クラウドワークス社長兼CEO・吉田浩一郎が語る「個のための雇用インフラを充実させていきたい」
吉田 そうですね。コロナによってリモートワークが一気に広がり、大企業の中でもリモートは当たり前になってきました。特に副業が大企業に浸透してきたのは、22年4月のパナソニックの週3休・週4勤務の正社員制度を始めるというアナウンスがあった頃からです。
当社の大企業の中の正社員の副業登録が毎月5000名から1万名のペースで伸びたのです。創業当初は個人のフリーランスや在宅ワーカーが活用するサービスというイメージでした。しかし、今は大企業の中の正社員が副業機会を得てフリーランスになる、あるいは起業する、ベンチャーに行くという前段としての副業へと変化してきています。
─ 海外でも働けますね。
吉田 そうですね。実際に、日本の企業の仕事をロンドンにいる女性がコンサルタントとして受注をして、それを日本にいるプロジェクトチームに発注をしてコンサルティングをやっている、という話もあります。
─ クラウドワークスのグローバル化が進んでいると。
吉田 ええ。逆に日本企業の仕事に対して、ベトナム人が自分は日本語ができるということで売り込んでくるという事例もあったりします。
─ それは面白いですね。
吉田 今では全登録者数は558.8万人になり、クライアントが全体で90.5万社。流通取引総額がまもなく200億円、売上高100億円、営業利益総額10億円と一定のステージに来ました。
─ 「個のためのインフラになる」というミッションを掲げていますが、その思いとは?
吉田 実は去年の10月にミッションを変更しました。創業から11年間は「〝働く〟を通して人々に笑顔を」がミッションでした。それが変わった背景としては、働くという枠組みにとどまらなくなってきたと感じたからです。
新入社員に「何でうちに入ったの?」と聞いたら「私はTikTokで20万フォロワーを持っていて、漫画の紹介をしながら生活していました。この仕事を続けていける会社を探していたのですが、それがクラウドワークスでした」と。
つまり、もうどっちが副業かも分からないのですよ(笑)。もしかしたらTikTokの方が稼いでいるかもしれない。ただTikTokだと撮影から編集までずっと個人で仕事するため、人と仕事がしたいそうです。
普通の会社だと、そうした副業は絶対に許してくれないのでクラウドワークスに来ましたと言っていました。そうしたら、隣の人も「僕もです」と(笑)。
彼はサッカーのコーチを生涯の仕事として決めています。しかし普通の会社に入ったら、それはボランティアでやってくれと言われてしまう。「私はコーチを続けるための会社を探していたらクラウドワークスがありました」と言っていました。
─ 副業の概念が変わっていますね。
吉田 はい。去年の12月からサントリーホールディングス社長の新浪剛史さんに弊社の社外取締役に就いていただいているのですが、この副業の形を新浪さんは「大人のインターンシップ」と表現しました。
今の時代の転職は0か100かではなくて、副業してお互いの相性を決める、いい相性が生まれたら転職をする。「大人のインターンシップが始まったな」と新浪さんにおっしゃっていただいたんです。
新浪さんが経済財政諮問会議で、人材の流動化、リスキリングの推進に向けて、岸田文雄首相と共に動いていらっしゃいます。まさにその話と日本企業の経営課題が一緒なので、そこに対して我々はあらゆるものを提供できます。
