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かつての高級ステーションワゴン

今回ご登場願ったハンバー・ホーク・エステート・シリーズIVとスーパースナイプ・シリーズVは、クラシックカー博物館のグレート・ブリティッシュ・カー・ジャーニーが管理する車両。いずれもモデル末期の仕様で、当時のナンバープレートを維持している。

【画像】著名人に選ばれたハンバー ホーク・エステートとスーパースナイプ 同時期のUK車たち 全139枚

ホーク・エステートの初代オーナーは、ムーアズ殺人事件の判事、フェントン・アトキンソン氏。15インチ・ホイールを履き、堂々とした風格を滲ませる。防音材が張られたボンネットを開くと、1950年代らしい景色が広がる。


ハンバー・ホーク・エステート・シリーズIV (1957〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

テールライトのリフレクター部分は、給油リッドを兼ねている。テールゲートは上下二分割で、荷室も美しく仕立てられ、かつての高級ステーションワゴンだと実感させる。

ドアは深い角度まで開き、綺麗に閉まる。サイドウインドウは手動のワインダーだが、動きは滑らか。ウッドパネルの質感は、上級仕様のスーパースナイプに届かないけれど。後期型でシートはPVC張り。ハンバーの工場を旅立ったばかりのように、真新しい。

ピクニックテーブルにロールス風の小物入れ

サルーンのスーパースナイプでは、後席の前方へピクニックテーブルが備わる。グローブボックスはホーク・エステートよりひと回り大きく、ロールス・ロイス風のシャッター付き小物入れも用意されている。

シートやドアの内張りはグリーンのレザーで、特有の香りが漂う。ウッドパネルは艶が強すぎるが、本物のウォールナットだ。


ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

どちらのダッシュボードにも、メーターの上にハイビームやイグニッションの警告灯が並ぶ。ヒーターとファン、チョークのスイッチは滑らかに動く。

変速の必要性を感じさせないトルク

スーパースナイプの3.0L直列6気筒エンジンは、60km/hまで颯爽と全長4775mmのサルーンボディを引っ張る。トルクが太く、変速の必要性を感じさせない。アイドリング時から、聞き心地の良いサウンドを静かに響かせる。

コラムから伸びるシフトレバーは正確にゲートを選べ、動きも軽い。2速からでも活発な加速を披露し、130km/hでの巡航も余裕綽々。同時期のライバルを追い越すのに、不満ない余力を残している。


ハンバー・ホーク・エステート・シリーズIV (1957〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ホーク・エステートの2.3L直列4気筒も軽々と回り、マイルドなノイズを微かに響かせる。最高速度は136km/hだが、体感的にはさほど非力な感じはない。前輪のディスクブレーキはサーボで強化され、制動力は充分。直進安定性も褒められる。

ステアリングは、スーパースナイプはパワーアシストされ、軽快に回せるもののセンターへ戻るのに僅かな遅れがある。ホークの方が、身軽にフロントノーズを操れる。気張るとボディロールは大きく、アンダーステア傾向で、スキール音は小さくないが。

英国車らしい魅力 愛された理由へ共感

忘れ去られつつあるハンバーだが、往年の英国では敬意を集めるブランドだった。特にスーパースナイプは、自身の名を関したオーケストラを擁した音楽家のジョー・ロス氏や、コメディアンのハリー・ワース氏から選ばれた。

不祥事で追われた政治家のジェレミー・ソープ氏は、1970年代まで愛用した。リクライニングシートや可変式セレクタライド・ダンパーが標準で、レザー風ルーフと専用内装で仕立てられたインペリアル仕様を。


ハンバー・ホーク・エステート・シリーズIV (1957〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

しかし、最盛期は過ぎていた。1957年からの2年で1万5539台を販売したホークながら、以降は年間2000台を下回った。スーパースナイプも当初は年に7000台前後売れたものの、モデル末期には1000台前後へ低下。大幅な値引きもされた。

台頭したのは、トライアンフやローバーの競合たち。欧州大陸からも、スポーティなモデルが次々に上陸した。ハンバーが3.0Lで叶えた動力性能は、2.0Lで達成されていた。

それでも、ホーク・エステートとスーパースナイプは、英国車らしい魅力で溢れている。アメリカ車とは違う個性を求めた層から、愛された理由へ筆者は共感できる。

協力:グレート・ブリティッシュ・カー・ジャーニー

ホーク・エステートとスーパースナイプ 2台のハンバーのスペック

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)

英国価格:1495ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約238万円/現在)以下
生産数:3031台
全長:4775mm
全幅:1753mm
全高:1549mm
最高速度:160km/h
0-97km/h加速:16.2秒
燃費:5.7-7.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1656kg
パワートレイン:直列6気筒2965cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5000rpm
最大トルク:23.0kg-m/2600rpm
ギアボックス:3速マニュアル(後輪駆動)

ハンバー・ホーク・エステート・シリーズIV (1957〜1967年/英国仕様)

英国価格:1341ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約238万円/現在)以下
生産数:4万1191台(シリーズ合計)
全長:4686mm
全幅:1753mm
全高:1549mm
最高速度:136km/h
0-97km/h加速:25.0秒
燃費:6.0-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1502kg
パワートレイン:直列4気筒2267cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:79ps/4400rpm
最大トルク:16.5kg-m/2300rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)


ハンバー・ホーク・エステート・シリーズIV (1957〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)