圧倒的な強さで埼玉予選を制した昌平。悲願の全国制覇へ邁進する。写真:鈴木颯太朗

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 第102回全国高校サッカー選手権埼玉大会は11月14日、埼玉スタジアムで昌平と浦和南による5年ぶり2度目の決勝対決が行なわれ、昌平が2−0で快勝し、2年連続6度目の頂点に立った。昌平はこれまで7度ファイナルに進んで優勝6度という勝負強さを発揮。今回、第97回大会で唯一敗れた浦和南に雪辱を果たした格好だ。

 昌平は7−2で武南を圧倒した準決勝と同じ顔ぶれが先発に名を連ね、浦和南も5−1の大勝を収めた聖望学園との準決勝と変わらぬ陣容を送り込んだ。

 予想通り、ボール占有率で上回った昌平が立ち上がりから複数のMF陣を経由してアタック。前半3分、トップ下の土谷飛雅(3年)のパスから右2列目の西嶋大翔(3年)がシュート。2分後にはエースFW小田晄平(3年)が、左MF山口豪太(1年)の最終パスを右足で合わせたが、わずかに左へ流れていった。

 全国高校総体(インターハイ)予選準優勝の浦和南は前線、中盤から激しく厳しく重圧を掛け、アタッキングサードでも鋭い寄せでセンターラインを割らせなかった。攻めては前半27分にFKからFW志田出帆(3年)がゴールを狙ったが、惜しくも右に外れて先制機を逃した。

 昌平は優位に進めながらも、相手の守備網を切り裂く展開に持ち込めなかったが、前半28分に決勝点となる幸運な先制ゴールを奪った。攻め上がった右SB田中瞭生(3年)が2年生ボランチ大谷湊斗からボールを預かると、少し運んだ後に左足で鋭いシュート。相手DFが伸ばした足に当たってコースが変わり、ゴールインした。
 
 10月7日のプレミアリーグEAST、尚志(福島)戦から監督代行として指揮を執る村松明人コーチは、「攻撃参加から点を取ることが多く、大事な試合でやれるんですよ。今日の田中は貴重(な存在)でした」と褒めた。昌平は終了間際にも小田が強烈な一撃を放ったが、DFにブロックされて前半を1−0で折り返した。

 後半も昌平がボールを握る構図に変わりなかったが、浦和南の忠実で粘り強い守りを崩し切る仕掛けに持ち込めないでいた。しかし30分に左ポストをかすめる惜しいシュートを放った三浦悠代が、2分後に決定的な2点目を奪う。

 左SB前田大樹(3年)のパスを受けると、左から軽快に運んで技ありのシュートを右隅に蹴り込んだ。前半35分に投入された三浦は、「中央に入ってからコースを狙って打ちました。決まればいいなと思っていたのですごく嬉しい」と165センチの小柄な2年生MFは、公式戦初得点に笑顔が絶えなかった。

【厳選ショット】田中暸生&三浦悠代のゴールで連覇達成!6度目の全国へ!|選手権埼玉県予選決勝 昌平2−0浦和南
 浦和南はこの直後にアタッカー2人を送り込み、37分にはMF竹内翔馬(3年)も続いた。その竹内がロングスローから好機を作れば、39分にはMF伊田朋樹(3年)の蹴った左CKから、MF日高大佑(2年)が狙ったがバーを通過してしまう。浦和南は6月の全国高校総体予選準決勝で昌平から2点をもぎ取り、PK戦で勝った。2点はCKとFKからだが、この決勝で獲得したCKは一度しかなかった。

 プレミアリーグでチーム随一の7点を挙げるMF長準喜(3年)は、「相手の強みはセットプレー。高校総体予選もCKとFKからやられたので、できるだけセットを減らそうと思った」と守備の説明から入り、プレーメーカーの土谷も「とにかくセットプレーに気をつけ、与えないようにみんなで声を掛け合いました」と対応策を練って臨んだ。

 勝因について村松コーチは「堅い試合のなかで守備ラインとGKが崩れなかったし、相手陣内ですべてを終わらせようとする戦い方も要因のひとつですかね」と振り返った。

 浦和南の野崎正治監督はドレッシングルームに引き揚げたきり、なかなか取材エリアに現れなかった。ショックだったのだろう。「昌平に“あれ”って言わせようとしたが、相手が一枚も二枚も上でした。うちは速さ、技術、スキルで劣っていた」と完敗を受け入れながらも、「ここまでよくやったと褒めてあげたい。OBとしても嬉しい」と私学が全盛の埼玉にあって、高校総体に続いて準優勝したイレブンが誇らしそうだ。
 
 昌平は主将のCB石川穂高(3年)が、8月の練習中に左ひざ前十字靭帯を断裂し今大会は登録メンバーから外れた。「さらなる高みを目ざすためにも、新体制でスタートしてほしい」との理由から、藤島崇之前監督が10月3日付で退任するなど、難しい情勢のなかで大会を迎えた。

 しかし石川に代わってアームバンドを巻くCB佐怒賀大門(3年)は、「確かに厳しい立場に置かれましたが、チームがひとつになり日本一という目標に向かって前進できた末の優勝です」と胸を張った。

取材・文●河野 正