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 女優の伊藤沙莉(31)がヒロインを務めた2024年度前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」は20日、スピンオフドラマ「山田轟法律事務所」(後9・30〜10・42)が放送される。女優の土居志央梨(33)が好演した人気キャラクター・山田よねを主人公に、本編には盛り込まれなかった「山田轟法律事務所」の知られざる誕生エピソードを描く。見どころを探ると、3つの注目ポイントが浮上した。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪(佐田)寅子(ともこ)の人生を紡ぎ上げた。

 スピンオフは、寅子の盟友・よねが相棒・轟太一(戸塚純貴)とともに東京・上野に弁護士事務所を構えるまでの前日譚。本編に続き、吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛けた。

 「正しく怒る」「正しく不機嫌でいる」がキーワードの一つ。吉田氏は「本編にも共通しているテーマですが、“怒ること”“声を上げること”がネガティブに受け取られることが、この社会にまだあると感じています。感情的だとか、怒ったら負けだとか。でも『虎に翼』において“怒る”という行動は、誰かを傷つけるための道具ではなく、社会を良くしたり、誰かを守るためのツール。自分よがりで怒ったり、使い方を間違えると、理不尽に誰かを踏みつけてしまうこともある。そういう意味で“正しい怒り方”をしましょう、と。今回、主人公のよねに託した思いが、より深く伝わるといいなと思っています」と語る。

 (1)マスター

 カフェ燈台のマスター・増野が“再登場”。本編に続き、俳優の平山祐介が演じる。

 本編第51回(24年6月10日)、よねは復員した轟と再会し「ここのマスターは(東京大空襲で)焼け死んだがな」と語ったが、今回はそこに至るまでの“紆余曲折”が明かされる。

 吉田氏は「アニメのコミカライズの連載を何年もしていたので、登場人物の裏設定や話の辻褄合わせを考えるのはとても好きなんです。マスターがいつ、どういうふうに亡くなったのか。よねはそこまで詳しく言っていないので」。マスターが生存している姿を描く“方法”を思いついた。「マスターにこんなに人気が出るとは予想していなかったので、スピンオフで補えることができて、本当によかったです」。果たして、どのように“生き返る”のか。

 (2)よねの姉

 よねの生き別れた姉・山田夏も“再登場”。よねが自身の壮絶な過去を明かした本編第13回(24年4月17日)の回想から劇中の時代が進み、新たに女優の秋元才加が演じる。

 あらすじには「(よねは)生き別れていた姉・山田夏(秋元才加)と再会を果たすも、2人の心はすれ違ったまま。そして夏を理不尽な暴力が襲う。よねは犯人を追うが、闇市を支配する勢力のうごめきに増野も巻き込まれ、真相は闇に葬られてしまう」とあり、心配は尽きない。上野の街を裏で取り仕切る顔役・水谷をベテラン・大谷亮介が演じる。

 (3)寅子

 番組公式サイトで公開された先行動画。寅子が「フレーフレー、よねさん!」と大袈裟な応援団の振付。眼前に迫られ、よねもタジタジになる。

 ただ、妊娠を黙っていた寅子と、よねはケンカ別れ(本編第39回・24年5月23日、劇中1943年頃)。戦後に再会を果たしたが(本編第56回・24年6月17日、劇中1949年)、約6年の空白期間がある。今回の寅子の登場は、どのように描かれるのか。

 「スタッフの皆さんとの間でも、スピンオフを作るなら“主人公はよね、山田轟法律事務所の話だよね”と自然発生的に決まりました。よねと轟の活躍をもっと見たかったという声を多くの方から頂いた体感がありましたし、私自身もそうだったので」と吉田氏。

 「山田よね」の役名に込めた思いを尋ねると「音(よね/米)の響きから農家の生まれで、彼女が歩んできた茨の人生がどこかにじむ名前にしたいと思いました。あとは単純に“よねさん、よねさん”と呼びやすいからですね(笑)。名字はメジャーな“山田”にしました。よねはモデルにした実在の人物がいない分、変わった名前を付けると、ドラマのために作られた虚像だと受け取られてしまいそうで、それは嫌だなと。よねは決して特別な人ではなく、どこにでもいる人なんです」。思えば本編第13回、よねは「ありふれた話だ」と切り出し、寅子たちに自身の過去を打ち明けた。よねの物語を自分事として捉えたい。

 【虎に翼スピンオフ「山田轟法律事務所」あらすじ】

 山田よね(土居志央梨)は、東京大空襲で瀕死の重傷を負ったカフェ燈台のマスター・増野(平山祐介)をリヤカーで運んでいた。敗戦に打ちひしがれ、無秩序と差別が渦巻く上野の街。学んできた法律は無力に思え、よねの心は徐々にすさむ。

 生き別れていた姉・山田夏(秋元才加)と再会を果たすも、2人の心はすれ違ったまま。そして夏を理不尽な暴力が襲う。よねは犯人を追うが、闇市を支配する勢力のうごめきに増野も巻き込まれ、真相は闇に葬られてしまう。

 絶望の中、よねは新聞で目にした憲法十四条を、怒りに突き動かされるように壁に書き記す。やがて轟太一(戸塚純貴)との再会を機に、法律事務所を開設。追い詰められた人々の事件に立ち向かう。