鈴木亮平

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またも「VIVANT」超え

 プライム帯(午後7〜同11時)に16本ある民放冬ドラマの序盤が終わろうとしている。人気を得ている作品はどれか。夫婦で別の連続ドラマに主演中の反町隆史(52)と松嶋菜々子(52)の作品はそれぞれ好調なのか。視聴率を深掘りする。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 1月第4週(19〜25日)の視聴率ベスト5を記したい。参考として第3週(12〜18日)の視聴率も付記する。視聴率の勢いが分かる。

 テレビ朝日「相棒 season24 」(水曜午後9時)の放送開始は昨年10月だが、対象に含めた(ビデオリサーチ調べ、関東地区)

(1)TBS「日曜劇場 リブート」(日曜午後9時)
※第4週は25日放送の第2回。個人7.4%(世帯11.7%)
※第3週は18日放送の初回。個人8.4%(世帯13.3%)の視聴率ランキングは1位。

鈴木亮平

(2)テレビ朝日「おコメの女−国税局資料調査課・雑国室−」(木曜午後9時)
※第4週は22日放送の第3回。個人5.8%(世帯9.7%)
※第3週は15日放送の第2回。個人4.9%(世帯8.9%)の同4位。

(3)テレビ朝日「相棒 season24」(水曜午後9時)
※第4週は21日放送の第13回。個人5.1%(世帯8.8%)
※第3週は14日放送の第12回。個人5.1%(世帯9.3%)の同2位。

「リブート」はほかのドラマでは到底考えられない高視聴率を得ている。だが、テレビ局の標準指標である個人視聴率は初回より1ポイント落ちた。クオリティが下がったとは思えないので、肌に合わないと思った人が離れたのではないか。

 世帯視聴率は個人視聴率が導入された5年半前から、テレビ局もスポンサーも見ていない。参考値と捉えていただきたい。

「リブート」は初回の数字が日曜劇場の大ヒット作「VIVANT」(2023年)の個人7.4%(世帯11.5%)を超えた。第2回も上回っている。「VIVANT」は個人7.2%(世帯11.9%)だった。

 主人公は洋菓子店のパティシエ・早瀬陸(松山ケンイチ)。死んだ刑事・儀堂歩(鈴木亮平)に成りすまし、妻・夏海(山口紗弥加)を殺した犯人を追う。顔を整形し、儀堂のパーソナルデータを頭に叩き込んだ。人間のリブート(再起動)である。

 それでも性格は変えられない。早瀬は純情で真面目だが、儀堂はふてぶてしい悪党。早瀬がキャラも儀堂になろうとして苦労する姿がおかしい。この作品の妙味だ。

 第2回。儀堂に成りすました早瀬は警察署に顔を出す。そこで夏海殺しを調べている後輩刑事から、彼女が不倫をしていたと聞かされる。落ち込んだ。他人に成りすますと、聞きたくないことまで耳に入ってしまう。

 やはり儀堂に成りすましている早瀬は、実母・良子(原田美枝子)の聴取を行う。母子だとは話せないこともある。すると良子は「夏海さんから1500万円借りていた」と口にした。早瀬はまた落ち込む。知らされてなかった。洋菓子店の運転資金だったという。

 物語の核心は夏海殺しの真相解明だ。今は早瀬が疑われている。加えて、夏海が関わっていた反社会的企業・ゴーシックスコーポレーションと早瀬の攻防である。

 ぜんぜん明るくない題材であるものの、儀堂に成りすました早瀬に起こる悲喜劇も描かれるから、全体の味わいは軽く緩い。視聴者を惹きつける理由の1つに違いない。

松嶋がコアに恵まれない

 松嶋菜々子の9年半ぶりの主演連ドラ「おコメの女」は0.9ポイント上昇した。同時間帯の他番組と比較すると、NHK「ニュースウオッチ9」(平日午後9時)と並び、トップである。

 ところが、40代以下の個人視聴率であるコアの数字を聞くと、同時間帯で大苦戦。どうしてこんなことが起こるのだろう。

 この作品は東京国税局の国税調査官・米田正子(松嶋菜々子)が、架空の部署・複雑国税事案処理室(通称・ザッコク)の事実上のリーダーとして、脱税の摘発に取り組む。

 初回は老後資金コンサルタントを摘発した。隠し財産は水槽風ディスプレイの中にあった。第2回では老舗和菓子店の番頭の不正、第3回は美容クリニックと占い師がグルになっての脱税を暴いた。

 痛快だった。ザッコクはどんな脱税でも暴く。国税局用語はやや難解だが、物語の中で親切に説明してくれる。1回完結なので焦らされることもない。個人視聴率が高いはずである。では、なぜコアは低いのか。

 フォーマットがオーソドックスな刑事ドラマと同じだからである。このほど26年の歴史に幕を閉じた同「科捜研の女」ともフォーマットは共通する。このドラマもコアは低かった。

