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止まらない負の連鎖

病院などに頼らず自宅などで一人で出産し、母子ともに危険な状態に陥ることが多い「孤立出産」の中には、母親が逮捕されたケースがあります。

【写真を見る】「赤ちゃんが息をしていない」SOS後に母親逮捕 相談受けた院長が直面した“負の連鎖” 「逮捕ありきではなく まず保護を」「男性側に大きな責任」 【相談窓口一覧】

予期せぬ妊娠に、どのような支援が必要なのでしょうか。

女性たちの「人生の限界」

慈恵病院 蓮田健院長「こちらが『ゆりかご』の扉になります」

慈恵病院が運用している「こうのとりのゆりかご」は、親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる、いわゆる「赤ちゃんポスト」です。2007年の開設から、2024年度までに193人が預け入れられています。

蓮田健院長「元々ゆりかごというのは、赤ちゃんの遺棄とか殺人を防止するためのもので、熊本県内で起きた悲惨な遺棄とか殺人事件を知って、何とかできないだろうかと始めた取り組みです」

匿名で預かることへの賛否や、子どもの「出自を知る権利」をなどめぐり、様々な意見がありますが、蓮田院長は「まず負の連鎖を断ち切ることが大事ではないか」と考えています。

蓮田健院長「赤ちゃんを預けに来た女性と話をすると『人生の限界なんだな、この人たちは』と感じます。一人で出産することはやっぱり避けられない女性たちもいて、その受け皿としては赤ちゃんポストこうのとりのゆりかご)が必要ではないか」

「赤ちゃんが息をしていない」SOS後に逮捕

慈恵病院には今も追い詰められたような相談が寄せられています。

『助けてください』
『自宅のお風呂場で生まれてしまいました』

1月、神戸市の20代の母親から孤立出産後に連絡があったといいます。

「赤ちゃんが息をしていない」と、助けを求める内容でした。

蓮田健院長「出産後24時間以内に助けを求めてきた。もしこれが遺棄、隠そうとすることになれば、怖くて赤の他人の知らない病院に連絡を入れないはずです。『警察に事件性がないことを確認してもらった方がいいですよ』と伝えました」

蓮田院長は、母親が相談してきたことで、遺棄する意図は感じなかったとしながらも、赤ちゃんが亡くなっている状況を受け、母親を保護するために警察相談したといいます。

しかし、母親は、赤ちゃんを遺棄したとして兵庫県警に逮捕され、その後、殺人の疑いで再逮捕されました。

「保護」叶わず 

兵庫県警によりますと、司法解剖の結果、死因は頸部圧迫による窒息とされていて、母親は取り調べに「出産した赤ちゃんの首をつかんだ」という趣旨の供述をしているということです。

捜査は現在も続いています。

蓮田院長は、兵庫県警の対応について「女性が助けを求めた場合には、逮捕ありきではなく、まずは保護してほしい」と話します。

蓮田健院長「時間をかけて検討した上で、逮捕するかどうかを決めていただけたら良かったと思うんです」

蓮田健院長「頭の中で『こんなことしたら、これだけで逮捕されるとネットに書いてあった』となると、結局、次に起こす行動が遺棄なんですよね。その犯罪行為を誘発してしまうわけです」

「逮捕ありき」のケースが重なった場合、「助けを求める」「相談する」機会が失われることを懸念しています。

緊急避妊薬「ノルレボ」の条件

女性が置かれている状況は、一人ひとり異なります。

妊娠後の支援だけでなく、妊娠前の段階での選択肢も少しずつ広がっています。

2月2日から、緊急避妊薬「ノルレボ」が処方箋なしで薬局でも購入できるようになりました。

熊本市薬剤師会 松本拓也理事「こちらで問診をさせてもらって、服用OKであればこの場で服用をしていただくと」

服用は性交から72時間以内で、薬局へは事前に連絡し、研修を受けた薬剤師の前で薬を服用する必要があるなどの条件もあります。

熊本県内では現在、3つの薬局が対応しています。

松本理事「近くに薬局があればそこに行って購入して服薬できる。希望しない妊娠の可能性を、早めに薬を手に入れて飲むことができる。避妊のチャンスが増えるのかなと思います」

松本理事「避妊のチャンスが少しでも広がることで、不幸な出産に繋がらなければいいなとは思います」

「男性側に大きな責任がある」

慈恵病院の蓮田院長は「女性だけではなく、男性もこの問題に向き合う必要がある」と訴えます。

慈恵病院 蓮田健院長「法的には責任を取れなくても、むしろ男性側に大きな責任がある。女性だけに背負いこませてというのは私は強く感じるところであります」

「予期せぬ妊娠」を、女性個人の問題で終わらせないために。

相談窓口一覧】

妊娠や出産、産後の養育について悩んでいる人は、以下の窓口で相談を受け付けています。

いずれも、熊本市民でなくても相談できます。

相談窓口>

■「にんしんSOS熊本(エスオーエス くまもと)」

080-9068-7528 24時間いつでも対応

■熊本市の「妊娠内密相談(にんしん ないみつ そうだん)センター」

096-366-3060  午前8時半~午後5時15分

メール(naimitsusoudan@city.kumamoto.lg.jp)

※夜間や休日、祝日の電話は「にんしんSOS熊本」と連携、メールは次の営業日に対応

■福田病院(ふくだ びょういん)母子サポートセンター=熊本市中央区

096-322-2995 日曜と祝日除く午前9時~午後5時半

※「母子(ぼし)サポートセンターに相談(そうだん)です」と伝えてください

メール(info@fukuda-hp.or.jp)

■中高生妊娠相談(ちゅうこうせい にんしん そうだん)※18歳以下なら誰でも相談可能

・福田病院(ふくだ びょういん)=熊本市中央区

096-322-2995 日曜と祝日除く午前9時~午後5時

メール(info@fukuda-hp.or.jp)

・まつばせレディースクリニック=熊本県宇城市

0964-34-0303 日曜と祝日除く午前9時~午後5時

・菊陽(きくよう)レディースクリニック=熊本県菊陽町

096-213-5656 日曜と祝日除く午前9時~午後5時

・ソフィアレディースクリニック水道町=熊本市中央区

096-322-2996 日曜と祝日除く午前10時~午後5時

■慈恵病院(じけい びょういん)「赤ちゃんとお母さんの相談係」=熊本市西区島崎6丁目1-27

0120-783-449 24時間いつでも対応

※慈恵病院は「こうのとりのゆりかご」と「内密出産(ないみつ しゅっさん)」に対応しています

■賛育会病院(さんいくかい びょういん)=東京都墨田区太平3-20-2

03-3622-1651 祝日や年末を除く月曜~金曜 午前9時~午後4時

※賛育会病院は「ベビーバスケット」と「内密出産(ないみつ しゅっさん)」に対応しています