結しやすい傾向にある。

特に経済的に恵まれた家庭の子は、家庭や塾でのサポートによって算数の本質を理解できているためか、暗記の負担を感じている割合が他国と比べても極端に低い。一方で、十分な支援を受けられない層では「算数は暗記するもの」という誤解や「上手な勉強法がわからない」といった課題を抱えたまま放置されているのが日本の現状だ。

調査では、計算力が低い子ほど「前の学年で習ったことが身についていない」と自覚していることも判明している。これは自分の弱点を客観的に把握できている証拠でもあるが、家庭でのフォローが期待しにくい層にとっては、自力でこの壁を突破するのは容易ではない。今後は、算数を「暗記」ではなく「仕組みを考える楽しさ」として定着させるため、公教育などが家庭環境の差を埋めるような、個別最適な学習支援を優先的に提供していくことが求められている。