 そのフォーマットとはこうだ。物語の前半で脱税(殺人)が分かるが、調査(捜査)は難航する。それでも主人公たちの奮闘によって1時間で必ず決着する。悪はのさばれない。

 勧善懲悪で分かりやすいのも大きな特徴だ。また、主人公が自分たちの年齢と比較的近いと、中高年以上はより歓迎する。一方で40代以下は物語のテンポが速く、なおかつ自分で考える要素のある作品を望むから、この作品は食指が動きにくいのだろう。

 全世代に受け入れられる作品をつくるのは難しい。誰だって年齢に応じて観たい番組が変わるからだ。冬ドラマで成功しているのは「リブート」くらい。コアもダントツである。

 松嶋の夫である反町隆史と大森南朋(53)、津田健次郎(54)がトリプル主演しているのが、フジテレビ「ラムネモンキー」(水曜午後10時)。第4週には21日に第2回が放送された。視聴率は個人2.2%(世帯4.1%)。ランキングは9位。冬ドラマ16本中、ほぼ真ん中だった

 物語はこうだ。中学生だったときに映画研究部の仲間だった物産会社部長の吉井雄太(反町)、映画監督の藤巻肇(大森)、理髪店主の菊原紀介(津田)が、37年ぶりに再会する。みんな51歳になっていた。

 3人の中学在学中、映研顧問の女性臨時教師・宮下未散(木竜麻生)が謎の失踪を遂げた。一方、3人が再会した時期、地元の工事現場で白骨死体が発見される。白骨遺体は教師 ではないか。

 もう若くはない3人が、青春時代に置き忘れたものを取り戻す作品。丁寧につくられているものの、コアはやっぱり低い。序盤のテンポがやや遅かったのが影響したかもしれない。

 同級生との再会劇がこのところ多い。まず日本テレビの秋ドラマ「良いこと悪いこと」。テレ朝で放送中の「再会〜Silent Truth」(火曜午後9時)もそう。

 さすがに続きすぎている気がする。とはいえ、ドラマ制作者も人の子。同じ時期に同じようなことを考えるということだろう。

 放送開始から26年目の「相棒」は人気が衰える気配がない。主演の水谷豊(73)の名演、精鋭ばかり10人近くを擁する脚本陣、1960年代からテレ朝の刑事ドラマをつくり続けている東映の演出力が合わさっての結果だろう。

質の高い「再会」

(4)フジテレビ「ヤンドク」(月曜9時)
※第4週は19日放送の第2回。個人3.6%(世帯6.1%)
※第3週は12日放送の初回で、個人5.0%(世帯8.1%)の同3位。

 ヤンキー脳神経外科医・田上湖音波(橋本環奈)が奮闘している。視聴率は高水準を維持。高校中退の湖音波と東大医学部出身の先輩医師・大友真一(音尾琢真)が衝突する構図にしたのも分かりやすくていい。

 ヤンキードラマと医療ドラマを合体させたが、湖音波は病院内であろうが「くそたわけ!」と大声で怒鳴る。謝るときは「サーセン」。橋本はすっかりヤンキーだが、医者らしく見せるのは至難だろう。

(5)テレビ朝日「再会〜Silent Truth〜」(火曜9時)
※第4週は20日放送の第2回。個人3.5%(世帯6.1%)
※第3週は13日放送の初回で、個人3.8%(世帯6.8%)の同5位。

 原作は江戸川乱歩賞を受賞したミステリー小説。設定と物語性が出色で、それはドラマでも引き継がれている。

 主演は竹内涼真(32)。35歳になる刑事・飛奈淳一に扮している。小学校6年生のときの同級生がヘアサロン経営の岩本万季子(井上真央)、建築士の清原圭介(瀬戸康史)、会社役員の佐久間直人(渡辺大知)。4人には共有する秘密があった。

 小6のとき、4人は拳銃を隠した。銀行強盗に撃たれて死んだ警察官・清原和雄(弓削智久)の拳銃だ。和雄は圭介の父親である。

 ところが、この拳銃を使った殺人事件が起こる。飛奈が捜査を担当したことから、否応なしに4人は再会する。隠したはずの拳銃は消えていた。

 殺されたのはスーパー店長で直人の異母兄・秀之(小柳友)だった。佐久間家は土地の名士だが、秀之は素行が悪く、厄介者だった。

 刑事の飛奈以外には動機がある。秀之は万季子を脅迫していた。万季子の息子・正樹(三浦綺羅)の万引きがネタだった。清原は万季子の元夫で正樹の父親であるため、ともに対応していた。

 佐久間にも兄は迷惑な存在だった。飛奈は幼なじみが相手であり 、拳銃の隠蔽には自分も関わっているから冷静な捜査が出来ない。

 演技力のある人が揃ったので見応えがある。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部