AIの音楽生成、もう「人間と区別できないレベル」に到達していた
Lifehacker 2025年12月23日掲載の記事より転載
私が初めてAI音楽生成ツールを試したとき、それは正直「へぇ、おもしろい」と感じる程度のものでした。
ロボットが一生懸命音楽をつくろうとしている姿は興味深かったし、その出力結果も“ロボットがつくったにしては”立派なものでした。
ただ、当時はあくまで自分の楽しみの範囲で活用し、実用的な価値もまったくなかったので、そんな技術があることすら忘れていました。
それからかなりの月日が経ち、先日、友人がAIでつくった曲を聴かせてくれたことで、記憶が蘇り、再びこれらのツールをチェックしてみることにしたのです。
あえて言わせてください。AI音楽生成ツールは、画像生成やチャットAIよりもずっと劇的に進化しています。 その実態をお見せしましょう。
AIの音楽は恐ろしく進化していた
私が最初に試したAIツールは「Suno」でした。2024年の1月頃にいじりはじめ、自作の曲をつくる方法について書いたこともあります。
その間に「Boomy」という別のツールも試しましたが、当時2つの差は明確でした。
・Boomy: 仕上がりは綺麗だが、曲がどうあるべきかという自由度はほとんどない
・Suno: 自由度は高い(好きな言葉を何でも打ち込める)が、当時は支離滅裂な「音のゴミ」を吐き出す確率が高かった
ほかにも、楽器をサンプリングしてその場で演奏できるGoogleの「AI Instrument Playground」のようなツールもあります。これらはフル楽曲の生成はできませんが、曲づくりの素材としては使えます。
さて、話をSunoに戻しましょう。皆さんが飽きてしまう前に、私が「異常なほど良い」と言った理由をお見せします。
私はこの曲を、無料で、何もインストールせず、わずか10秒ほどでつくりました。 これは完全にAIが生成した曲です。もし聴き馴染みがあるとしたら、コルター・ウォールの「Nothin'」を編集して読み込ませたからでしょう。
どうですか? すばらしいでしょう。少し恐いくらいです。もしAIだと教えられなければ、私は見分けられる自信がありません。それが現状なのです。
インディーズロックを「エモく」仕上げる職人芸
さて、次はインディーズロックに挑戦してみましょう。
「インディーズロック」という言葉自体、あまり正確なジャンルではありませんが、それはほかのジャンルも同じです。
筆者はミュージシャンではありませんが、これまで多くの音楽を聴いてきました。だから「どんな要素が含まれているか」を分析し、その「材料」をプロンプトに放り込むことはできます。
そして、もう1つ重要なのは、歌詞ボックスに入力するガイダンスです。
今回のケースでは、すでに曲の種がありました。以前に断片的に書いていたものがあったので、それをChatGPTに投げて、完全な歌詞に仕上げてもらったのです。
そしてスタイルボックスには、次のキーワードを使いました
・【スタイル欄に以下のキーワードを投入】
インディー・ロック、オルタナ・ロック、ポストパンク寄りのドライブ、ハートランド/アンセミックなインディー、スローバーンから大きなサビへ、深夜の告白的トーン、クリーンなエレキのアルペジオ、パームミュートの8分音符、コーラス感のあるきらめき、クリーントーンと歪みの中間くらいのオーバードライブ、アンプ・トレモロのアウトロでのサステイン、フックとなるモチーフのタグ、ブラシからリムクリックへと積み上がる展開、最終サビはハーフタイム、安定したキック&スネアの軸、ウォーキングベースでのリフト、タムのアクセント、クローズマイクのスポークン・ボーカル、小部屋感のあるアンビエンス、遠景のシンセパッド、静からワイドへとダイナミックに広がるアレンジ、控えめなスラップバック/短いディレイ
じっくり聴くと、これらの要素がしっかり反映されているのがわかります。正直、かなり感動的な曲に仕上がりました。
ここで奇妙な問いが生まれます。「芸術とは感情を呼び起こすもの」だとしたら、これはどうなるのでしょう?
この曲の感情の核となる歌詞もAIがつくり、演奏もAI。でも、聴く側が心動かされたのなら、それは芸術と呼べるのでしょうか。
テクノとメタルの「壁」
テクノはより難しい課題です。歌詞がないため、感情を揺さぶるのは楽器の音にかかっています。
単なる「ノリの良いループ」を超えて、聴き手の胸に突き刺さるような曲にするには、より高度な指示が必要です。私は145 BPMのインダストリアルなテクノを目指し、詳細な構成案(イントロ、ビルド、ドロップ、アウトロの各段階での音の動きなど)を打ち込みました。
結果は「良い」ものでした。ただ、「ダークテクノ」と呼ぶには少し、あまりにも「平均的で無難」な出来でした。
シャッフル再生で流れてきてもAIだとは気づかないでしょうが、かといって「これ誰の曲?」と調べることもないでしょう。
一方で、メタルは得意分野のようです。 私のAIへの執着はここからはじまりました。
友人が「ペットとして実験用のネズミを飼いたい。どうにか手に入らないか」と無理難題を言ってきたので、私は返事の代わりに1曲のメタルを生成して送りつけました。
これがまた、腹の底に響くような、完璧に「メタル」な仕上がりだったのです。
AIが奪うのは「仕事」ではなく「代行業」
私はライターとして、「AIが仕事を奪うのではないか」という恐怖を誰よりも理解しています。でも、今はAIの存在を前向きに捉えるようになりました。
AIは、あらゆるものの「平凡なバージョン」をつくるのが非常に得意です。そして、その「平凡」は決して悪い意味ではありません。世の中には「そこそこ良ければ十分」という場面が溢れているからです。
AIがライターやアーティストに完全に置き換わることはないでしょう。しかし、以下のような領域はすでに飲み込まれはじめています。
・クラウドソーシングの制作代行:「100ドルでどんな曲でも歌います」「大学の願書をリライトします」といった、定型的なスキルを売る仕事
・そこそこの出来でも問題ない実務:背景で流すBGMや、無難な宣伝用コピー
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著者紹介:Amir Bohlooli
MakeUseOfの生産性およびクリエイティブ部門のセグメントリード。薬学博士課程に在籍しており、臨床アウトカムと薬剤経済学に関心を持つ。数字やスプレッドシートを扱うことを好み、データ操作への情熱は、学生時代に実験レポートをスプレッドシートでまとめていたころに芽生えた。
著者: Make Use Of
翻訳:ライフハッカー・ジャパン編集部
Image: Amir Bohlooli / MUO
Source: Suno, Boomy, Spotify, SoundCloud(1, 2, 3, 4)
Original Article: I tried AI music generators again and they’re absurdly good now by MakeUseOf
