6代目山口組・盪垣胸柄絢稙が「15億円の保釈金を翌日に支払い」から見えるその実像
かつて20万人もの構成員を擁した暴力団。
覚せい剤の輸入や賭博、みかじめ料の徴収で莫大な収益を上げ、1980年代の年間収入は推計8兆円に達したと言われる。だが平成に入って以降、暴対法の制定や警察の行き過ぎた捜査、メディアによる批判的な報道が原因となり、暴力団は衰退の一途をたどってきた。
では、暴力団が社会から消えていくことは、我々一般国民にとって「良いこと」だけなのだろうか?しばし「必要悪」として語られてきた“やくざ”の実態を、『やくざは本当に「必要悪」だったのか』より一部抜粋・再編集してお届けする。
実権を持つのは組長ではなく若頭
7代目山口組の組長も若頭も6代目時代のようにいい思いは決して味わえない、と覚悟したほうがいい。
郄山清司は組長の司忍に極めて忠実と伝わるが、今の山口組では司組長は実務から離れて実質はお飾りであり、実際の権限は今に至るまで、長く若頭を務めた郄山清司が担ってきた。一方的な分裂抗争の終結表明も郄山-竹内の工作で実施された。
7代目は竹内照明-野内正博のコンビとなるだろうが、対外的に評判がいいのは野内であり、いずれ7代目・竹内照明組長の時代に入っても、野内正博若頭がリーダーシップを握っていくものと見られる。
山口組にあっても、5代目以降の組長は「君臨すれども統治せず」の通りで、実務から遠ざかっている。実務的な権限を握るのはナンバーツーの若頭であり、実際に組内で実権を持ち、偉いのは組長ではなく、若頭なのだ。
郄山清司は私利私欲がない?
地元名古屋では郄山清司について、若い頃からこう言われていた。
「郄山さんは何が嫌いといって、親に恥をかかせるのが一番嫌いでしょう。親に恥をかかせないためには、自分がどんなに嫌われてもいい。全部、自分が憎まれ役を引き受けるって覚悟でやってる。郄山さんのもともとの親分は山口組直系の弘田組の枝の組、佐々木組(後に菱心会と改称。山口組直系)の佐々木康裕組長だけど、この佐々木さんはカネにはでたらめだった。韓国のカジノに出掛けては平気で50億〜60億円負けてくる。
全部郄山さんが佐々木さんの借金のケツを拭いたわけだけど、グチも泣き言もいわない。逆に、あれほど豪快に負けてくる親分に仕えられる俺は幸せ者だと考えていた。
もちろん佐々木さんにもいいところがあった。郄山さんの言うことだけは信じたんです。だから当時、郄山さんはいってましたね。『あんなでたらめな親分だけど、俺のいうことだけは聞いてくれる。若い者を破門する、しないでも、俺がいえば、そのまま通してくれる』って。
結局、郄山さんに私心がなく、人事で私利私欲を図ることがない。それを佐々木さんは分かっていたから、若い者を上に引き上げる、破門するって案件でも、全面的に郄山さんに任せていた」
保釈金15億円を翌日に用意
郄山に私心がないとのことだが、事実なのか、かなり疑わしい。前記した山口組本部人事で表面は弘道会優位なのだが、実質的には郄山組優位であることでも私心、私欲は察せられよう。
弘道会組員と交際の深い風俗業者が言う。
「一口に弘道会といっても、いいとはっきり断言できるのは山口組の郄山若頭が創立した郄山組ぐらい。弘道会の他の直参はドングリの背比べで、どっちが貧乏か競っている。つまり弘道会でも郄山組の寡占化が進行中で、一方が余裕のゴルフ三昧なら、他方は業者と商談したくても、会食するカネからしてないという体たらく、まさしく格差社会を地で行っている」
2020年2月、三重県桑名市の住宅街所在の郄山邸に、旧中野会系元組員が複数の銃弾を撃ち込んだ事件を報じるニュースの中で、郄山邸の豪壮さが一般に披露された。100坪以上の敷地に建つ日本家屋、城壁のように高く白い塀に囲まれ、至る所に監視カメラを設置。要塞を兼ねたような和風の豪邸である。
それに、2012年6月、京都の土木業者から4000万円を脅し取ったとして恐喝罪に問われた郄山に対し、京都地裁は保釈を決定し、言い渡した保釈保証金は15億円。郄山はこの巨額をほぼ次の日までに用意した。
保釈保証金の日本最高額は牛肉偽装事件のハンナン元会長・浅田満氏の20億円とされる。それに次ぐ2位は日産自動車のカルロス・ゴーンの15億円、それと同額の15億円が郄山前若頭である。
これだけ巨額を蓄えている人間に「私心がない、私欲がない」はあり得ないだろう。
【後編を読む】山口組・弘道会に際立つ「破門・絶縁した者に対する徹底した冷酷さ」の実態
