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ARで食事の情報をしっかり見てから注文する未来?

コロナウイルスの流行で急速に広がったQRコードメニュー。最初はやっぱり面倒くさかったですが、許容できる不便さ、と言う感じでしたよね。でも。マスク着用義務が解除されて、コロナという言葉を聞かなくなった今でもQRコードメニューは残り続けています。QRコードのメニューはどちらかというと嫌われがちなテクノロジーの部類で、なくそうとする動きもあるんですが、顧客は実はQRコードメニューを好んでいるのだと言うレストラン経営者やコンサルティング会社も結構いるようです。そんな中、アメリカ、ワシントン州立大学の新たな研究では、消費者は食事体験の中にさらにテクノロジーが組み込まれることを望んでいるのではないかとしています。

ARメニューが来店意欲を高める?

ワシントン州立大学カールソン・ビジネスカレッジのSoobin Seo氏がおこなった研究では、レストランがデジタルメニューに拡張現実ARを加えることで、顧客の関心や口コミ意欲が高まるとしています。今回の研究は業界の学術誌International Journal of Hospitality Managementの1月号に掲載されています。この学術誌は過去にもホスピタリティ分野の主要学術誌に見られる方法バイアスの問題を扱った研究なども掲載しています。

この研究は科学的に厳密でないというわけではありません。論文では研究の限界についても複数言及されていて、企業が実際に導入を検討する前にさらなる研究が必要だとしています。実際に研究方法の詳細を確認すると、将来的にレストランがAR一色になるというわけではないようです。

どんな実験?

まず、この研究はレストランの食材がどこから来て、どんな過程を経てここへ辿り着いたかという「ファーム・トゥ・テーブル」の情報をARで開示する点に焦点を当て、それが来店意欲や他の人に話したいという気持ちにどのように影響するかを扱っています。

実験ではまず243人の参加者が、AR、QR、従来の紙メニューという3つの形式のどれかを見せられます。そして架空の看板メニューであるバーガーを注文する際に、それぞれのメニュー形式で掲載されている食材の情報を読みます。その後、どのような情報を得たか、メニューのインタラクティブ性、来店意向、そしてバーガーについて他者に共有したいかどうかなどを評価しました。ARメニューを見た参加者は、来店したい気持ちや記憶への残りやすさ、共有したい気持ちの点でやや高いスコアを示しましたが、平均値の差はQRや紙メニューと比べておよそ0.5程度にとどまったということです。

AR導入は本当にビジネス効果になる?

さらに研究では、同じ参加者に対して、マクドナルドと、アメリカの大手ベーカリーチェーン「パネラブレッド」という大衆的なよく知られているブランドについてファーム・トゥ・テーブル情報をARで提示した場合の反応も調べています。その結果、ARメニューはマクドナルドの「健康的である」という印象をより高める傾向が見られました。一方でパネラブレッドについてはその上昇幅は小さく、これは回答者がもともとパネラブレッドをマクドナルドよりも健康的だと見ていたためであると論文では説明されています。

「消費者は自分が食べるものがどこから来たのか透明性を求める傾向が強まっていますが、その情報の見せ方が重要です。拡張現実は、その情報をより鮮明に、インタラクティブに、そして関わりっているという実感ができる形で共有できます」とSeo氏はWSU Insiderに語っています。

確かにそうかもしれません。しかしビッグマックに入っているトマトの産地を、鮮明でインタラクティブな情報で知ることが、実際に顧客が財布を開くことにつながるのか、さらにはレストラン経営者がウェブ開発者を雇うことにつながるのかは別の問題のような気がします。

Source: Business Insider, Sunday, ScienceDirect (1, 2), WSU Insider

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