クロアチア戦の前日会見でマルチネス監督が反論した。(C)Getty Images

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 発端は、フランス紙『L'Equipe』の報道だった。

 現地時間11月27日に行なわれたカタール・ワールドカップのグループF第2戦で、ベルギーはモロッコに0−2で完敗。次戦に勝てば決勝トーナメント進出が決まるが、引き分け以下なら敗退の可能性がある状況に追い込まれた。

 この結果を受け、母国の首都ブリュッセルでは暴動が発生し、自動車やスクーターが燃やされ、市街地が大混乱に。警察が出動する事態となり、放水や催涙ガスなどにより、暴動が収められたと伝えられた。

 そして翌朝、仏紙は「ベルギー代表チームに亀裂が入っている」と報道。「ケビン・デ・ブライネ、ヤン・ヴェルトンゲン、エデン・アザールがロッカールームで衝突。手に負えない事態になっている」というニュースを流した。実際に、デ・ブライネが怒りを露わに引き上げていく姿はメディアでも報じられた。

 さらに、英紙『The Guardian』のインタビューで、デ・ブライネが「僕らは年を取った。正直、(優勝の)勝ち目はないと思う」と発言したことを受け、ヴェルトンゲンがモロッコ戦後に「今日の攻撃がひどかったのは、彼ら(アタッカー陣)が年を取りすぎたからかもしれない」とメディアにぶちまけ、不穏な空気が漂っていた。
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 しかし、守護神ティボー・クルトワは当該の報道に憤慨。グループステージ最後のクロアチア戦を翌日に控えた30日の会見で「ロッカールームから出てきたウソがあった。存在さえしないものだ。一番の問題は、それらをSNSや新聞で見ること。誰がこの情報を漏らしたか分かれば、それがその選手にとって代表チームで最後の日になるだろう」と怒りを滲ませた。

 さらに、同会見に出席したロベルト・マルチネス監督も「フェイクニュース」と一蹴。皮肉を交えてこのように述べた。

「こんなフェイクに飛びつくベルギーのメディアがあることが非常に驚きだ。これでますます、外野の雑音に耳を貸さないほうがいいという意識が強くなった。

 もしかしたら、フランスのような国が、ベルギーの“はけ口”で話題になるストーリーを上手く作ったのかもしれない。ベルギーのフットボール界で黄金世代と呼ばれる才能を楽しむよりも、ネガティブなニュースを見つけたいという欲求が高いことを示している」

 そして最後に「レッドデビルズ(ベルギー代表の愛称)を好いている人々、つまり本当のファンがこの過程すら楽しめればいいと願っている」と気遣った。
 
 ベルギー代表は、GS第3戦のクロアチア戦に勝利すれば、決勝トーナメント進出が決まる。引き分けなら、同時刻に行なわれるモロッコ対カナダで、前者が敗れた場合、勝点4で並ぶことに。敗れた場合はグループステージ敗退が確定する。

 注目の一戦は日本時間12月2日の0時にキックオフされる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部