素材は空気のみ。ダウンをこえたナイキのテックアウター
来月2月6日から始まる冬のスポーツの祭典。記録やメダル、そして戦術などこういったスポーツの世界大会ではいろんな視点での楽しみ方があります。
ギズモードでは特にプロダクトにフォーカスしたいところ。実は昨年ナイキ本社に伺った際に、アメリカ代表の選手が表彰台に上がる際に着用する予定だという画期的なウエアを拝見しました。
その名も「Therma-FIT Air Milano Jacket(サーマフィット エア ミラノ ジャケット)」。
いわばダウンがないダウンジャケット
上の写真を見る限り、ダウンジャケットのようにも見えますし、そうではなくてもなんだか暖かそうなアウターです。
実はダウンはもちろんのこと、防寒素材を一切使用していない防寒着。なんだか矛盾しているように聞こえますが、「サーマフィット エア ミラノ ジャケット」はれっきとした防寒着なんです。
どのように防寒を担保しているかというと、空気(Air/エア)のみで防寒(=断熱)を実現。ここで「あっ!」と思った方はナイキ通かも。そう、“エア”はナイキのシューズでも採用しているように、ブランドとしても十八番の技術。そのエアをウエア全体で活用するという、ナイキでしか実現できない発想です。
そもそも一般的なダウンジャケットで使用されているダウン素材は、ガチョウやアヒルの胸の毛を使った天然の素材のこと。ふわふわとした特徴があり、大量に空気を含んでいる構造自体で保温性を高めています。空気で保温性が担保される点は同じように見えますが、「サーマフィット エア ミラノ ジャケット」は余分なものを削ぎ落とし、空気のみで温かさを確保しています。
しかも驚くべきは、エアの量が調整可能という点。温かさを確保する衣服内のエアを調整することで、着用する人の好みやコンディションに合わせて温度調整ができるという、まさに未来的なテックウエア。ナイキがおよそ20年もの間研究を重ねてきた技術と魂が込められた賜物と言えるでしょう。
たとえば、運動時に最初は寒くても徐々に体が温まってくると、アウターやミッドレイヤーを脱いだりしますよね。脱いだ後、そのウエアの置き場に困ったり、腰に巻いたり手に持ったりなど、煩わしさを感じた経験があるかも。そういったストレスや課題を温度調整ができる「サーマフィット エア ミラノ ジャケット」一着で解決してくれます。
ここで素朴な疑問が。アパレルにエアを採用するって、抜けたりしないのでしょうか…? その心配はご無用。開発された最先端の素材によって機密性を確保し温かさがキープできるというわけ。そして、軽量かつ柔らかい新素材によって、空気の注入と放出が自在に操作でき、好みの温度調整が叶います。
計算されたボディデザイン
ウエア全体は、エアが入っている多くの部屋で覆われていますが、各部屋は部位によって大きさがまちまち。これは、保温と可動性を考慮したデザインだそう。内肘などは断熱性が低くなっているかわりに可動域を確保している一方、部屋の間隔が広い部分では、より多くの空気量でさらなる温かさを確保します。
空気の層を閉じ込めることでウエアの断熱が機能します。閉じ込めた空気の量によって、レインジャケットから中厚のジャケットに相当する範囲で温かさを調整できるということでした。
しかも、エアの入り方によってルックスに変化が出てくるので、着用しているウエアは同じでもエアの量によって見え方が異なるのもまたおもしろい一面です。
実はナイキでは「サーマフィット エア ミラノ ジャケット」の前身となるインフレータブルジャケットをすでに市場に投入しています。遡ること2006年に発売された「Airvantage」ジャケットがそれ。以降、複数の製品が開発され、昨年2025年にも発売されていました。
ただし、従来の発想では「ジャケットの中にエア バッグを入れる」ことだったそう。しかし、「ジャケット自体をエアバッグにする」という発想に転換したことで研究および開発が大きく進歩し「サーマフィット エア ミラノ ジャケット」が生まれたんだとか。
貪欲なまでのナイキのイノベーションへの熱意が身を結んだということですね。
まもなく開幕する冬のスポーツの祭典。各競技の結果は気になるところですが、こういったサイドストーリーにも注目しておくとより楽しく観戦できるかもしれません。 現段階ではアメリカ代表として出場するアスリートのみに支給されるウエアですが、1日でも早くに市場で展開されることを期待したいですね。
Source: NIKE
