@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

向かうところ敵なしのウニモグ

恐らく通常のオフローダーなら、今頃エンジンは水没している。シャシーの底面はガリガリに削られ、クラッチが焼け焦げていても不思議ではない。肩を落とし、ずぶ濡れになったズボンのまま、家路へついていただろう。

【画像】向かうところ敵なし ウニモグUHE Gクラスとグラディエーター、ラングラーも 全116枚

しかし今日は違う。向かうところ敵なしの、ウニモグを運転しているから。


ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)

AUTOCARの読者なら、一度は耳にしたことはおありだろう。ただ、余程のマニアでない限り、大型トラックの1つ程度だとお考えではないかとも思う。実際のところ、非常に奥が深い。限られた数の文字や写真で説明しきることも、本当は難しい。

2023年で創業75周年を迎えたウニモグは、メルセデス・ベンツのトラック部門などを傘下にする、ダイムラー・トラックが抱える1ブランド。現在は2車種を製造し、世界中へ届けている。

1つは、UGE インプレメント・キャリアと呼ばれる多目的トラック。もう一方は、UHEエクストリーム・オフロードと呼ばれる有能なオフローダーとなる。

今回ステアリングホイールを握らせていただいたのは、その後者。ただし、2車種のみの展開だとしても、ラインナップは少し複雑だ。

UGEの場合、ホイールベースは6種類から選べる。エンジンは4気筒と6気筒があり、最高出力は5段階に設定されている。これらを組み合わせると、特装業者が手を加える前のベース車両の状態で、17種類になるという。

それまでの不便を一変させた初代70200

試乗したUHEでは、ホイールベースとエンジンは1択のみ。キャビンの形状は2種類が用意されている。加えて、駆動系が強化されたヘビーデューティー仕様を選べる。シャシーが許容する重量は、10.3tから14.5tとなる。

今回のUHEは、ヘビーデューティー仕様のダブルキャブで、5023クルーキャブという。ボディサイズは全長約6m、全幅約2.5m、全高約2.9mあり、UHEの頂点に君臨する。


ドイツ西部、ガッゲナウにあるウニモグ・ミュージアムの展示車両

つまり、シリアスなオフローダーの頂点に位置するともいえ、最も過酷な状況へ対応できるクルマだと考えても間違いではない。最高速度は88km/hに制限されるが、公道を走れるクルマのなかで、辿り着けない場所が1番少ないともいえるだろう。

最近のウニモグの販売数は、年間2000台以上に登る。1948年に誕生した初代から、その有能ぶりは秀でていた。

戦後間もない頃から、トラクターは農家の必需品の1つといえた。むき出しの大きなリアタイヤの上に乗り心地の悪いシートが据えられ、後輪駆動で走りは遅かった。大きな荷物を運ぶ場合は、トレーラーを繋ぐ必要もあった。

そんな実情を見たドイツ人技術者のアルバート・フリードリッヒ氏は、オリジナルとなるウニモグ70200を発表。それまでの不便を一変させた。

エンジンの上に載せられた、2人が並んで座れるキャビンには、フロントガラスとカンバス製のルーフが付いていた。四輪駆動システムを備え、ギアを介してアクスルよりホイールの位置を下げる、ポータルアクスル構造も採用されていた。

480mmの最低地上高にしなやかなシャシー

左右のタイヤの間隔、トレッドは畑のウネの幅に合わせられ、耕作地への乗り入れも問題なし。キャビンの後方には荷台が備わり、沢山の作物を運べた。

エンジンの最高出力は25psあり、50km/hで走行可能。リアにはトレーラーを追加でき、農機具へ電気を送るソケットも備わった。


ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)

その70200が備えていた特徴は、現在へ受け継がれている。最新版でもフロント側へエンジンが載り、四輪駆動システムとポータルアクスルを装備。プロペラシャフトはトルクチューブ内に収まり、堅牢性を高めている。

時代の変化とともに洗練度は増し、サイズも必要に合わせて成長している。トランスミッションには、前後ともに8段のギアが備わる。フロントとセンター、リアの3か所にロックデフが組まれ、走破性も向上している。

ポータルアクスル内でギア比を落とせるため、デフを小さくでき、最低地上高は480mmもある。これは、ジープ・ラングラーの約2倍。油圧システムの配管や電気の配線は、アクスルチューブの上部を縫い、ダメージを受けにくい。

ウニモグの最大の特徴が、柔軟性。トルクチューブを中心にしなやかなシャシーレールが縦方向へ2本並び、ホイールの可動域を大きくしつつ、安定性を高めている。

キャビンや荷台などは、シャシーレールの中央付近で支えられている。そのためタイヤや荷台へ強い負荷が掛かっても、お互いに影響を受けにくい。

ウニモグは、山岳部の消防車として活躍することもある。4000Lの消火用水を運ぶ場面でも、この構造は役に立つそうだ。

この続きは後編にて。