舞台『忠臣蔵』で剣豪・堀部安兵衛を熱演する藤岡真威人の「覚悟」がうかがえる、全力アクション秘話!
2025年12月の東京公演を皮切りに、年をまたいで2026年1月いっぱいまで各地で上演される舞台『忠臣蔵』が、いま幅広い世代から評判を呼んでいる。
『忠臣蔵』といえば、元禄時代(1702年)実際に起こった「仇討ち」事件を題材に、300年もの長きにわたって浄瑠璃、歌舞伎、小説、映画、テレビドラマなどで語り継がれてきた普及の名作「時代劇」ジャンルである。これまで作られてきた膨大な作品群の中には、パロディ、翻案、善悪を入れ替えた新解釈ストーリーなどの変化球も存在するが、今回は堤幸彦・演出によって豪華キャスト陣がぶつかりあう、重厚なドラマと凄絶なアクションの正攻法〜直球の『忠臣蔵』を志向。年季の入った時代劇ファンはもちろんのこと、『忠臣蔵』の物語を詳しく知らない若者の心をもゆさぶる、エモーショナルな舞台が創造された。
物語の中核を担う大石内蔵助役に上川隆也、そして大石を筆頭とする四十七士が目指す怨敵・吉良上野介役に高橋克典、大石の妻りく役に藤原紀香、「語り」を務める松平健と、映像や舞台で活躍する主役級がそろったほか、若手からベテランまで多彩な俳優たちがそれぞれの個性を最大限に発揮し合い、豪華絢爛な「オールスター時代劇」を盛り上げている。
本コラムでは、主君・浅野内匠頭の無念を晴らすべく吉良邸へと「討ち入り」を果たした赤穂浪士四十七人のひとりであり、歴代『忠臣蔵』作品でも人気の高いキャラクターとして知られる「堀部安兵衛」を演じる俳優「藤岡真威人」に注目してみたい。
映画やテレビドラマで数多くの「ヒーロー」を演じてきた父の遺伝子を受け継いだ息子らしく、まっすぐで曇りのない目の輝きと「熱い闘志」を備えながら、令和の世を生きる現代の若者としての「繊細さ、明るさ、さわやかさ」をも表現できる俳優として、藤岡はさらなる成長を続けている。
『忠臣蔵』の舞台となる元禄時代は、武士であっても実際に人を斬った者がいない、天下泰平の時代であった。このような時勢の中にあって「高田馬場の決闘」に駆けつけ、叔父の助太刀を行った堀部安兵衛は、「剣豪」として世間の大評判を呼び、後世まで語り継がれた。そんな武闘派の侍・安兵衛が先頭を切って、城代家老・大石内蔵助と共に吉良上野介を討ちに行く……これこそ『忠臣蔵』の醍醐味であるといえよう。
吉良邸討ち入りを決行した赤穂浪士もまた、それまで人を斬った経験のない者がほとんどだったと史実に残っている。それは彼らを迎えうつ吉良の配下たちも同じであり、やがて来たる「有事」に備えて、吉良方は剣豪・清水一学を対抗馬として投入していた。
堀部安兵衛の設定年齢は33〜34歳だが、演じる藤岡はそれより10歳以上も若い22歳(本公演中、12月28日に誕生日を迎えた)。パンフレットでのインタビュー(取材・鈴木美潮)で、安兵衛について「今までで一番難しい役」と語っている藤岡は「この役を演じ切ることで自分との勝負に勝てると思う」と闘志を燃やし、稽古に臨んだのだという。
