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長距離トラックドライバーの労働環境を改善することを目的に、労働時間に上限を設けた規制「2024年問題」。2026年4月から新たな規制やルールが盛り込まれた「2026年問題」が本格化する。2つの規制の違いについて解説していく。

「2024年問題」は主に、トラック運送業者や自動車運転業者、ドライバーに対しての対象だった。

改善ポイントは、連続運転4時間とし、超えた場合は原則30分以上の休憩が必要。1日の拘束時間は13時間以内、最大15時間。年間の時間外労働の上限は960時間だった。時間を超過した場合、6カ月以下の懲役、または、30万円以下の罰金が科せられる。

労働環境改善が目的だが、残業時間が減るため、ドライバーの収入減となる。また、次代の担い手が成長するまで輸送力が減少する、配送の遅延が発生するリスクが挙げられた。

対策として、物流システムのデジタルツールによる効率化、ドライバーの交代、他社との連携配送が打ち出された。

しかし、効率化にも限度があり、実態として出退勤をごまかすといった「隠れ残業」が常態化。会社からは残業時間を超過しないよう指示されるが、作業によってはどうしても遅れがでてしまう。車両に搭載されているデジタルタコグラフには位置情報などが残るため、出退勤時間を2~6時間ずらすこともあるようだ。現場の実情としては、規制やコンプライアンスは守られていないことが多々ある。

一方、「2026年問題」は、年間取扱貨物重量が9万トン以上の特定荷主、貨物の保管量70万トン以上の特定倉庫業者、保有車両台数150台以上の特定貨物自動車運送事業者等が特定事業者として対象となる。大きな違いは、事業者の物流業務そのものの管理体制や効率化を改善していくのが特徴だ。これにより、2024年問題のドライバーの労働時間規制は完全に実施となる。

主な点は、2026年4月から、物流統括管理者(CLO)の専任、中長期計画の作成・提出、定期報告の義務化、この3点が特定事業者の法的義務として遂行する必要がある。

また、物流業界で問題となっている「白トラック」にも規制が強化。通常、運送業や建設業が有償で運ぶ際、緑ナンバーが必要となる。「白トラック」は白ナンバーの車両のことで、自分のものを運ぶことのみ可能。個人間であっても、自分以外の所有物を運ぶことはできない。運んだ場合、事業者が処罰を受けていた。

新たな規制では、事業主だけでなく、依頼した荷主も処罰の対象となる。荷主への罰則は「100万円以下の罰金」となっている。

2つの問題はトラックドライバーの不足やECサイト市場の拡大による物流増加により、2030年には全国の荷物の約34%が運べなくなるという政府の試算の元、物流構造の適正化のため段階的に施行されている。年数が入っているのは、タイムリミットという意味も含まれている。

これまでは、翌日配達や配送料無料といったサービスを受けられてきたが、トラックドライバーが不足してきた。これらの対策がうまく機能し、運送業者の働き方が改善され、なおかつ、一般消費者のもとにこれまで通り荷物が届くのか注視したい。

文/並河悟志 内外タイムス編集部